リモートワークに移行する企業が増えてきた中で、若手から多く聞くようになった悩みが「常にオンラインにしておくよう上司から言われて苦痛……」といった「監視されている状態がツライ」問題です。
皆さんは「監視」スタイルのマネジメントをしていませんか?
リモートワークは「場の空気」が読みづらい
とはいえ、そういったスタイルを取りたくなる気持ちも分からなくはないのです。
「テレワークに関する不安感や孤独感に関する調査結果」※では、部下育成においては「業務の進捗状況がわかりにくく不安に思うところがある(46.3%)」という項目が1位でした。 ※パーソル総研2020年06月10日発表
オフィスにいれば、ちょっとしたとコミュニケーションも取りやすく、仕事の進捗状況も場の空気感でなんとなく分かったりするものです。
しかし、リモートワークは効率性が高い反面、こういった「場の空気」から読み取ることが難しいので、たくさんの方がこういった不安を持つのも当然でしょう。
ストレス負荷が大きい監視
とはいえ、やはり「監視」は、オススメしません。
なぜなら、相手の意欲をそぎ、悪性ストレスの負荷をかけてしまう典型的なマネジメント手法だからです。
「動機付け」の研究者として著名な心理学者エドワード・L. デシとリチャード・ライアンが提唱する「自己決定理論」では、人間は以下3つの欲求(中でも特に自律性が重要)を持っているとされています。
・自律性:自分自身の行動は自分自身で決めたいという欲求
・有能さ:自分の能力を発揮できているという証明に対する欲求
・関係性:周囲との良い関係性に対する欲求
テレワークでの「監視」は、3項目の全てを否定することになりませんか?
「きちんと仕事をしていないだろう(有能さの否定)」という前提に立った、ずっと上司の目がある、言い換えると「自律性」を奪われた状態での業務。こういった環境下では、ただただ不満とストレスが溜まっていくのが当然ではないでしょうか。
マネジメントは監視ではない
多くの企業で研修やコンサルティングをしていていると感じることがあります。若手の離職率が高い・メンタル不調者が多い企業では「マネジメント=ヒトを管理・監視してきちんと自分たちの思い通りに仕事をさせること」という「勘違い」が横行している点です。
「マネジメント」という言葉を辞書でひくと「やりくり」というニュアンスの言葉が出てきます。つまり、ヒト、モノ、ジョウホウ、ジカン……といった自分のチームが持つ資源を、うまく「やりくり」してより高い成果を出すことが本来の役割のはずです。
だからこそ、ヒトに対しては「より高い成果を出してもらえるような育成やマネジメントをすること」が求められるわけです。
しかし、監視という手段は、逆効果でしかありません。なぜならヒトには「気持ち(=感情)」があるからです。
ではどうしたらよいのでしょう。次回、そのコツを解説します。