本連載の6回目で、結婚祝金はその地域に「移住+定住」がセットになっており、過疎化の問題を抱えている地域が、若い世代の人口増加を狙って設けている制度だと紹介しました。

移住を考えている方たちの最大のネックは、「仕事」と「住まい」です。結婚を機に移住してもらえるよう、その負担やネックを改善しようと多くの地域が試みています。そこで今回は、各自治体の「転入・転居支援」の事例をご紹介しましょう。

  • 子育て世帯の転入・転居を支援する制度がある自治体を紹介(写真と本文は関係ありません)

    子育て世帯の転入・転居を支援する制度がある自治体を紹介(写真と本文は関係ありません)

広島県や静岡県の支援制度

■広島県三次市

三次市が設けている「Uターン者のための実家・店舗への改修支援」とは、Uターン者が定住の意思をもって市内の実家(本人又は2親等以内の親族が所有する家)に転入するために実家の改修を行った場合、その改修に要する経費の一部を補助するものです。最大で150万円が補助されます。

■島根県美郷町市

「若年定住住宅」は、3LDKの木造平屋建てに家賃3万円で25年住み続ければ、土地と建物が自分のものになる制度です。入居条件は、「概ね40歳以下のご夫婦で小学生以下の子供さんがいるご家庭」とのことです。

そのほかにも、「子育て支援制度」に「誕生から義務教育終了まで医療費無料」「定期予防接種費用全額無料」「妊婦検診・通院助成」「在宅育児手当」「保育利用料無料」「病後児保育」「学校給食費の軽減」「放課後児童クラブ無料」「公営塾の開催(中学生)」などが盛り込まれており、実に充実した内容と言えるでしょう。

■静岡県

静岡県では、「静岡市中山間地域空き家情報バンク」を通して賃貸した物件で住宅改修事業を行った場合に限り、有利な助成制度である「中山間地域移住用住宅改修補助金」が利用できます。補助金の限度額は100万円です。

空き家問題の最適解は県外からの移住者

私は現在群馬県でも仕事をしており、県の広報誌で空き家対策を一緒に企画する県民を募集していました。仕事に使う空き家を探すのに苦労しましたし、東京ではファイナンシャルプランナーの仲間との空き家対策の研究会にも参加していました。そういった背景から、群馬県民ではないため応募はできなくとも、何か手伝えることがないか問い合わせてみました。

空き家問題にもさまざまな側面がありますが、使える空き家であれば、県外から移住者を募るのが最善です。そのためには移住側の意見が重要となるはずですが、予想通りに杓子定規な回答で、いまだ時代遅れの感があります。美郷町の取り組みは、長期の定住が期待できそうで、仕事などのあっせんと連動などしていればよい制度だと思います。