日本一の面積を誇る北海道。統計をひもとくと、北の大地の思わぬ素顔が見えてきます。
水泳は縁遠いがスポーツそのものは盛ん
まずは気候面。北海道の年間平均気温は8.9度(1980年~2010年の平年値 全国平均15.2度)で全国で最も寒く、年間雪日数も125.9日で全国1位(全国平均32.6日)と雪の多さも日本一。これが影響しているのが水泳で、中学男子水泳部員数は中学生100人あたり0.05人で最下位(2010年 全国平均1.61人)、中学女子水泳部員数も0.05人で最下位(全国平均0.97人)と寒いだけあって水泳から最も縁が遠いのが北海道です。
もうひとつ関係がありそうなのがスポーツ用品購入で、一世帯あたり1万9,220円は全国1位(2012年 全国平均12,090円)。これは北海道で盛んなウインタースポーツ用品が影響していると考えられそうです。
自他共に認める観光地
美しい大自然が魅力の北海道はホテル客室数が人口1万人あたり116.84室で沖縄県、長野県に次ぐ3位(2012年 全国平均116.84室)、外国人観光客訪問率が8.30%で8位(2010年)と観光客が多いのが特徴。道民の意識を見ても郷土愛が2位(2010年)、ふるさと自慢が2位(2010年)と、自他共に認める観光地と言えそうです。
北海道と言えば忘れてならないのが広い大地。もちろん面積は1位で、人口密度は最下位。人々は広い大地で暮らしているかと思いきや、人口集中地区に住む住民の割合を示す人口集中度は73.0%で全国8位(2005年 全国平均66.0%)、さらに持ち家率は57.22%で42位(2008年 全国平均61.12%)と、北海道は都市部の賃貸住宅に住む人が多いようです。他にも世帯あたり自動車普及率は87.8%で38位、自転車保有台数は人口100人あたり50.86台で19位と、ここにも車より自転車を使う都市型生活の傾向が出ています。
都市生活者と大規模農家の二極化
家族の様子を見てみると、核家族率が89.44%で5位、三世代世帯人数が人口100人あたり8.22人で43位、ひとり暮らし率が32.40%で東京都、京都府に次ぐ3位と核家族化が進んでおり、家族形態も都市型だと言えます。
では北海道は都市型の経済構造化と言われるとそうでもありません。農業生産額は1人あたり18万3,959円で4位(2010年 全国平均6万6,059円)、漁獲量は人口10万人あたり2万6,448トンで1位(2008年 全国平均4,372トン)、乳用牛飼育頭数は人口10万人あたり1万4,855頭で1位(2013年 全国平均1,118頭)と第一次産業の強さは全国屈指!
これらのデータから、北海道は広い土地があり第一次産業が盛んで、一見、農村社会のようですが、多くの人々の生活スタイルは都市型で、都市生活者と大規模農家の二極に分かれた社会と言えそうです。
北海道と他都道府県の相関図。独自の文化を持っていることが分かる |
700以上のランキングから、北海道の相関関係を筆者が割り出したのが上の地図です。赤は似ている県、青は正反対の県、黄色はどちらでもない県。東北にオレンジ色があるものの、ほとんどが黄色から黄緑色です。黄色や黄緑は相関関係があまりないことを意味しており、北海道はどこにも似ていない独自の特徴を持っているようです。沖縄県も同じ傾向があり、北海道と沖縄は日本の中でも独特の風土を持っていることを裏付けています。
※本文と写真は関係ありません
筆者プロフィール : 横道 文也(よこみち ふみや)
統計サイト「都道府県別統計とランキングで見る県民性」主宰。様々なデータを都道府県という切り口から分析し、新たな「おむつとビール」を探すデータマイナー。時系列でデータを分析する「年次統計」や歴史年表を分析する「年表マニア」などのデータサイトも運営。