全5回のシリーズでお送りしている「転職の分かれ道」。3回目の今回のテーマは、「転職のメリットとデメリットって?」となる。転職を考えるにあたっては誰もが、転職することによってどんなメリットが得られるかを考えるだろう。ただし当然のことながら転職にはリスクやデメリットもあり、いかにそのバランスを取るかが大きなポイントとなる。

以下、マイナビニュース男女会員400名にアンケートを実施し、「転職経験がある」と回答した286名に質問した。

  • 転職のメリットとデメリットって?

Q.転職でもっともメリットに感じたことを教えてください

1位「年収アップ」(26.9%)
2位「労働時間や休日など労働条件の改善」(23.8%)
3位「キャリアアップ」(19.6%)
4位「新たな仕事仲間との出会い」(11.5%)
5位「プライベート時間の確保」(9.1%)
5位「特になし」(9.1%)

Q.転職でもっともデメリットに感じたことを教えてください

1位「年収ダウン」(21.0%)
2位「特になし」(20.3%)
3位「職場の雰囲気に馴染めない」(18.5%)
4位「労働時間や休日など労働条件の悪化」(16.4%)
5位「プライベート時間が確保できない」(11.5%)
6位「望んでいた仕事内容ではなかった」(10.8%)
7位「その他」(1.4%)

Q.転職は成功か失敗か、どちらとお考えですか

「成功」(74.5%)
「失敗」(25.5%)

Q.「転職は成功か失敗か、どちらとお考えですか」でお答えいただいた理由を教えてください(自由回答)

■「成功」

・「お金より時間が欲しかったから、良いかなぁと思っています」(48歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「年収は増えました。キャリアアップとしても学ぶことがたくさんあって、自分が成長してきたと思いました」(47歳男性/教育/専門サービス関連)
・「自分にとって満足する収入があり、仕事をしている時間帯にストレスがなく、プライベートに良い影響があるから」(44歳女性/サービス/販売・サービス関連)
・「これまでできなかった自分のやりたい仕事を、新しい会社ですることができるようになったため、転職は成功だったと思う」(47歳男性/流通・チェーンストア/IT関連技術職)
・「人間関係が原因だったので、それが改善されて成功だったと思う」(39歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「精神的に楽になった。以前は、一年中ノルマの数字に追われていた。年収は下がったが、お金には代えられないものがあると思う」(45歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「体を壊していたので、転職により年収は下がったが健康的な生活になった」(49歳男性/レジャーサービス・アミューズメント・アート・芸能関連/営業関連)
・「もし1社しか知らなかったら、とんでもない世間知らずになっていたと思う。会社が違えばそこにいる人間も社風も違う。人間的にも成長できた気がするし、長い目でみたら成功だと思う」(44歳女性/メカトロ関連技術職/電気・電子・半導体・機械他)
・「以前に勤めていた会社が倒産して退職金も出ない状態だったので、運よく同じ業界の会社に拾ってもらえた。おかげで年収も増えて、路頭に迷わずに済んだ」(38歳男性/システムインテグレータ/IT関連技術職)
・「休日であっても上司の命令で、毎日8時30分に出勤して27時に帰宅する生活を送ることで、私の心と身体は崩壊しました。今は通勤時間こそ1時間を超えますが、8時30分に出勤して17時には帰宅の途につけます」(40歳男性/教育/公共サービス関連)
・「閉鎖的な空間から、小さいですが風通しのよい部屋に変わりました」(49歳男性/フードビジネス/事務・企画・経営関連)
・「失敗と思うか思わないかは自分次第! 成功と思いたい!」(40歳女性/百貨店/事務・企画・経営関連)

