団体旅行といえば、「修学旅行」や旅行会社の「添乗員付きツアー」を思い浮かべる人が多いだろう。数十人から数百人という規模になれば、鉄道の運賃は割引になって当然とも考えられる。ところが、この団体割引は、学校や旅行会社だけの制度ではない。JRの場合は8人以上で同一行程ならば団体割引制度を利用できる。8人以上のグループ旅行も団体扱いにできるのだ。

鉄道を使ったグループ旅行は2~4人グループが多いという。なぜなら、ほとんどの特急の座席は2人掛けで、向かい合わせて4人のボックス席になるからだ。この人数を超えると別の席にはみ出してしまい、"みんなで行く"という雰囲気が薄れてしまう。しかし、8人以上のグループ旅行の機会も意外と多い。例えば「同窓会で温泉へ一泊旅行」「部署単位で会社の研修施設へ移動」「大学のサークルでスキーへ」「中学生以上の子が2人以上いる家族が2組で遊園地へ」などだ。そんなときにはぜひ、団体割引制度を思い出してほしい。

8名以上、最大15%割引

JRの団体割引制度は、8人以上の同一行程の乗車券に対して割引になる。団体扱いは普通団体と学生団体に分かれる。普通団体はさらに、団体専用列車を仕立てた場合とそれ以外の場合に区分される。また、利用する期間によっても割引率が異なる。ちなみに「第1期」は3月1日~5月31日、7月1日~8月31日、10月1日~31日、12月21日~1月10日。「第2期」は第1期以外の日だ。

今回は普通団体の場合を紹介しよう。新宿で集合し、中央本線で石和温泉へ8人で行くとする。利用する列車は特急「かいじ」号だ。団体割引を使わない場合、ひとりあたりの乗車券は2,210円、特急料金(通常期)は1,810円で合計4,020円となる。ここに団体割引を適用すると、「第1期」は乗車券が1割引で1,980円、「第2期」は乗車券が1割5分引きで1,870円となる。最大340円、往復なら680円の節約になる。1人分だと僅かだけれど、8人なら5,440円。浮いたお金で駅弁を購入したり、昼食や夕食の際に料理を追加するのもよいだろう。

団体割引の条件は「同一行程で8人以上、9カ月前から14日前まで販売」というだけで、距離による制約はない。遠くへ行くほど割安になる一方、隣の駅へ行く場合も適用される。もっとも、遠くへ行く場合は往復割引や「ツーデーパス」などのトクトクきっぷのほうが安くなる場合があるし、近い場合は回数券を買ったほうが便利で手軽な場合もある。他の割引制度の比較検討を忘れずに。

JRの団体割引を利用するには、乗車日の9カ月前から14日前までに、JRの駅、旅行センター、旅行代理店に申し込めばいい。なお、さらに大人数になると追加特典がある。31人以上50人までの団体では1人の運賃と料金が無料になる。50人以上になると、50人ごとに1人ずつ無料になる。これは添乗員を意識した制度のようだが、もちろん個人が企画したグループ旅行でも有効だ。