マイナビは27日、「2014年中途採用状況調査」の結果を発表しました。同調査は、2013年10月~14年9月の1年間に中途採用実績のある企業713社を対象に実施したものです。本連載では、調査結果を元に2014年の中途採用の状況を振り返ります。

需要増に伴い、人材採用コストが上昇

企業の人材需要が供給を上回る「売り手市場」となった2014年の中途採用。要因としては、東京オリンピックに向けた建設業界の需要増やアベノミクスによる好景気などが考えられます。また、2008年のリーマン・ショック後に新卒採用数を抑えた企業では、20代後半~30代の中堅社員不足を解消するため、積極的な採用活動が行われました。

それに伴い、良い人材を確保するための採用コストも上昇しています。求人広告費が「昨年より大幅に増えた企業」は38.4%、「やや増えた」は30.1%と、約7割の企業が「求人広告費が増えた」と回答しています。「求人広告費が減った(大+やや)企業」は6.8%にとどまりました。

求人広告費の実績

業種別に見ると、「採用費が増えた」と回答した割合が高かったのは「流通・小売」(86.4%)、低かったのは「出版・広告・マスコミ」(61.5%)でした。

業種別求人広告費の実績

実際に掛かった費用は年間353万円

各社が1年間で「求人広告」に掛けた経費は平均353万1,200円、「人材紹介」に掛けた経費は382万2,300円という結果となりました。

業種別に見ると、人材紹介に掛けた費用では「流通・小売」(806万2,500円)、「メーカー」(455万5,700円)が上位に。求人広告にかけた費用の上位2業種は、「メーカー」(534万7,400円)、「サービス・インフラ」(294万9,300円)でした。

「流通・小売」「サービス・インフラ」業界は人の移動が激しく、人材需要が他業界よりも高いことから採用のハードルが上昇したと考えられます。また、「メーカー」は技術職の流通数が少ないため、ある程度の採用費を掛けないと人材が集まらないという現状があるようです。

一方、年間経費が低かった業界は「広告・出版・マスコミ」(人材紹介194万3,800円/求人広告102万8,000円)、「金融」(人材紹介205万円/求人広告42万円)でした。転職希望者に人気がある両業界では、それほど費用を掛けずとも人材が集まるため、小売などに比べると低コストで採用活動ができているようです。

1人当たりの求人広告費は40万円に

1名あたりの求人広告費の平均額は39万2,800円。職種別に見ると、最も安いのは「技能工・運輸・設備関連職」の19万3,600円でした。

一方、1人当たりの求人広告費が最も高額だったのは「メカトロ関連技術職(機電系)」で64万3,900円。最安の「技能工・運輸・設備関連職」との差は45万300円で、約3倍の費用がかかったという計算になります。続いて「IT関連技術職(プログラマー・SEなど)」(52万6,600円)、「建築・土木関連技術職」(48万9,900円)と、技術系で求人広告費が高くなる傾向に。職務経験のある技術者は、絶対数が少なく獲得が容易ではないため、1人当たりの採用費も高額にならざるをえないようです。

職種別1人当りの求人広告費