話をいったんショートネタ全体に広げると、TikTok、YouTube、ドラマなど、コンテンツの量が増えているだけでなく、幅も広がり続けている。しかも局地的なトレンドを作り出す爆発力があり、その点で近年のテレビはおくれを取っている感が否めない。

早送り視聴する人が増え、音楽も前奏なしが当然など、「タイパ前提のニーズは不可逆」とも言われている。だからこそテレビの優先度が低い若年層を引きつけるためには、「いかに中毒性のあるショートネタを手がけていくのか」が重要なのだろう。

今年2月、『ザ・イロモネア』(TBS系)が8年ぶりに復活して称賛を集めたことも記憶に新しいだけに、『爆笑レッドカーペット』の好評を受けて民放各局はショートネタの可能性を模索していくのではないか。

フジテレビのショートネタ番組に目を向けると、『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』は石橋貴明の病気療養中などもあって事実上の休止状態。また、年1・2回ペースで放送されていた『IPPONグランプリ』は1年半以上放送されておらず、カンテレ制作の『千原ジュニアの座王』も全国放送の特番はわずかに留まっている。

もちろん新たなショートネタ企画が生み出せればいいのだが、そう簡単ではないだろう。ちなみに90年代に一世を風靡した『タモリのSuperボキャブラ天国』の「ザ・ヒットパレード」もフジテレビが誇るショートネタ企画の1つ。爆笑問題、ネプチューン、海砂利水魚(現・くりぃむしちゅー)、ロンドンブーツ1号2号らの人気を決定づけたコーナーだけに「令和仕様にブラッシュアップしたものが見たい」という人もいるだろう。

これらの背景もあって、フジテレビとしても視聴者としても、『爆笑レッドカーペット』への期待は大きくならざるを得ないのではないか。今回のお盆に加えて季節に一度程度の特番放送があってもいいのかもしれない。

フジテレビは長尺の賞レース『THE SECOND~漫才トーナメント~』を3年連続で放送し、じっくり聞かせる漫才の再評価につなげただけに、真逆の『爆笑レッドカーペット』が復活すれば、互いを引き立て合うコンテンツになりそうな感もある。

「便利使い」から「宝物扱い」へ

『爆笑レッドカーペット』は、かつて「フジテレビにとって救いの番組」とみる業界人が少なくなかった。

そもそものスタートが「期待されていた」というより「穴埋め」。07年2月、『発掘!あるある大事典!!』の不祥事による打ち切りで浮いた日曜21時台で特番が複数回放送された。

その後、初回放送から1年あまりが過ぎた08年4月に水曜プライム帯(22時台)でレギュラー放送がスタート。さらに09年4月には土曜ゴールデン帯(19時台)、10年4月には日曜ゴールデン帯(20時台)に移動したのち、レギュラー放送を終えた。

再び特番となったあとは、元日朝の放送を続けたほか、『土曜プレミアム』(21・22時台)での生放送版も何度か放送。しかし、14年以降は時折、復活を待望する声があがりながらも実現しない状態が続いていた。

『爆笑レッドカーペット』は「裏番組が強い激戦区などの視聴率が取りづらい時間帯に編成される」。あるいは「都合よく番組表を埋めるように使われる」という印象があった。つまり、フジテレビにとって使い勝手のいい便利な番組だったのではないか。

しかし、『爆笑レッドカーペット』はさらに時代のニーズとフィットしてきた感がある上に、現在フジテレビは苦況に追い込まれている。この苦境を打破するためにフジテレビは同番組を宝物のように扱ったほうがいいのかもしれない。

少なくとも『爆笑レッドカーペット』には現在の重苦しいムードを視聴者に忘れさせる圧倒的な笑いの手数がある。また、ネット上に「TVerでもう1回見よう」というコメントが多かったように、配信再生数などを前提にしたビジネスが期待できるのではないか。

最後に期待を込めて書いておきたいのは生放送化。音楽番組が生放送にこだわることで一時の低迷を脱したように、『爆笑レッドカーペット』にも同様のライブ感を期待したいところ。生放送特番化していた12年当時と比べるとリスクは格段に上がったが、だからこそリアルタイムで人を集められる可能性も上がったように見える。

ともあれ、今回の放送がさまざまな発展性を期待させたことは間違いないだろう。