TMS治療がさらに向上!診断の正確性を高める『光トポグラフィー検査』

TMSとあわせて注目されている検査がある。2009年に厚生労働省から先進医療に認定された『光トポグラフィー検査』だ。うつ病の治療で課題とされている診断のばらつきや誤診を改善でき、TMSとセットで活用して治療の効果を上げている。

光トポグラフィー検査に装着するキャップ。身体に害のない近赤外光線の光で、脳の血流量の変化を測定することができる

川口院長も『光トポグラフィー検査』の有効性を感じ、早くからこの検査を導入して、うつ病の診断に活かしている。

「うつ病の診断は、ドクターによる問診が一般的。これまで糖尿病を検査する血糖値のようなバイオマーカー(生物学的指標)で症状を数値(データ)で把握して、患者様と情報を共有する検査がなかったのです。これが誤診や治療のばらつきが生まれる原因だったと思います。そうした課題を払拭するのが光トポグラフィー検査です。この検査をうつ病の準バイオマーカーとして、当クリニックでは活用しています」。

検査は約15分で終了する簡単なもの。ただ先進医療技術ではあるが、この検査結果単体では用いず、あくまで診断補助として利用しているという。

「必ずしもそれぞれのパターン通りにならない場合も、人によって起きてしまいます。そこには個人差があって、この検査では判断しづらいケースもあるので、患者様との問診を十分行い、総合的に診断することが必要です」。

TMSは治療費が高額である治療だけに、治療前に効果が出るかどうか見極めることも、患者にとっては重要なこと。そういう意味でもうつ症状を客観的なデータで病状が把握できる光トポグラフィー検査の重要性はますます高まるばかりだ。

しかし最近は、こうした客観的な検査ができる技術の登場で、安易に検査を希望されるケースが増えていることに川口院長は警鐘を鳴らす。

「光トポグラフィー検査は、先に紹介したようにうつ病の症状・状態が客観的にわかるので、最適な治療ができていない人には有効な手立てとなります。しかし最近はこの装置で、うつ病か、そうでないかを検査したいとおっしゃる方が増えています。そうした患者様には、専門医による問診をオススメしています。これで症状は十分わかります。光トポグラフィー検査は、順番待ちになるほどニーズがあり、検査が必要な患者様が迅速に受けられるようにするためにも、利用者にはご理解をいただきたいです。そのための私たちの活動もこれから必要になってくると思います」。

『TMS』治療に欠かせない、臨床心理士のカウンセリングサポート

新宿ストレスクリニックでは、TMSによる治療だけでなく、臨床心理士によるカウンセリングサポートにも注力し、うつ病治療の効果をあげているという。

約2560平方メートル(約774坪)の広さをワンフロアで展開している新宿ストレスクリニック。落ち着いた印象の受付は、ホテルのフロントのようだ

川口院長に詳しく伺った。

「治療して、病気が改善されてきても、うつ病の特性として、患者様はネガティブなことに目がいきがちです。マイナスなことを訴えれば、また負の循環がはじまってしまいます。『この部分はまだだけど、ここはプラスになった』と、患者様本人がその変化を認めていく必要があるわけです。あと患者様が陥りがちな傾向として、うつ病の部分と自身の性格を混同してしまうこと。この2つを切り離して考えられないということがよくあります。臨床心理士は、こうした患者様の考え方の偏りや認知のゆがみを指摘してあげて、うつ病の改善のためサポートしています」。

TMS治療では脳の機能を高めるだけでなく、心のケアも重要な要素になる。日本で1年以上のTMS治療の実績をもつ新宿ストレスクリニックでは、その間に、新たな症例を重ね、治療も進化しているという。

「この1年実績を積み重ねてきて、脳の機能がさらに把握できました。どの部分を刺激すれば、その人の攻撃性を抑えられるか、内省的な考えが強い患者様の場合は異なる磁気(信号)を当てればいいというように、症状に合わせてTMS機器からの磁気パターンをかえたり、磁気をあてる部位をかえたりして治療を行えるようになってきました」。

こうした症状にあわせた治療を行い、新宿ストレスクリニックでは57%の寛解率に、84%の改善率と高い効果を生み出している。最後に、川口院長にどんな患者がTMSを利用しているのか聞いてみると、

「抗うつ薬を処方しても、1~2年でなかなか回復がみられない患者様はもちろん、未成年者も多いですね。厚生労働省も18歳未満に抗うつ薬の投与は充分に注意しています。若くて発症するものに躁うつ病が多いので、抗うつ薬を飲むことで、思いもかけぬ行動をしてしまうケースもあります。また、若い人にはTMS治療が効果的というデータもあり、当クリニックの約1割は若年層の患者様です」。

これまで日本は薬の投与でしかうつ病を治療できなかった。自由治療であるが、副作用のない磁気治療TMSは高い効果をあげており、新たな治療の選択肢として考えられるのではないだろうか。米国でも、薬物治療によりうつ症状が改善しない患者に推奨されているという。10代の若い世代の人たちや薬物治療をしても何年も改善しないという人には、一度検討してみる価値がありそうだ。

新宿ストレスクリニック(旧:新宿メンタルクリニック)
それまで米国でしか受けられなかったTMS治療の専門クリニックとして2013年6月に新宿にオープン。うつ病の的確な診断を行う光トポグラフィー機器はもちろん、TMS専用機にいたっては63台を設備し、磁気治療を行う万全の環境を整えている。患者は全国から来院しており、少しでも通院しやすいように2014年11月には大阪院(梅田)、12月には名古屋院のTMS治療専門のクリニック(*)を開院。現在、多くのうつ病患者の治療にあたっている。
*初診・光トポグラフィー検査は、東京の新宿ストレスクリニックで受診頂きます。梅田院・名古屋院は通院治療のみ。

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