テレワーク元年とも言われている2020年。多くの企業で制度導入が進む中、まだまだ利用している会社員は少ないのが現状です。そこでこの連載では、先んじてテレワークを導入してきた企業の一会社員を取材。テレワークを活用したさまざまな働き方を紹介していきます。
今回お話を伺ったのは、新型コロナウイルス感染拡大を受け、2020年1月27日から在宅勤務を実施している、GMOインターネット・システム本部UXデザイン開発部の笹間聖久マネージャー。笹間さんが急遽突入することになった、テレワーク生活の現在を聞きました。
急遽始まったテレワーク生活、戸惑いは?
新型コロナウイルス感染拡大を受けて、急遽導入されることになった在宅勤務。毎日がテレワーク、という生活は初めてだったものの、これまで試験的に導入を進めていたことから、業務に大きな支障はなかったといいます。
「東日本大震災を受けた震災訓練の一環として、全社的に年に1回、在宅勤務を行っていましたし、システム管理という職業柄、急なトラブル対応をリモートで行った経験はあったので、テレワークになったことで業務に支障は出ていません」。
「もともと、テレワークを週に2日導入することを目標に、2019年の10月から月に1回、試験的にテレワークを行っていたことも、スムーズな導入につながったと思っています。チームのマネージャーということもあって、新入社員の配属のため、4月1日に一度だけ出社しましたが、そのほかはずっと在宅で仕事ができています」。
業務の進め方やスケジュールも、出社していたときと、ほぼ変わらないとのこと。ただ、今まで22時頃の帰宅だったのが、19時に業務を終了することが多くなり、家族の時間は増えたそうです。
「平日の夜、これまで一緒に過ごせなかった子どもたちと遊ぶ時間もできました。通勤時間が浮いたので、その分洗い物をしたり、お風呂掃除をしたり、家事をやるようになり、テレワーク生活後の方が妻の機嫌は良いですね(笑)」。
「仕事の疲れもあまり残らなくなった気がします。チームを見ていても、全体的に終業時間は早くなっているようです。そのことで、そんなに大きくパフォーマンスが下がった印象もありません」。
コミュニケーション不足が不安だったけれど……
テレワーク生活が始まって、笹間さんが一番心配していたのは、チームメンバー(部下)の動きが把握できないことでした。しかし、あるツールの活用がうまくいき、今はむしろ、テレワーク生活前よりも、チーム内でコミュニケーションが取れていると感じているのだとか。
「チームメンバーが8人いるのですが、チャットワーク※のやり取りだけだと、細かい進捗まで分からないし、表情も見えなくなってしまうので、部下の様子が把握できなくなるのではと、当初は心配していたんです。ただ今は、Zoomをつなぎあってやりとりすることに壁が無くなってきて、頻繁にコミュニケーションが取れるようになりました」
「開発という業務の特性上、急なトラブル対応で、プロジェクトメンバー同士、話し合う機会は多いのですが、会社にいると場所を確保するのも大変ですし、文章のやりとりで終わってしまうことも多かったんです。でもオンライン上の会議室であれば、すぐにメンバーを招集できるし、周りを気にせず限られた空間の中で会話が出来るので、”意外といいな”と思っています。会社にいるときよりもコミュニケーションの量は増えた気がします」
※メール、電話、会議・訪問など仕事で必要なコミュニケーションをより効率的にするビジネスチャット
オンラインイベント開催など、交流深める工夫も
ミーティングに限らず、部内では新入社員の歓迎会やラジオ体操など、オンライン上のイベントが活発に行われているといいます。
「いつもZoomで顔を合わせているし、新入社員の歓迎会もZoomでやっているので、正直、寂しいとか、メンバーに早く会いたいというような切実な思いはないかもしれません(笑)」
「システム本部では他にもイベントとして、始業前のラジオ体操や、毎週金曜日の飲み会、オンラインゲームをつないで実況する会など、さまざまなイベントをZoomで行っています。コミュニケーションが取れないことでストレスをためている人たちがいるのではと、社員向けのアンケート結果を踏まえて取り組みを進めてくれています」。
笹間さんはコロナ終息後も、テレワークの取り組みが続いてほしいと話してくれました。
「出社がゼロになるのは、さすがに寂しいなと思いますが、コロナ終息後も週に2~3日はテレワークができるといいなと思います。メンバーにとってもプライベートな時間が作れると思うので。それから、テレワークになって家の電気代が上がったり、モニターやデスク・椅子などの設備が必要になったりしているので、在宅手当みたいなものが出るとありがたいですね」。
同社では4月10日より、出社が無くなったことで削減されたオフィス運用コストをパートナー(従業員)に還元したり、同社のプロバイダーサービス「GMOとくとくBB」を特別価格で提供したりする支援策を打ち出したとのこと。コロナ終息後のリモートワーク制度の導入も予定しているといいます。
新型コロナウイスの感染拡大に伴い、想定以上に進むテレワークの導入。中でもいち早く在宅勤務に切り替えた同社では、さまざまな知見が積み上げられているようです。
◆テレワークData/GMOインターネット◆
新型コロナウイルス感染拡大を受けて、2020年1月27日から渋谷区、大阪市、福岡市のオフィスに勤務するパートナーを対象に、原則在宅勤務とする体制を敷いている。さらに2月下旬からは在宅勤務対象エリアを拡大し、現在(2020/4/10時点)の在宅勤務体制下のパートナーは4,000名を超える。
新型コロナウイルス感染の終息後に、在宅をはじめとするオフィス以外でも働ける「リモートワーク制度」の導入を予定。パートナーが週1~3回を目安に会社のオフィス以外の家などで業務を行うことができる内容となっている。