ホンダの新型コンパクトSUV「ヴェゼル」が売れている。受注台数は事前受付開始(2021年3月11日)から2カ月の時点で2.95万台に到達。内訳を見ると、ホンダ独自のハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載するグレードが全体の93%と大半を占める。販売状況についてホンダで聞いてきた。
ホンダにとっては嬉しい誤算?
新型ヴェゼルのグレード展開は「G」「eHEV X」「e:HEV Z」「e:HEV PLaY」の4種類。価格はガソリンエンジン搭載車が227.92万円~249.92万円、ハイブリッド(HV)が265.87万円~329.89万円で、販売計画台数は月間5,000台だ。
「G」は1.5L DOHC i-VTECエンジン、残りの3グレードは同じエンジンに2つのモーターを組み合わせたホンダ独自のHVシステム「e:HEV」(イーエイチイーブイ)を搭載する。PLaYは前輪駆動(FF)のみで、それ以外はFFか4WDかを選択可能。ホンダとしては、ハンズフリーの電動テールゲートやブラインドスポットインフォメーションなど、いろいろな装備を標準で取り付けた「Z」が最もお買い得であり、販売のメインとなるグレードだと予想していたそうなのだが、結果はどうだったのだろうか。
さて、受注2.95万台の中身だが、グレード別の割合は「Z」が82%、「PLaY」が7%、「G」が6%、「G」が5%だった。購入者のうち3割がヴェゼルからの乗り換えで、別のホンダ車からの乗り換えは4割。残りの3割は新規顧客だ。
ホンダの見立て通り「Z」が1番人気なのだが、受注全体の82%という比率は想定を超える「嬉しい誤算」だと開発陣。同じくHVで「Z」よりも安い「X」がもう少し伸びると考えていたところ、HVでいえば「高い方」の「Z」に人気が集まったわけだから、ホンダが喜ぶのも当然だ。価格差と装備差を見比べて、「Z」が「お買い得」であることを見抜いた(?)購入者が多かったと見ることもできる。
9割を超えたHV比率の高さも予想以上の水準だったそう。「クルマの電動化」に関するニュースが毎日のように報じられる中で、消費者の意識もエンジンのみで走るクルマから電動車に移りつつあるのだろうか? そのあたりもヴェゼル開発陣に聞いてみたのだが、HV比率が圧倒的に高くなった要因については今後、解析していきたいとのことだった。
人気の新型「ヴェゼル」だが、半導体不足などのいろいろな要素も絡み合った結果、納期は延びている模様。2021年5月21日に聞いたところによると、「PLaY」は2022年5月ごろ、それ以外は2021年10月末あたりを見込む。「PLaY」の方が遅いのは、2トーンのボディカラーやパノラマルーフなど、このグレード専用の部分があるので作るのに手間がかかるからだ。ホンダでは生産や調達を担当する部門が「駆けずり回って」納期の前倒しや生産台数の増産に向けて注力しているとのこと。ヴェゼル開発責任者の岡部宏二郎さんも「巻き返すぞ!」と発破をかけているそうなので、ひょっとするともう少し早く、クルマが届くようなこともあるかもしれない。