大井川鐵道では昨年に続き、「きかんしゃトーマス号」を運行している。『きかんしゃトーマス』はイギリスで1984年から、『Thomas the Tank Engine & Friends』として放送開始。日本では1990年から、フジテレビ系列の子供向け番組『ひらけ! ポンキッキ』の1コーナーとして放送開始された。模型の機関車で撮影された人形劇で、初代ナレーションは俳優の森本レオが担当した。トーマスの声は戸田恵子だった。

今年も大井川鐵道で「きかんしゃトーマス号」が走る(写真提供 : 大井川鐵道)

フジテレビでの放送終了後、テレビ東京が放送権を獲得。ナレーションはジョン・カビラ、トーマス役は比嘉久美子になった。2010年放送のシーズン13からフルCG制作に切り替わった。現在は放送権がNHKに移り、教育テレビ(Eテレ)で日曜日の朝7時から放送されている。日本語の声の担当は替わっていない。

『きかんしゃトーマス』のファンは多い。しかし、鉄道模型版かフルCG版か、森本レオ版かジョン・カビラ版かで世代がわかってしまうといえそうだ。

ところで、本家といえる英語版を知っている人は少ないだろう。現在、日本国内向けに販売されるDVDも日本語音声のみとなっているようだ。じつは、英語版『きかんしゃトーマス』の初代ナレーターは、誰もがびっくりするような大物ミュージシャンだ。いったい誰なのか? 英国版Amazonで販売されている『Thomas & Friends - The Complete Series 1 』の商品説明を見てみよう。

英国版Amazonのカタログページ

下にスクロールすると、「Actors : Ringo Starr」と紹介されている

英国版『Thomas & Friends』のナレーションはリンゴ・スターだ。伝説のロックバンド、ザ・ビートルズのドラマーである。ザ・ビートルズはアマチュア時代も含めて1960年から1970年まで活動しており、リンゴ・スターは1962年にメンバーとなった。ザ・ビートルズは1962年10月にレコードデビューしている。

ザ・ビートルズは1966年に来日公演も行った。解散後、リンゴ・スターはミュージシャンとしてソロ活動を開始。他に映画俳優としても活躍した。そして1984年、『Thomas & Friends』にナレーターとして参加し、Season1・Season2のナレーションを担当した。他に声優として、1991年にアメリカの人気アニメ『ザ・シンプソンズ』Season2のEpisode18にゲスト出演。最近では2014年、『パワーパフガールズ』に出演しており、このときはオリジナル曲も作っている。

『Thomas & Friends』のヒットにより、イギリスではリンゴ・スターを「トーマスのナレーター」として認知している人も多いそうだ。日本のビートルズファンにとっても、『きかんしゃトーマス』のリンゴ・スター出演は伝説となっている様子。残念ながら、日本でリンゴ・スターのナレーションは聴けそうにない……と思ったら、なんとYouTubeの『Thomas & Friends』公式チャンネルに、Season1の動画『Thomas & Friends: The Sad Story of Henry』があった。

他にも見つかるかもしれないから、『きかんしゃトーマス』ファンもリンゴ・スターファンも公式チャンネルを探してみよう。

(※文中敬称略)