3人の男の子を育てるユウさんが、妻の初めての育休復帰についてエッセイで綴ります。今回は最終回。生活がうまく回らず悩んでいたユウさんがとった行動とは?

→これまでのお話はこちら


仕事は繁忙期で残業続きの中、家事・育児をサポートしながら在宅勤務で働く妻の悩みをよなよな聞く日々……

仕事が遅くなると家庭が回らない、家庭が回らないので仕事にも悪影響が出てくる、そんな悪循環に陥り、もうろうとする頭で考えました。

そして至った結論は……

家族だから、大切な人だから、当たり前の結論かもしれませんが、とにかく妻のことが心配! 子育てや家事に関われるよう、仕事を休めないか、早く帰れないか、各所に相談することにしました。

独身の頃は仕事優先の生活を送っていたので、休みはたまりまくっていました。

忙しい時期というのもあり、上司は「突然何を言い出すんだ!?」という感じ……

なかば強引に、なんとか了解を得ました。

急な話でびっくりした部下たちは少し慌てましたが、決めたその日から定時退社を実行しました。

当時、私の課内には残業が当たり前という風潮があり、課長である私がその先陣を切っていました。上司が残業していると、一緒に残る部下も増えるわけで、「付き合い残業」という悪しき習慣が根強くあったのです。

急に残業をやめたら仕事は回るのか、と疑問に思われるかもしれませんが、付き合い残業がなくなり、長時間の会議など、無駄な業務を見直したことで、職場全体の労働時間はかなり削減できました。

結局、今振り返ると、長時間労働して会社に貢献しているようなつもりでいても、逆に非効率であることも多かった気がします。特に私の仕事は企画の立案・運営だったので、アイデアを出すことが大事。家で家事や育児をしているときの方が、よっぽど良いアイデアが浮かんできました。

このことがきっかけで、以後、他部署も含め残業削減の流れができ、全社的に残業が減っていきました。

勤続年数や立場によって同じようにはいかないかもしれませんが、職場でいざというとき助けてもらえる良好な人間関係を築いておくことは大事だなぁと感じました。

また取りにくい状況があっても、家族の一大事にこそ思い切って、休暇を取ってほしいと思います。家庭が安定していないと、結果、仕事にも支障をきたしますし、勇気を持って休むことで、職場の風土も変わるかもしれません。

早く帰宅した僕を見て、妻もびっくり。

妻はみるみる元気になっていきました。

それから気をつけたのが……

仕事については、妻自身、責任を持ってやっていくという意思がありましたので、「仕事減らしたら?」「しばらく休みにしたら?」などということは、私からは決して言わないようにしました。

ただでさえ「以前のようにやれていない」と悩んでいるのに、簡単に「仕事減らしたら?」などと言われたら、ショックを受けると思ったからです。

家庭が落ち着いてきた頃、妻は自分で解決策を見つけてきました。

支援センターのカウンセリングです。

専門の方に相談することで「前みたいにやれていない」という自分の中の葛藤が、少しずつ晴れていったといいます。

夫婦での会話も大事なのですが、幅広い知識をもって、客観的な視点を持ったアドバイスをいただけたのが、良かったようです。

この体制は、ヒーが1歳になるくらいまで続け、保育園にも慣れてきた頃、妻は通常勤務へと戻っていきました。その後も自然と、家庭での時間を作るために、仕事の効率化・脱残業を意識できるようになりました。

私の場合は、有給休暇の消化でしたが、長男ヒーが生まれた頃、男性の育休は日本においてほとんど浸透していませんでした。あれから10年たった今でも「実際に取れるの?」と現実的ではない会社がまだまだあるようです。

これからはもっと男性でも育休を取りやすく、子育てに理解のある職場が増えたらいいなと思います。