究極の投資法の一つが、システムトレードであるということに異論を唱える人は少ないだろう。裁量トレードであっても、どのような場合にポジションを入れ、どのような場合に損切り、利食いをするかはあらかじめ決めておかなければならない。でなければ相場は勝てない。そのときの気分気分で、ポジションを入れてみたり、決済をしてみたりでは、短期間にまぐれで利益を出すことはあっても、長い目で見れば結局損失をだすことになってしまう。

このシステムトレード手法を自動プログラム化したのがトレードシステムだ。つまり、トレードシステムが究極の投資法の一つということになる。PCを起動して、システムを走らせておけば、何もする必要がなくなる。自動的にポジションを入れて、自動的に決済をして、勝手に資金を増やしていってくれる。

ところが、一つだけ、大きな問題がある。それは、着実に利益を出せるトレードシステムに出会えるかどうかだ。トレードシステムの価格は高額のものが多いので、試しに買って運用してみて、だめだったら別のをまた買うというわけにもいかない。どうやったら、優れたトレードシステムを探せるのだろうか。

テラス独自の基準を設定、トレードシステムを評価

このような悩みに答えてくれるのが、林芳郎氏が代表取締役を務めるテラスが運営する『システムトレードのテラス』だ。日経225先物、株式、FXのトレードシステムを比較検討することができ、そのまま購入までできる。

テラスの最大の特長は、テラス独自の基準を設定して、すべてのトレードシステムを評価している点だ。具体的には、平均年利、シャープレシオ(リスクあたりの利益率)、ペイオフレシオ(勝ちトレード利益/負けトレード損失)などだ。すべてのトレードシステムについて、同じ基準の評価項目が適用されているために、すべてのシステムを横並びで比べることができる。また、利益率については、可能な限り、税金や手数料なども考慮し、投資家の"手取り"で比較できるように工夫されている。

『システムトレードのテラス』トップページ画面

さらに、フォワードテスト(実際の資金投入はしないが、現実の相場価格を使った運用成績)は、テラス側が独自で行い、その結果は常に公開しつづけている。相場状況に合せて、新鮮な運用成績でシステムを評価していくことができる。

さらに、私個人がもっとも特徴的だと思うのが、実際にシステムを購入した人の口コミが掲載されている点だ。

「トレードシステムを購入して運用後、利益がでているときというのは、ほとんどの方がなかなかそのことを口にしたがらないものです。いいものは人に教えたくないという心理が働くのでしょうか。テラスでは、このような実際の利用者の方の口コミを書きこむ場を用意していますので、実際の利用者の方の生の声も参考にして、システムを選べるように工夫しています」(林氏)。

テラスのサイトを訪れてみていただければわかるが、トレードシステム関連のサイトにありがちなマニアックな感じが全くしない。どちらかというと、パック旅行の比較検討サイトや、レストランの比較検討サイト、といった雰囲気なのだ。

旅行やレストランのガイドサイトを使ったことがある人はピンとくるだろうが、口コミというのは非常に有益な情報だ。価格やレストラン側のアピール文は素晴らしいのに、口コミに気になる一言を見つけたりすると、足が向かなくなる。逆に、ひとつの口コミはものすごく否定的なことばかり書いてあるのに、他の口コミと比べることで、逆に行ってみようかという気になることがある。私たちは、口コミからリアルな姿を読み取る非常に高い能力をだれでももっているのだ。

「四つのこだわり」でトレードシステムを評価

「テラスは四つのこだわりをもっています」(林氏)。

一つは、過去の運用成績を最低2年間は公開する基準を設けている。「システム開発者によっては、ここ1年の成績がすごくいいので、そこだけ公開したいとおっしゃる方もいるのですが、テラスではそれはお断りしています。よくても悪くても、最低2年間は公開していただけないのであれば、掲載をしません」。

二つ目は、株、日経先物、FXを統一的な評価基準で評価していることだ。「株であれば何万円プラス、日経先物であればラージ1枚で何万円プラス、FXであれば何ピップスプラスなど、評価がばらばらです。すると、株のシステムトレードをしている方は株だけに興味をもち、日経先物やFXには無関心になりがちなのです。そこで、株、日経先物、FXのトレードシステムの運用成績を%で統一的に評価した値を掲載して、対象銘柄を超えた比較ができるようにしています」。本来の投資は、FXだけ、株だけということではなく、幅広く投資対象を広げ、ポートフォリオを構築していくべきだ。トレードシステムを使う場合も同じで、自分のなじみのない対象銘柄のトレードシステムにも興味をもちやすくなる工夫がされている。

三つ目が、システムの運用成績である資産曲線には、「サブプライム問題」「リーマンブラザーズ破綻」などの、相場に影響する事件、イベントが同時に表示されることだ。これでシステムが、大きなイベント時にどのようなパフォーマンスを示したのかがわかりやすくなる。

四つ目が、複数のトレードシステムを三つまで選ぶと、運用成績の平均値が表示されることだ。平均値ということは、その三つのシステムを併用して、ポートフォリオを組んだ場合の資産曲線になる。もちろん、選ぶシステムは、株、日経先物、FXのいずれが対象になったシステムでもかまわない。

テラスの林氏が注目する「集合知」

林氏が注目しているのは集合知だ。

「トレードシステムは、資本と時間をかけたからいいものが作れるというわけではないんです。ひょっとしたら、地方でPC一つで、一人で開発されたシステムがものすごく優秀なパフォーマンスをあげることもありえます。あるいは、その一つのシステムだけだと、利益と損失の幅が安定しないけど、別のシステムと組み合わせると、高いパフォーマンスをあげるということもありえます。このような評価は、一人で行うよりも、集合知で評価した方がいい。その集合知を集める場所としてテラスを設立したのです」。

要するに、オンライン百科事典「ウィキペディア」と同じ原理だ。ウィキペディアは、個々の記事については、誤りが多いという議論もされていたが、そのような誤りは多くの人の目に触れることによって、どんどん修正されていく。今では、出版社が発刊した百科事典と同程度のものとして信頼が置かれているのだ。

林氏のもう一つの主張が、「できれば一つのシステムではなく、複数のシステムを運用して、ポートフォリオを構築していただくのが理想です」というものだ。

次回は、複数のトレードシステムを使って、ポートフォリオを組んでいく方法論をお伺いする。