今回の一杯は「そば処 めとろ庵」。その、新木場店をご紹介する。めとろ庵はメトロライフサポートという東京地下鉄(東京メトロ)の子会社が経営する立ちそばチェーンだ。店舗はもちろん東京メトロの各駅に点在しているのだが、この新木場店のほかに、大手町店・西船橋店・錦糸町店の計4店舗(2019年5月現在)しかなく、目にしたことのない人も多いのではないか。新木場店は、東京メトロ有楽町線の改札を入った中にある。有楽町線自体には全く用事はなかったが、この店のためにりんかい線を終点まで揺られて来たので、仕方なく改札を通って店に到着した。

  • 新木場「そば処 めとろ庵」で、王道の「かき揚げたまごそば」を食す

    「かき揚げたまごそば」(490円)

新木場駅構内にある立ち食いそば

えんじ色ののれんが下がっており、戸は開けっ放し。入口外にタッチパネル式の券売機があり、当然のように交通系ICカードが利用可。店頭には「春の限定メニュー」のタペストリーが大々的に張られていたが、もうすぐ6月に差し掛かろうとするこの時期、少し外れているかなと思い、グランドメニューからチョイスする。限定メニュー以外は実直な打線だ。強いて言えば、春菊天そばがある店なんだ、という印象か。これと迷ったが、久しぶりに王道の味をと思い「かき揚げたまごそば」(490円)にした。チケットは入口カウンターに出す。

店内はそれほど広くなく、カウンターが10席分ほど、それに左手奥がテーブル席になっている。午前10時半、先客はテーブル席にいたアジア系外国人の家族のみで、大きなスーツケースを抱え込んでいた。新木場駅は京葉線とも乗り換えができるので、もしかしたらこれから舞浜に行くのかもしれない。

駅そばの進化を感じる本格そば

そばの完成は早い。30秒かからないほどだ。かき揚げと、細かく刻んだネギ。それに生玉子が落とされている。麺は細く、ねっとりとした舌触り。駅そばに多い、つなぎ多めのうどん風の麺ではなく、しっかり蕎麦を感じられる。ツユはあっさり。味は濃くなく、ごくっと飲める。かき揚げは揚げ置き。丼に斜めに差し込まれているので全てがツユに浸ってはおらず、カリカリとした食感も楽しめる。潰した生玉子にディップしながら麺をすするのも美味い。

  • 東京メトロ有楽町線「新木場駅」の改札を入った中にある「そば処 めとろ庵」

どこを切っても平均点以上の味。「安くて早くて味はそれなり」の時代はとうに終わっているのだなと、あらためて駅そばの進化を感じた。さらなる店舗拡大を期待したい。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。