とにかくコロナウィルスである。

日本でも徐々に感染者が増え、死亡者も出ており予断を許さない状況になった。それを受けて、多くのイベントや行事が中止や延期を余儀なくされている。

そんな中でラストマン・スタンディングとばかりに、コロナで荒廃した大地にそびえ立っているのが我らが「労働」である。どう見ても最後まで立っている気満々だ。

つまり、楽しみがことごとく潰え、苦痛なことだけが残るという状態になっている。パンデミック以前に、モヒカンジープが走り回っても不思議ではないこの状況だが、それでも暴れたりしないあたり、日本人はそうは言っても民度が高い気がする。

自粛はイベントだけではなく、学校も政府から「休校要請」があり、長期の全校閉鎖を決めた学校も多い。

この政策には、共働きやシングル家庭はどうするのだ、と違う意味で国内はパニックに陥った。

当初はそれに対する支援策なしのままの発表だったので「この国の首脳陣は、どのご家庭の冷蔵庫にも、子どもの面倒を見てくれる、専業主婦、ジジイやババアの一人はいる」と未だに思っている、ということも明るみになってしまった。

今の世の中、共働きで日中無人になる家など珍しくなく、子の面倒を見てくれるジジババなど、持っていたら「チートじゃん」と言われる強アイテムである。

災害と同じで、とにかく外出しないのが重要であり、学校とか会社とか行っている場合ではない、と言われればそれまでだが、災害と同じなら、イベントの中止や、会社を休まざるを得なくなり経済的に困ることになった被災者には、補償制度をしっかり考えていかなければならないだろう。

そんな、いつまでたっても「労働中止要請」が出なかったり、休校で会社に行けなくなる者が増えるなか、急速に注目されているのが「テレワーク」「リモートワーク」である。

危機がきっかけでテレワ・リモワが進むかも

簡単に言えば「在宅勤務」ということだ。

だったら最初からそう言え、しゃらくせえと思うだろうが、「お家で仕事」と言った瞬間「けしからーん!」と波平の如く怒る、高齢者がいないわけではないので、それを煙に巻くためにもこれらの名称は必要である。

むしろ新しい働き方というのは「これからはテレワークだよ」と、偉い人が意味もわからないままどれだけ気持ちよく言えるかが肝になっている。

「在宅勤務」と言っても、働き方改革により「残業するな、仕事は終わらせろ」という「命を大切にしない奴は殺す」というような命令を受けた社員が、こっそり仕事のデータや書類を持ち帰って仕事をするようなことを皆でやれと言っているわけではない。

現在推奨されているテレワークやリモートワークとは、家にいながら会社にいるのと同じように他の社員と連携しながら仕事をすることである。

社員共通のチャットやメール、テレビ電話などを使い、家にいながら会議なども行えたりするのだが、もちろん社員の家にそんなシステムが標準装備されているわけはない。

我々のように、インターネットに命をかけているパソコン通信野郎ならそれなりのスペックのパソコンが家にあるかもしれないが、リアルが充実している皆さまに置かれましては、スマホで十分という人もいるだろう。

テレワークやリモートワークをするなら、企業は事前にそれが出来るシステムを導入し、社員にテレワーク用の設備を貸与するなどしておかなければいけない。

よって、このコロナウィルス騒動ですぐにテレワークなどに切り替えられたのは、すでにテレワークシステムを導入していた会社である。

そうでないところは言葉だけ「テレワーク」と言っていても、会社のデータを持ち帰り自分のパソコンで作業し、個別のメールや電話で慣れぬやり取りをし「もう、出社した方が早い!」と外に飛び出して行く状態である。

逆に言えば、このコロナ騒動で、テレワークの導入に踏み切る会社が急増するのでは、ということである。

実際テレワークで仕事効率がどうなるか、というと「何もしてないけどコピーが壊れた」などのいらない雑務に仕事を中断されることがないので仕事がはかどるという意見もあるが、逆に家ゆえに集中力に欠ける、オフトゥンがある、等の理由で滞ることもあり、一長一短というところらしい。

ともかく「仕事は会社じゃないとできない」という時代ではないのだけは確かなようだ。

だが、テレワークを使えば、子どもがいる家庭などでも、通常と変わらぬ働きが出来る、というのは単純すぎる考えだと思う。

子どもが何らかの薬物で8時間ぐらい眠っていれば別だが、衣食の世話はもちろん、奴らはその時気に入っているギャグを相手にしてくれるまで5億回耳元で言って来たりするし、体力が無限なので決して途中で諦めたりしない。

テレワークだからと言って、家に誰もいない人間と同じ仕事量を課すのは酷である。

ところで、テレワークで我々がもう一つ懸念しているのは、「どういう格好で仕事をするか」である。メールや電話だけのやり取りなら全裸でも構わないが、テレビ通話などになるとそうはいかない。

テレビ会議で一堂に会した時、「家でもちゃんとしている人と、原始人に戻っている奴」の差が如実に現れそうである。