5日、TBSが10月期の番組改編説明会を行い、今秋から月曜21時台での『THE MC3』のレギュラー放送スタートを発表した。

同番組は「中居正広、東野幸治、ヒロミのMC3人が旬のゲストをロケやトークで深掘りし、新たな顔を引き出す」というコンセプトのバラエティ。今年5月に特番として放送され、早くもレギュラー化されたところに期待のほどがうかがえる。

注目すべきは『THE MC3』が中居正広にとって21時台に放送される4つ目のレギュラー番組であること。これまで火曜21時台の『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ)、金曜21時台の『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS)、日曜21時台の『だれかtoなかい』(フジテレビ)と各局の21時台を担ってきたが、今秋からは週7日中4日で中居のMC番組が放送される。

現在これら以外のレギュラー番組は土曜昼の『中居正広の土曜日な会』(テレビ朝日)のみ。ゴールデンタイムの全4番組が21時台で放送されている。中居のMCとしての実力に疑いの余地はないものの、なぜ19時台や20時台ではなく21時台に集中しているのか。テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • 中居正広

    中居正広

21時台における長期と短期の実績

新番組が放送されるTBSの月曜21時台は難しい時期が続いている。

現在放送中の『ジョンソン』は1年で終了。前番組の『クレイジージャーニー』は内容と時間帯がフィットせず1年で22時台へ移動。前々番組の『CDTVライブ!ライブ!』も1年半で20時台に移動。前々々番組の『アイ・アム・冒険少年』も10か月で19時台に移動。前々々々番組の『メイドインジャパン!』は1年で終了。それ以前は約30年にわたって2時間のドラマや映画が放送されていた。

つまり1時間のバラエティで結果が出たことがなく、しかも『ジョンソン』はTBSが「伝説のバラエティ」と自負する『リンカーン』の後継番組として華々しくスタートしながらわずか1年で終了。視聴率が獲れないため、徐々に放送回数が減り、最近は「まだ番組が続いていたのか」などと驚くような声すらあがっている。

だからこそ新番組に求められるのは、月曜21時台で腰を据えて放送すること。何より安定感が優先された結果、中居、東野、ヒロミの3人が選ばれたのだろう。なかでも先頭に名前が表記される“番組の顔”の中居は、トーク力と21時台の実績という2点で業界随一の安定感がある。

また、注目すべきはTBSが今秋から採用する新指標(「LTV4-59」)。これまでTBSのメインターゲット層は4~49歳だったが、新指標では上限が59歳に引き上げられる。4組の若手芸人を起用した『ジョンソン』は鮮度を優先した結果うまくいかなかったこと。さらに新指標でターゲット層を上に広げたことで、52歳の中居、57歳の東野、59歳のヒロミを起用したことの辻褄が合う。平均年齢56歳の高齢である上に「またいつもの顔ぶれ」などの否定的な声もあるが、それでも4~59歳の個人視聴率なら勝負できるということだろう。

TBSは「月曜21時台の救世主として中居に期待している」というニュアンスが感じられるが、そんな状態と似ていたのが、1年半前のフジ日曜21時台。現在『だれかtoなかい』が放送されているフジの日曜21時台も長年苦戦が続いていた。2007年にデータなどのねつ造で『発掘!あるある大事典Ⅱ』(関西テレビ制作)が打ち切られて以降、何をやっても誰を起用しても短命に終わったことで、切り札として松本人志と中居がMCを務める『まつもtoなかい』をスタートさせた。

現在は松本の活動休止に伴い『だれかtoなかい』に改題してムロツヨシがパートナーを務めているが、フジの日曜21時台は中居が支え続けていることに変わりはない。ともに2001年スタートの『世界仰天ニュース』と『金スマ』が23年にわたって21時台で放送され続けている上に、この1年半で『だれかtoなかい』の実績が加わった。TBSがそんな21時台における長期と短期の実績を持つ中居に頼るのは当然かもしれない。