メキシコ渡航記パート2 メキシコシティ編(4)

プロレス好きな私の小さいころの夢のひとつは、「プロレスラーになること」でありました。そしてメキシコといえば、プロレス! メキシコではリチャリブレと呼ばれていて、マスクを着け、カッコイイ技を見せてくれるレスラーがいっぱいいるのです。ですから、リチャリブレが見たいっていうことで連れて行ってもらいました。しかもその日は「優勝決定戦」。たくさんの観戦客が会場にいらっしゃいました。

お約束ですが、試合会場はデジカメなどの撮影が禁止なので、カメラを持って入ってはいけません。でも携帯画像はみなさん撮られてる。私も携帯画像とか撮りたいぞ! と段々エキサイティングしてきた私は、前の列のほうの座席にもかかわらず、「ねえねえ、前のほうに行ってリングサイド見たいんだけどいいかなぁ?」とコーディネーター&通訳のメキシコ人のペペに相談。やはり会場は治安もあまりよいほうではないし、「んー、それなら誰か付き添いするからいいよ」と言ってくれ、ボディガードよろしく、運転手さんが付いて来てくれました。私はリング近くまで行き、なかなか日本では見ることができないプロレスラー選手を激写。でもやはり携帯画像じゃよくわからない。でも近くで見れて嬉しい♪ そんな感じでまた座席に戻ってきました。

すると、しばらくしてメキシコの知らない方が座席まで来てコーディネーターに話かけている。「やば、画像撮ってたから怒られたかなぁ」。内心そう思いました。そしたらなんと、先ほどまでレスラーに向かって激写していた私を、リング内で撮影していた雑誌の編集者の方が「あれ? あの子、もしかしてアーティストかな?」という風に思ってくれたらしく、会場に遊びに来たアーティストとして写真を撮ってもいいですか? という相談でわざわざ来てくださったのでした。

そこで喜多(修平)くんと私は「日本から来たアニソンシンガー」として写真を撮ってもらい、インタビューまで受けました。どうやらメキシコではとてもメジャーな雑誌らしく、そこには多分、「プロレス好きのアーティスト」として載ったのではないでしょうか。帰りにはお気に入りのレスラーのTシャツも買え、できればお姉キャラ(彼は試合中に、相手にチューしたりするんです)のレスラーのTシャツも欲しかったのですが、それはありませんでした。残念。

そんなわけで大満足で帰宅。次の日はライブでしたので、パワーをもらって帰りました。そしてライブ当日。海外では何度かライブさせてもらっていますし、数週間前にもメキシコ、グアダラハラでライブしてますし、今日も大丈夫でしょう! なんて思っていました。ところがどっこい、びっくりしましたぁ。あのステージ脇に置いてある酸素ボンベや看護士さんの意味がやっとわかりましたぁ。メキシコのファンのみなさんの熱気はとてもパワフルで、みんなノっていて、一緒に歌ってくれたりするので私も嬉しくなってリズムをとりながら動いていたら……きゃあ～、なんとカラダ全体でリズムをとった途端、息が吸えない～!! というより空気がない。

そうなんです、もともと標高も高く空気が薄いのですが、例えば「ふはぁ～」とカラダ中の空気を抜いて、空気がない水中にいるような、吸いたくても空気がないような、そんな感じになり、びっくりしました。なので、その瞬間から調子にのりすぎて飛び回るのは控えましょうと心に誓ったのでした。

喜多くんと2曲ずつ交互に歌っていましたので、歌わないときは楽屋で「ふはぁ～」としておりました。喜多くんのほうは手先まで空気が廻っていないのか痺れていたらしく、やはり楽屋にいたときは酸素ボンベのお世話になっていたらしいです。そうそう、その看護士さんかなり優しい雰囲気を出されていて、お子ちゃまも連れてきていたので、ライブ中、楽屋で一緒に写真を撮ってたりしました。

酸素が足りなくなるライブなんてそうそう体験できるものではないので、今回のことはとても勉強になりました。メキシコファンのみなさんも優しくて、日本のアニメを本当に愛してくれてるなぁと感じました。ブラジルでもそうでしたが、私が歌っている「地球ぎ」「君と同じ青空」という曲では、みなさんが大合唱してくれました。

そして、ライブ最終日にはスペイン語で「地球ぎ」を歌わせていただきましたが、かなり難しかったぁ……。なんなんでしょう、ポルトガル語にも似ているんですが全然違うものだから、どうしても先に覚えたポルトガル語が出てきちゃったり、発音が難しかったり(1音にたくさんの言葉が凝縮されているので、瞬間で歌うのがかなり難しかったです)、もうどきどきでした。あれ、みんな聴き取れたのでしょうか?

こうしてなかなかできない経験ができるのは本当に嬉しい限りです。まだまだ世界中の人たちと一緒に歌ったり、ライブしたいなぁと改めて感じています。それまで私も日本でがんばらねば! 今日もイメトレで、ミュージックづくりをしてきます。また次週お会いしましょう。
See you soon love xx.