■「失敗」

・「労働環境や福利厚生が悪い」(42歳男性/鉱業・金属製品・鉄鋼/技能工・運輸・設備関連)
・「何回かしているが、直近は年収は下がるは、休みはないはで最悪でした」(47歳男性/教育/事務・企画・経営関連)
・「一概には言えないが、収入だけを見ると、さほど変化がないので失敗だと思います」(45歳女性/物流・倉庫/事務・企画・経営関連)
・「労働環境や休日等は取得しやすくなって、休日に自分の趣味等に費やせる時間が自由にはなったが、逆に給与待遇が下がったのでそんなに成功とは思わない」(37歳男性/その他メーカー/事務・企画・経営関連)
・「多少の収入アップと引き換えに、ワークライフバランスが崩れてしまった」(41歳男性/教育/事務・企画・経営関連)
・「1人で処理しないといけないことが増えた上に、年収が減った」(46歳男性/人材派遣・人材紹介/営業関連)
・「既存の給与体系と異なる高年収で迎え入れられたら、総務や労務担当部署から目の敵のように嫌がらせを受けることになった」(39歳男性/通信関連/事務・企画・経営関連)
・「新しい職場環境が合わないし、上層部の期待が大きすぎて負担」(42歳男性/レジャーサービス・アミューズメント・アート・芸能関連/事務・企画・経営関連)
・「転職後、自分がその仕事に不向きなことに気づきました。結局は1年半後、その会社をやめました」(41歳女性/教育/専門サービス関連)
・「年収ダウン(アップのはずが騙された)、労働条件の悪化、人間関係の悪さ、仕事内容が話と違った、パワハラ他」(41歳女性/インターネット関連/事務・企画・経営関連)

Q.今後、また転職をしたいと思いますか

「はい」(33.2%)
「いいえ」(17.8%)
「わからない」(49.0%)

■総評

調査の結果、転職でもっともメリットに感じたことの1位は、26.9%を集めた「年収アップ」となった。以下、2位「労働時間や休日など労働条件の改善」(23.8%)、3位「キャリアアップ」(19.6%)、4位「新たな仕事仲間との出会い」(11.5%)、5位「プライベート時間の確保」(9.1%)と続いている。

この結果は、本連載の1回目で聞いた「転職をした一番の理由」の順位、1位「給与をアップさせたいから」(21.9%)、2位「労働時間や休日などの労働条件を改善したいから」(21.6%)、3位「職場の人間関係を解消したいから」(21.3%)、4位「キャリアアップがしたいから」(16.9%)、5位「その他」(7.3%)、6位「自宅からアクセスのいい場所で働きたいから」(5.6%)とほぼ重なる内容となっている。

一方の、転職でもっともデメリットに感じたことは、1位「年収ダウン」(21.0%)、2位「特になし」(20.3%)、3位「職場の雰囲気に馴染めない」(18.5%)、4位「労働時間や休日など労働条件の悪化」(16.4%)、5位「プライベート時間が確保できない」(11.5%)、6位「望んでいた仕事内容ではなかった」(10.8%)だった。

トップの「年収ダウン」は、"転職のメリット"の1位の「年収アップ」とはちょうど反対となった。また、2位の「特になし」に続いて、2割近い票を集めて「職場の雰囲気に馴染めない」が3位にランクインしている。「職場の人間関係を解消したい」という思いで転職したものの、そううまくはいかなかったということだろうか。

転職は成功か失敗か、どちらと考えているかについては「成功」が74.5%、「失敗」は25.5%と、約4分の3の人が「成功」と考えていることがわかった。成功と考えている理由は、やはり"転職のメリット"で挙げられた項目である「金銭面」「労働条件」「人間関係」「キャリアアップ」に触れたコメントが目立つ。また、「仕事のやりがい」や「プレッシャーからの解放」など精神面を重要視をする意見も多く、印象的だ。

反対に転職は失敗したと考えている理由は、上記の「金銭面」「労働条件」「人間関係」「キャリアアップ」が想定通りにはいかなかった、とするものが多い。また、「年収アップは果たしたが人間関係で悩んでいる」「労働環境は改善したが給与が下がった」などメリットとデメリットの両面があり、「総合的に考えると失敗」であると判断している人も見られた。

「今後、また転職をしたいと思いますか」との問いには「はい」が33.2%、「いいえ」が17.8%に対して「わからない」が49.0%となり、半数近い人が今後の転職に対する態度を決めかねている実情がわかった。

今よりも良い環境や待遇を求めるのが転職の基本だと思うが、仕事は一つのポイントだけで評価できるものではなく、さまざまな要素が絡み合って成立している。収入アップを見込んで転職したはいいものの、労働条件や人間関係の悪化で、「むしろ転職をしない方が良かった」と嘆いているなどというケースは、みなさんの身近にもあるかもしれない。

転職に際しては周到な準備と分析を行い、転職後の全体的かつ長期的なワークスタイルをイメージすることが重要だと感じさせられる調査結果となった。

調査時期: 2018年11月14日~2018年11月15日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 400人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません