ふだん何気なく電車や駅を利用していても、なぜ電車が時間通りに運行できているのか、「混雑率100%」の車両に実際何人乗っているのか……なんて、意外に知らないものですよね。元鉄道員の交通系YouTuberの綿貫渉さんが、面白くてためになる鉄道の豆知識を解説する「眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話」(日本文芸社)から、一部を抜粋してご紹介します。
海外の技術を応用・発展
第2次世界大戦後、停滞していた日本の電車技術が返り咲くきっかけになったのが、1950(昭和25)年に国鉄が中距離普通列車として運行を開始した「湘南電車」です。その10年後、国鉄が進めた動力近代化計画を境に日本国内で客車列車の電車化が一気に進みます。
1958(昭和33)年になると、国鉄が開発した特急列車「こだま」が東海道本線に登場。現在の東海道新幹線と同じ呼称ですが、動力を車輪に伝える駆動方式を見直し、従来よりも乗り心地をよくした長距離特急列車として登場しました。国鉄が目指したのは東京-大阪間の日帰りの実現であり、実際にこだまの登場で所要時間は片道6時間50分にまで縮まったのです。
そんなこだまの登場から6年後に登場したのが新幹線の「ひかり」。はじめてお目見えしたのは東京オリンピックが開催された1964(昭和39)年のこと。このとき世界の鉄道史上で初となる時速200km超での営業運転を実現したのです。
終戦の焼け跡より19年、世界中の鉄道技術者を驚かせた新幹線。その背景には、日本の技術者たちの絶え間ない努力がありました。電車技術のほとんどを海外で学び、それを特殊な日本の鉄道事情に転用できるよう応用・発展させたることに尽力したのです。
本連載は、 「眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話」より、一部を抜粋してご紹介しています。
「眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話」(日本文芸社)
著者:綿貫渉
電車はなぜ安全に時間通りに運行できるのか、遅延や事故・トラブルの際はどう対処しているのか、意外と知らないことも多いのが鉄道の話。本書では、「電車が止まってしまったけど、運転再開までどのくらいかかるの?「車内のトラブルに自分が居合わせたら……」といった、日常で起こるかもしれないギモンや不安にも役立つ知識を、元鉄道員の交通系YouTuberの綿貫渉さんが楽しく解説。鉄道好きでもそうではなくても、鉄道や交通に興味を持つきっかけとなる一冊です。Amazonや楽天ブックスで好評発売中。
日本文芸社 公式サイトhttps://www.nihonbungeisha.co.jp/book/b623649.html