本連載の第222回では「乱立しているプロジェクトを整理しよう」という話をお伝えしました。今回は業務効率を大きく上げるための方法についてお話します。
経済がコロナ禍から急回復する中で、今まさに課題になっているのは人手不足です。きっとあなたの職場でも、人手不足が喫緊の課題になっているのではないでしょうか。
この状況を打破するためには外から人を採用するか、他部署から人を連れてくれば論理的には解決するはずですが、そもそも採用市場での他社との人の取り合いが熾烈になっている状況では欲しい人材を獲得する難易度が上がっていますし、他部署から人を連れてくるにしても、人が余っている部署がなければ、それもまた難しいでしょう。
そうすると打てる手は一つ、「今の人員でも無理なく回せるように業務効率を上げる」ということになります。そこで、多くの企業においては既に「身の回りの業務のムダを見つけて改善しよう」という取り組みが進んでいます。しかし、それで抜本的な改善効果をもたらすことができるかというと、そうではないところの方が多いようです。
そこで、本稿では業務の大幅な効率化を実現するための3つの方法をお伝えします。
1. 振り切った目標を設定する
現状の業務をベースとした通常の改善では絶対に不可能と思われるような高い目標を設けて、それを実現するために何をするのか、と考えてみることです。
「1時間かかっている作業を50分でできるようにしよう」というと、既存の作業をベースに「作業手順のどこにムダがあるか」を探して、それを改善しようというアプローチになるでしょうが、たとえば「1時間かかっている作業を1分でできるようにしよう」という目標を立てたらどうでしょう。
こうなるともはや既存の作業の見直しで到達できるレベルではないので、作業の仕方を抜本的に変えるにはどうすればよいか、という考え方をするしかありません。こうなると、「この作業の発生源から見直してみる」とか「規則性があるから全て自動化できるのでは」といった思い切った打ち手を考えるしかありません。
そして、この思い切った打ち手によって、現状をベースにした改善では絶対に見込めなかったような効果を発揮できる可能性が出てきます。
2. 先に理想像を描く
現状の業務の改善点を挙げて、それを改善するだけでは小粒な効果に留まってしまうことが多いでしょう。もっと大きな効果を上げたいのであれば、現状がどうなっているかは一切無視して、「この業務がこう変わったら最高だよね」という理想像を描くことから始めるとよいでしょう。
その際には実現可能性も一旦、脇に置いてかまいません。ヒト、モノ、カネなどのリソースも度外視して理想像を描きましょう。
そして、業務の理想像を描くことができたら「理想像と現状を比較して、どこにどのようなギャップがあるのか」を分析します。そしてギャップを埋めるために何をすればよいのかを考えれば、それを基に理想像を実現するための施策になります。
なお、その際にはヒト、モノ、カネなどのリソース不足という問題と向き合うことになるわけですが、そんなことは当然なので「どうやって不足しているリソースを補えるか」を考えればよいでしょう。そもそもリソースが全く不足していない組織の方が珍しいですからね。
3. 小さい改善を継続して積み重ねる
最後に紹介するのは地道ですが、継続して小さい改善を積み重ねていくことです。先に紹介した2つの方法と比べて地味ではありますが、長期的には大きな改善効果を得ることができます。
たとえば一か月で100時間かかっている業務を毎月、2%改善し続けることを目標にしたとします。たった2%!?と思われるかもしれませんが、これを継続していくと業務量は以下のように減っていきます。
1か月後:98時間、2か月後:96時間・・・10か月後:83時間・・・24か月後:63時間
元々は100時間かかっていた業務が、継続的に改善し続けることで63時間まで減らすことができました。派手さはなくても小さな改善を積み重ねることで、長い目で見ると大きな効果を発揮するということです。
ただし、ここで大事なのは「継続すること」なので、粘り強く続けるのが得意な組織向けの方法と言えますね。
さて、本稿では業務を大幅に効率化するための方法を3つお伝えしました。ぜひ、ご自身の職場に合った方法を試していただければ幸いです。