ビジネスという戦いの中で絶対に勝ちたいと思う場面がありますよね。しかし夢中になっていると、気づけば正確な判断ができなくなっている場合が少なくありません。冷静に現状を分析するためにも、この言葉の持つ意味を噛みしめてください。

本日の孫子

『故用兵之法、十則圍之、五則攻之、倍則分之、敵則能戦之、少則能逃之、不若則能避 之、故小敵之堅、大敵之擒也』

(故に用兵の法は、十なれば、すなわちこれを囲み、五なれば、すなわちこれを攻め、倍すれば、すなわちこれを分かち、敵すれば、すなわちよくこれと戦い、少なければ、すなわちよくこれを逃れ、しかざれば、すなわちよくこれをよく。故に小敵の堅は大敵のとりこなり)

意味

孫子は、戦いの原則は、敵の十倍の戦力があれば敵を取り囲み、五倍であれば攻め、二倍であれば敵を分断し、互角のときは全力で戦い、少なければ退却し、勝ち目がないと見たら戦わない。つまり、自軍が劣勢のときに強気に出て戦えば、強敵の餌食になるだけだということを言っています。

解説です!

これは、孫子の教え「闘わずに勝て」に通じる言葉。圧倒的な戦力がある場合は持久戦に持ち込んで、絶対に勝てる時だけ戦い、それでなければさまざまな謀略を張り巡らせて、さらに勝てないと判断した場合には退却することも必要だと言っています。当たり前と言えば当たり前の話ですが、実際には戦争はもちろん、ビジネスにおいてもついのめり込んでしまって大きな痛手を受ける場面は少なからずあるもの。そんな事態にならないように、常に冷静に状況を判断せよと孫子は言っています。

こんなシーンで役立ちます!

織田信長が少人数で今川義元をうち破った「桶狭間の戦い」がありますが、あれはあくまでもレアケースで、非常な幸運と決断力があったからこそ起こせた奇跡のような勝利とも言えるでしょう。一般的には、戦いというのは数で勝負が決まることが多いのは確かです。今、もしビジネスで何らかの相手と競っていたならば、相手の戦力を分析して、それを分散させる作戦を進めること。そしてそれが無理で、勝てないと思った時には面子を捨ててでも撤退する勇気が、結果として最小限の痛手で済むことも少なくありません。何よりも冷静な状況判断が一番大切だということを忘れないでください。今回、もし負けても、いつか回復できるチャンスは必ずあるはず。