母親たちの学びを最大化するための秘密とは

日本企業においても多様性のある組織への大転換がすぐそこまで来ています。というよりも、既に多様化が進んだ現実に組織として必死に対応しようとしている、といった方が正しいのかも知れません。

多様性社会でジレンマを抱えて育った世代

多様性社会への流れは、我々が好むと好まざるとに関わらず進んでいく「時代の方向性」そのもの。集団よりも個の力の意味が増す多様性社会では、自分で考えて、判断し、行動することで、他者よりも効率的に新しい価値を生み出すことが求められます。つまり、「個」として働くことで、パフォームする社会へと変わってきているのです。

一方で、今の働く親世代がどのような環境で育ってきたかというと、実は多様性社会を想定した教育を受けてきたとは言えない現実があります。

日本の高度成長期は、大量の労働力で長時間働くことにより経済の成長を支えてきた時代です。そのため、今から30年ほど前の教育現場では、教えられた(与えられた)ことをより性格に、より早く、そして均一に取り組む姿勢が評価され、全般的に「同一性」が鍛えられてきました。

ところが、そんな同一性重視の教育を受けた世代が社会に出る頃には、かつての発展シナリオが破綻しており、量よりも価値で勝負する高付加価値化の時代となっていました。社会人になって突然、「自分にしかないモノを生み出せ! 」と要求され、それまでの正解が通用しない困惑とプレッシャーを強く感じた世代なのではないでしょうか。

"個人の力"を発揮する姿を子どもに見せよう

一方で、現代の子どもの教育現場が多様性社会に適応できているかというと、残念ながら未だ過渡期にあると言わざるを得ないでしょう。よって、皆さんが家庭において多様性社会を意識し、子どもと接していかなければ、将来子どもにも同じ苦労をさせてしまうかもしれません。

そこで働く親ができることは、子どもたちに、多様性を受容する環境や視点のある教育を受けさせること。そしてもう1つは、自らが「多様性社会を生きる大人」としてのお手本を見せることではないでしょうか。

多様性社会(組織)の中で働くには、今まで以上に個人としての力が要求されます。組織や上司がゴールを与えてくれなくなり、指示を待っていては結果を出せないフィールドで戦っていくことになります。その環境下でも、しっかりと自分を立てて働いている姿を見せることが、子どもにとっては何よりも価値のある多様性教育になるはずです。

今の時代ならではの「働く」との向き合い方かも知れませんが、自分の働き方次第で子どもの将来を支えられるというのも、働く親ならではの幸せではないでしょうか。

※写真と本文は関係ありません


ごあいさつ

全20回にわたって続けてきたこの連載も、今回で最後となりました。8月はお休みをいただいて、9月以降に引き続き、働くパパ・ママに向けた記事の掲載を進めていく予定です。最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


著者プロフィール

ここるく 代表取締役 山下真実

「わが子を大切するために、ママが自分自身を大切にできる子育てスタイル」を提案し、人気のレストランが託児付きで楽しめるサービス「ここるく」を運営するママ起業家。
投資銀行や金融系コンサルなど金融業界でキャリアを積みつつ、2011年に第一子を出産。初めての子育て中に「今まで気にもとめていなかった当たり前の事が、産後は一気にできなくなるんだ! 」と感じたことがきっかけとなり、現代に合った子育て支援を実現するため2013年にここるくを設立。同サービス運営を通じて得られる働くママ達のリアルな視点とコンサル経験を活かして、企業に対する女性活躍推進コンサルティングを行う。

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