ネットのキャンペーンを若手が考えるにあたって必ず通る道が「ネットにあまり詳しくない上司を通す方法」――。日産自動車のコンパクトカーJUKEが展開しているネットキャンペーン「よるドラ」は、節電するには夜に運転しよう、を呼び掛けるもの。内容はといえば、太めの外国人男性による「ヨル・ドラスキー教授の"よるドラ講義"」とAll About恋愛ガイド島田佳奈氏による「絶対に断られない!?誘いの言葉」で、けっこうぶっ飛んでいる。

日産といえば、イメージ的にはマジメな会社。このエッジなネット企画をどうやって上司に通したのかということで、同社マーケティング本部販売促進部主担(インターネット)の柳信秀氏(写真左)とマーケティング本部マーケティングダイレクターオフィスの谷川進一氏(写真右)に「エッジなネット企画を上司に通す方法」を聞いてきた。

同社マーケティング本部販売促進部主担(インターネット)の柳信秀氏(写真左)とマーケティング本部マーケティングダイレクターオフィスの谷川進一氏(写真右)

――最近の日産のプロモーションは、「低燃費少女ハイジ」とか「イケダン」(イケてるダンナ)とか突っ込みどころあるネタが多いような気がするんですけど、それはなぜなんですか?

谷川 : 我々はウェブをセールスプロモーションとして捉えています。販売促進部門の中にインターネットのチームがあり、インターネットでは"売り"に近い取り組みをしているのです。その中で、お客さんをいかに店舗まで足を運んでもらえるためのヒキになる企画をトライ&エラーを続けているので、当然「エッジ」な企画も数多く出てきているのだと思います。あと、社内にはネットリテラシーが高い人が多いのかもしれません。私自身もネットが好きなので、ネットでのプロモーションは積極的にやっていきたいと考えています。

ちなみに私が好きなサイトは2ちゃんねるのまとめサイトですね。ニュー速系をマメにチェックしています。あとは、Twitterで自分の車や関係したプロモーションについては逐一リサーチしてチェックしています。その反応を見ながら、次の手をどうやっていくかを考えるのです。

注目度が上がれば上がるほど、企画に対して横槍が入ってくる

――ところで、どうやって上司にはネットの企画を通しているのですか? そこが多くのネット担当者の悩みどころだと思うのですが……。

谷川 : インターネットは、数字で結果が残るものなので、数値で結果予測をしっかり示して、企画の承認をもらうようにしています。提案するときは「結果は出します」ということは宣言します。たとえば、「検索にこれだけ誘導します」「SS(セッション数)はこれだけ取ります」といった指標を出すことが社内的には求められています。

柳 : 企画の内容は、その数値を達成するためのものなので、上司とは目標値でコミットするのです。役員が見るのは中身というより、結果ですね。

谷川 : 広告宣伝においてインターネットはまだマスと比べれば、社内でマイナーでしたが、ここ最近ネットの注目度があがり、予算が増えてきているので、上申する相手も変わってきています。これまでは、ネット草創期に色々とトライアルをして、「日産のウェブは面白い」というイメージを作ってきたからには、社内でクギを刺されないように、その芽をつぶさずにやっていきたいと思っています。

柳 : 僕自身、かなりKPI(重要経営指標)は重視し、どれだけの成果を挙げられるかの投資効果は考えています。媒体にバナーを張ることも効果的ですが、この「よるドラ」のような企画でニュースで話題をつくりながら、ソーシャルの拡散でお客さんを集める方が効くということも証明していきたいのです。

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