「労災」という言葉をご存知でしょうか? 労災とは「労働災害」を指し、仕事が原因で、けがをしたり病気になったりすることです。この連載では、労災かそうではないか判断に迷う読者の悩みを紹介します。

Q.会社主催のキックベースで骨折。これは労災になりますか? (東京都・男性・会社員・37歳)

A.スポーツ行事や顧客接待が、労災認定される可能性は低いです。

  • 会社行事でのけがは労災になる?

社内行事のけがは労災?

1990年代以降、社内運動会や接待ゴルフはかなり減りましたが、ちかごろは、IT系のベンチャー企業などで、サークル活動やイベント開催などが再び盛り上がっているようです。

以前は、ほぼ強制参加や営業目的の接待ゴルフが主流だったそうですが、最近は、あくまでも任意参加であり、ゴルフもお酒も社内外の同好の士が集うような、無理強いがない場合が多いようです。

イベントも時代とともに様変わりしてきましたね。

さて、そのような楽しい行事であっても、スポーツであればケガはつきもの。会社主催や仕事の付き合いがからむ場合、「これは労災になるのかな?」という疑問が頭に浮かぶことは多いでしょう。

結論からいえば、会社主催であれ、顧客接待であれ、業務災害として認定されることケースは、極めて低いようです。

明らかに業務中である場合は認定されるケースも

業務災害として認定されるためには、業務遂行性と業務起因性の2つを満たす必要があります。

たとえば総務課の社員が、会社主催の運動会に運営スタッフとして業務命令により携わり、運動用具の移動中に下敷きになって負傷したような場合は、業務遂行性と業務起因性があると判断されて、業務災害が認定される可能性は高いでしょう。

あるいは、平日の業務時間中に社長の号令の下、全員参加が強制される社内スポーツ大会で、強制的に出場させられた騎馬戦で負傷したような場合も、業務災害が認定される可能性は高いでしょう。

業務外の任意参加であれば労災認定されない

しかし大半の社員は、休日や平日の業務時間外に、イベントを楽しむ側として、強制ではなく任意で参加している、という建て付けになっていると思います。

仮に「上司に誘われたから断りづらい」という同調圧力やお付き合いの場合も含めて、広く任意性が認められる傾向があります。

また、最近では減ってきたとはいえ、接待ゴルフでの負傷も時々はあるようです。この場合も、明らかに商談を兼ねた業務命令で参加していた社員に業務災害が認定された例はありますが、あくまでもレアケースです。

接待ゴルフは、認定される可能性が極めて低い、と認識しましょう。

レクリエーション保険に加入がお薦め

冒頭にもお伝えしたように、近年は再び、会社でのサークル活動やイベントが増えています。スポーツであれ旅行であれ、ケガはつきものです。

万が一の時に労災認定される可能性が極めて低く、仮に可能性がある場合でも審査結果が出るまで不安を抱え、訴訟を起こすには、多くの時間と労力がかかります。

特に会社がらみや部署単位でスポーツ大会を主催したり参加したりする場合は、万が一の負傷をカバーできる、レクリエーション保険などに、しっかり加入して参加するような社内ルールやスキームを準備しておきましょう。

著者プロフィール : 米澤 実(よねざわ みのる)

社会保険労務士事務所 米澤人事コンサルティングオフィス代表
千葉県船橋市出身。株式会社リクルート(現リクルート・ホールディングス)でクリエイティブディレクター、ライン組織マネジメント、グループ企業の人事部長を経て、2010年独立。現在は「元気で強い成長企業の実現を支援する人事労務コンサルタント」として活動している。