先日の東京では雪が舞ったと思えば、今日はぽかぽかとした陽気。春の訪れを匂わせる三寒四温の気候で、どことなく浮足立った気持ちになる。ダウンコートのファスナーを開けて向かったのは、神田の「十割蕎麦 韃靼 穂のか」である。

  • 「韃靼蕎麦」「並盛り300g」「冷や盛り冷や汁」に「ネギ油+生卵+のり」をトッピング(700円)

JR中央線「神田」駅西口から5分程度、東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」駅や、丸ノ内線「淡路町」駅、都営新宿線「小川町」駅のどれからも近い。こちらは名前の通り、つなぎなしの十割蕎麦が頂けるお店だ。

細かなオーダーが可能なオフィス街の蕎麦屋

開店は午前11時。11時ちょうどに着いたがまだ準備中で、結局11時5分頃に開いた。早朝から営業する立ちそばの側面よりも、どちらかといえばオフィス街のランチスポット色が強い。入れば、右手にカウンター、左手に大きめの立ち食い用テーブルが2脚。カウンター奥が蕎麦の茹で場になっているようだった。注文はこのカウンターで口頭で行う。

注文は少し特殊で、まず「韃靼蕎麦」「田舎蕎麦」「更科蕎麦」「穂のか蕎麦」の4種類の中から十割蕎麦をチョイス。次に麺の量を「小盛り150g」「並盛り300g」「大盛り450g」「特盛り600g」と選ぶ。さらに食べ方、「冷や盛り冷や汁」「冷や盛り熱汁」「冷やしぶっかけ」を選び、お好みでトッピング(鬼おろしや卵、納豆など)を注文するという流れ。

トッピング以外は全て麺の量で値段が決まっており、並盛りで500円はかなりお財布に優しい。今回の注文は「韃靼蕎麦」「並盛り300g」「冷や盛り冷や汁」に「ネギ油+生卵+のり」をトッピングしてみた(700円)。

山盛りの「のり」がインパクト大

テレビがついているが、極めて静かな店内。じっと待つ先客と、後ろに既に3人程が並んだ。注文から3分ほどで、代金引換でお盆を受け取る。まず度肝を抜かれたのは、山盛りの「のり」。トッピングには50円と100円の2種類があって、一見リーズナブルそうな「のり」が100円のトッピングだったのはこういう理由か。

  • JR中央線「神田」駅西口から5分程度の「十割蕎麦 韃靼 穂のか」

ネギ油は既に蕎麦つゆに入っているとのこと。韃靼そばは濃い緑色をしていて、春が待ち遠しいこの季節にぴったり。細切りで、コシもさることながらやはり韃靼は香ばしいその香りが特徴的だ。「そば:のり」が「7:3」ほどの割合なので、少々のりの香りにも邪魔されてしまったが(笑)。生卵を溶かし、ネギ油、薬味のネギとワサビも入れると、なかなかパンチのあるツユになる。並盛りでもボリュームは十分にあり、コストパフォーマンスは優れている。

十割蕎麦を頂ける店も珍しくなくなったが、ボソボソとした食感の十割のイメージも今は昔。風味豊かなその味、ぜひ今一度味わっていただきたい。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。