11日夜、『爆笑レッドカーペット ~真夏の最新ショートネタ60連発! 大復活SP~』(フジテレビ系)が放送された。
11年ぶりの復活とあって、放送中から放送後にかけてSNSにはコメントが殺到。「面白かった!」「復活うれしい」「記憶が蘇る」「あっという間に終わった」「またやってほしい」などの「おおむねポジティブなもので占められていた」と言っていいだろう。
同番組は「1分程度のショートネタを披露し、赤いベルトコンベアーで流されながら退場していく」という構成・演出で一世を風靡。数多くの人気芸人を輩出した一方で慣れられてしまったのか、徐々に視聴率が下降して14年に放送を終えていた。
しかし、今回は放送前から期待の声があがり、放送後も定期特番化を望む声があがっている。ここでは『爆笑レッドカーペット』の可能性、ひいてはショートネタの現在地点などをテレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。
10代・20代にリーチできる希少性
まず『爆笑レッドカーペット』について。放送前から「タイパ重視の現在に合う」という声があがっていたが、番組を見ながら「その通りだな」と感じていた。
「1分程度で終わる」とわかっているから気軽に楽しめるし、知らない芸人が出てきても気にせず自分の好きな芸人を待つことができる。また、1つのネタが短いから、あまり笑えなかった芸人がいても気にならず、全体的に「笑った」という印象が残りやすい。良い意味で「『あ~よく笑った』と思うけど、どんなネタだったかあまり覚えていない」という雰囲気を楽しむ番組に見える。
そんな若手にとってチャレンジしやすい環境だからこそ、新星が発掘されやすいのだろう。実際、かつての常連や最近の賞レースファイナリストだけでなく無名の新星も含め、バランスよく60組がラインナップされていた。かつての常連で押し切ることもできたはずだが、その割合を3割強に留めたところに今後への発展性を感じさせられる。ひさびさの放送だけに「番組にハマる」「スター候補」を探るオーディション的な要素があったのかもしれない。
バランスよく新旧60組をそろえればおのずと視聴者の幅は広がるが、注目は今をときめく若手女優の原菜乃華が「私にとってのスーパースターたちが……」と感激していたこと。21歳の彼女がこう言うのだから、常連だけでも20代をそれなりに引きつけられるのだろう。
さらに、それ以下の10代にとって常連のネタは新鮮なのはもちろん、笑える可能性が高いタイパのいいもの。そのため『爆笑レッドカーペット』はフジテレビにとって彼らを引きつけるチャンスの番組であり、同時に子どもと一緒に見られる番組を探す親世代にとってちょうどいいものになりうる。
『爆笑レッドカーペット』は人気絶頂のころから「ショートネタは邪道」「芸人を消費するな」「扱いがひどい」などの批判もあったが、当時とは時代が変わった。TikTokやYouTubeのショート動画などで多彩なエンタメが手軽に見られる現在、そんな批判はナンセンスであり、むしろ「ショートネタ作りに慣れているから出たい」という芸人が多いのではないか。
