新宿の南にバスタ新宿ができて、この春で1年。ミライナタワーやNEWoManなどに、もう慣れただろうか。筆者は昔、自宅も職場も新宿駅を経由する生活だったので地理には少し自信があったのだが、最近久しぶりに行ったら迷った。さすが高難度のダンジョン、慣れを許さない。今回の一店はそんな新宿にある「千曲そば」だ。
24時間待ち受けてくれる存在
JR新宿駅・東南口の階段(エスカレーター)を降りてすぐのところにある24時間営業の立ち食いそば屋で、この店、創業の時期は定かではないのだが、結構前からあるような気がする。「懐かしい」というか、「よくそこに残っていてくれた! 」という気持ちになった。
路上に面して券売機。自動ドアを入って右手にももう一台ある。ラインナップはシンプル。かけ、たぬき、かき揚げなどのそば、もしくはうどん。カレーライスや、天丼などの丼モノも一通りそろっていて、セットメニューもある。ここは、新年1回目の本連載分ということで、「えび天そば」(税込410円)を注文。立ち食いそば屋では天ぷらと言えばかき揚げだが、ちゃんと「えび天」と主張しているあたり、こだわりを感じる。
店内は立ち食いカウンターがL字型に。思ったより広く、10人位は入れるだろうか。訪問したのは平日の9時頃。オフィス街であればアイドルタイムになるところだが、さすが歓楽街だけあり、相客は5~6人いた。
えび天にかぼちゃ天にわかめもネギも
カウンターごしに食券を出し、等間隔に設置されている給水機から水をくむ。壁には「麺は茹でたてを提供するため2~3分時間がかかる」ような内容の張り紙があったものの、1分ほどででき上がり。
値段にしては十分なえび天が目立つ。410円でこれなら上々のコスパである。隣に浮かぶ小さい天ぷらが気になる。これは、かぼちゃ天だった。個人的にかぼちゃ自体が好きではないので(ごめんなさい)うれしくはなかったが、具材をえび天だけに留めないところがなんとも粋といったところだろう。そして、脇を固めるのが定番のわかめとネギ。麺は細めでやわらかい。つゆは甘めでクセが少なく、スルスルと胃に入っていく。時間を選ばない味だ。
変わり続ける街で、変わらないもの。そんなことまでフッと思い巡らせてしまうような、等身大の一杯だった。
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。