寒~い冬は、ぬくぬく暖かい劇場に出かけて観劇で感激。ハイ、これ正解です。しかし、観劇マスターから、冬の観劇のちょっとしたアドバイスをひとつ。外と劇場内の寒暖差が激しいので、ぽわ~んと眠くなってしまう危険あり。コーヒーを飲むなどの対策を。また、暖房で乾燥しやすいので、水分や飴玉を持参するとよいでしょう。というわけで(?)、新しい年の幕開けにふさわしい話題作が、多々、ラインナップしておりますっ!

『時計じかけのオレンジ』 - キューブリックの傑作映画がパンクオペラに!

1971年製作のスタンリー・キューブリックの傑作映画『時計じかけのオレンジ』。人間の潜在的暴力嗜好を顕在化させた同作は、キューブリック作品のなかでももっともカルト的な人気を誇る作品としても知られている。1990年には原作者のアンソニー・バージェスが自ら脚本を書き上げ、英国のロイヤル・シェークスピア・カンパニーでも上演。その舞台版が、ついに日本に初上陸するのだ。

さらに、日本版では、ベートーヴェンの交響曲をベースにしたオリジナルソングを用いて、パンクオペラになるというのだから、これはやっぱり気になるじゃないのっ。舞台は近未来。暴力やセックスに明け暮れる、反逆児アレックスを演じるのは、映像に、舞台に大活躍の小栗旬。この究極にバイオレンスな世界を、いかに舞台に昇華させるのかと想像するだけで、新年早々、胸が熱くなる!

約2年ぶりの舞台主演となる小栗が残忍な反逆児に挑戦!

『時計じかけのオレンジ』
日程 2011年1月2日(日)~2011年1月30日(日)
会場 赤坂ACTシアター(東京・赤坂) ※地方公演あり
原作・脚本 アンソニー・バージェス
上演台本・演出 河原雅彦
音楽監督 内橋和久
キャスト 小栗旬、橋本さとし、武田真治、高良健吾・山内圭哉、ムロツヨシ、矢崎広、桜木健一、石川禅・キムラ緑子・吉田鋼太郎ほか
料金 S席11,000円、A席8,000円、立見5,000円

『十二夜』 - 豪華布陣で送るシェイクスピアの傑作喜劇

シェイクスピア喜劇の最高峰とされる『十二夜』を、新年にふさわしく、豪華キャストで上演! 船の遭難で離れ離れになった双子の取り違いやヒロインの男装、これでもか! というほどに複雑に絡まった片思いの糸とばか騒ぎ──。

人の死や友情の尊さ、恋愛の歯がゆさなど、人生のあらゆる要素をふんだんに詰め込んだ同作はこれまでも世界中の名だたる演出家、俳優によって上演されきた。今回の上演で、双子の兄妹の一人二役に挑むのは、女優としての充実味を年々、増している松たか子。演出は、2010年、伝説の音楽劇『上海バンスキング』の16年ぶりの再演で演劇界をわかせた串田和美が務める。石丸幹二、りょう、荻野目慶子、笹野高史といった俳優陣の魅力的な顔ぶれにも期待が高まる。

実力派、松たか子の一人二役に注目!

『十二夜』
日程 2011年1月4日(火)~2011年1月26日(水)
会場 Bunkamuraシアターコクーン(東京・渋谷)
原作 ウィリアム・シェイクスピア
演出・美術・衣装 串田和美
キャスト 松たか子、石丸幹二、りょう、荻野目慶子、大森博史、真那胡敬二、小西康久、酒向芳、内田紳一郎、片岡正二郎、目黒陽介、小春、つのだたかし、飯塚直子、片岡亀蔵、串田和美、笹野高史
料金 S席9,500円、A席7,500円、コクーンシート5,000円

『ろくでなし啄木』 - 三谷幸喜の新作で藤原竜也と中村勘太郎が共演

書く芝居、書く芝居、チケット入手困難となる三谷幸喜の2011年最初の書き下ろしは、歌人 石川啄木をめぐるミステリー。極貧のなか27歳で夭逝した啄木の人生と、彼に翻弄された男と女の物語だ。謎につつまれた啄木の人生をとおし、三谷ならではの筆致で人間の裏表を描く。

その演出を手掛けるのも三谷自身。さらにキャストには藤原竜也と中村勘太郎と、別の土俵で、若手俳優のトップとして君臨する二人が、舞台でがっぷりと向かい合う。ヒロイン役には、今回初舞台となる吹石一恵。いずれも、三谷が脚本を手掛けた大河ドラマ『新選組!』のメンバーだ。

チケット入手困難必至の公演だが、公演期間も長いのでチャンスはあるはず。あきらめるのはまだ早い(と自分にも言い聞かせています……)!

藤原竜也&中村勘太郎、若手二大俳優の夢の競演

『ろくでなし啄木』
日程 2011年1月7日(金)~2011年1月23日(日) ※1月5、6日プレビュー公演あり
会場 東京芸術劇場 中ホール(東京・池袋) ※地方公演あり
脚本・演出 三谷幸喜
キャスト 藤原竜也 中村勘太郎 吹石一恵
料金 S席10,000円、A席8,500円(プレビュー公演チケットS席9,000円、A席7,500円)
長谷川あや
大学時代から舞台にはまり、小劇団のストレートプレイから大型ミュージカルまでジャンルを問わず観劇。卒業後は出版社に入社し、編集者として活躍。1996年に退社し、現在はフリーライターとして、演劇専門誌や女性誌、情報誌などで読みものページを中心に執筆している

イラスト:gnk