この春、就職や転職などを機に、初めて一人暮らしをスタートさせる人もいらっしゃるでしょう。一人暮らしはワクワクするものですが、気になるのは初期費用です。住居にかかる費用や引っ越し費用、生活用品を購入するためのお金は、どのくらいするのでしょうか。それぞれの具体的な相場や、費用を抑えるコツについてまとめてみました。
一人暮らしを始めるためにかかるお金は?
一人暮らしを始めるには色々なお金がかかります。大きく分けると、「新しく住む住居にかかる費用」、「引っ越し費用」、そして、「家具や家電など生活用品の購入費用」の3つです。では、具体的には、これらにはどのくらいのお金がかかるのでしょう。
住居にかかる費用
新しく賃貸物件に住む時、はじめにかかる費用には、敷金や礼金、仲介手数料、前家賃、火災保険料、鍵交換費用などがあります。それぞれの費用の内容と、首都圏(関東)に引っ越した場合の相場は、以下の通りです。
・敷金
敷金は、家賃を滞納した時や退去時の修繕に充てられるお金です。滞納がなかったり、修繕費に余りが生じたりした場合は、その残りが返金されます。敷金の相場は、家賃の1~2カ月分です。
・礼金
礼金は、物件を貸してくれる大家さんへ感謝の意を込めて支払うものです。お礼ですので、敷金とは違い、返ってこないお金となります。礼金は、家賃の1カ月分が目安です。
・仲介手数料
物件の案内や契約手続きを行った不動産会社に支払う手数料のことです。相場は、家賃の0.5~1カ月分+消費税です。
・前家賃
家賃は、1カ月先に支払うのが一般的です。そのため、入居する月の家賃は、前払いします。たとえば、3月に契約し4月から入居する場合は、4月分の家賃を前払いするのです。なお、月の途中から入居する際は、その月の家賃は日割り計算で支払います。
・火災保険料
火災や水漏れといったトラブルに備え、一般的に、賃貸契約と同時に加入します。シングルでは1万5,000円、カップルやファミリーでは2万円程度が相場です。
・鍵交換費用
物件によっては、入居時に鍵を新しく交換することがあります。費用は、2万円程度が相場です。
これらを合わせると、一人暮らしの初期費用は、物件にかかるお金だけで家賃の約6カ月分となる計算です。たとえば、家賃が月7万円なら、物件にかかる初期費用は40万円程度となります。
引っ越し費用
家具や家電の運搬を引っ越し会社に依頼すると、どのくらいお金がかかるのでしょうか。「価格.com 引っ越し」によると、繁忙期の3月に単身で引っ越す場合の相場は、以下の通りです。
・同一都道府県内(~50㎞未満)
荷物が少ない…40,375円
荷物が多い…50,083円
・同一地方内(~200㎞未満)
荷物が少ない…52,862円
荷物が多い…61,008円
・長距離(500㎞~)
荷物が少ない…62,847円
荷物が多い…80,777円
引っ越しシーズンの3月は、トラックや人手が不足がちになり、通常より費用が割高になる傾向にあります。ただ、運搬する荷物が多いかどうかによっても費用は変わります。運んでもらう荷物をできるだけ少なくする工夫は、自分でもできそうですね。
生活用品の購入費用
初めての一人暮らしを始めるなら、家具や家電、カーテンや食器など生活用品を揃えなければなりません。生活するのに最低限必要な家具、家電の購入費用は、13~14万円程度。カーテンや食器は、それぞれ1万円程度かかり、トータルでは15万円前後となります。その他、エアコンやガスコンロなども揃えるとなると、さらにお金がかかります。
これらの費用を合計すると、一人暮らしの初期費用は、約60万円です。家賃が高かったり、生活用品を多く揃えたりする場合は、当然、これ以上にお金がかかります。何も工夫をしないままだと、費用はどんどん膨らんでしまいそうですね。では、一人暮らしの初期費用を抑えるにはどうすればいいのでしょうか。
一人暮らしの初期費用を抑えるコツ
意外と高くつく一人暮らしの初期費用ですが、工夫して抑えることはできます。住居にかかる費用、引っ越し費用、生活用品の購入費用を節約するコツをそれぞれご紹介します。
【住居】
・礼金なしやフリーレント物件を選ぶ
最近、首都圏を中心に、礼金ゼロや礼金を少なく設定している物件が増えています。初期費用を抑えるには、このような物件を探してみるのもおすすめです。ただし、敷金ゼロの物件は注意が必要です。敷金は、退去時の修繕費として積み立てておくお金ですので、敷金がかからない場合は、保証金やクリーニング代が別途かかったり、退去時に修繕費を請求されたりすることがあるからです。
フリーレントとは、入居後の一定期間、家賃が無料となる物件のことです。初期費用を抑える効果がありますが、一定期間内に解約した場合は、違約金やフリーレント期間に相当する賃料の支払いが求められます。なお、フリーレントは一定期間家賃がかからない代わりに、賃料は下げないのが前提です。そのため、長期間にわたって住む場合は、トータルとして賃料が割高になる可能性がある点は念頭に置きましょう。
・家賃を見直す
そもそも、家賃が予算を超えていませんか。その場合は、住むエリアを見直すなどして家賃を抑えましょう。今後、毎月支払うことを考えても、住居費が高めだと家計を圧迫する恐れがあります。
・クレジットカードで分割払い可能か聞いてみる
どうしても気に入った物件があるけれど、一括での支払いが難しい時には、クレジットカードによる分割払いが可能か不動産会社に聞いてみましょう。物件によりますが、分割払いができるケースもあります。ただし、分割払いにすると利子が発生する点を覚えておきましょう。
【引っ越し】
・引っ越し時期を繁忙期からずらす
人気のある時期や曜日、時間帯を避けるだけでも、引っ越し費用を抑えることができます。3~4月の繁忙期や、土日・祝日・大安・月末など人気の引っ越し日は料金が高くなる傾向にありますので、可能ならそれら以外で設定しましょう。午前中を避け、時間指定をしないだけでも安くなることがあります。
・運搬してもらう荷物を減らす
運んでもらう荷物が少ないと、引っ越し費用を抑えることができます。不用品はあらかじめ処分しておきましょう。また、初めての一人暮らしなら、家具や家電は新たに購入するものがほとんどでしょう。自宅から持ち出す荷物が少なく近隣の引っ越しなら、レンタカーを借りて、家族や友人に協力してもらい自分たちで運搬すれば引っ越し費用が削れます。
【生活用品】
・必要なものを厳選する
家具や家電は、まずは最低限必要なものだけ揃えましょう。「家電〇点セット」のように、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など一人暮らしを始めるための家電が格安でセット売りされていることもあります。
・格安雑貨で工夫する
部屋に飾る小物やインテリアも、工夫して安く抑えたいところです。最近では、300円均一などの雑貨が充実していますし、格安雑貨の様々なアイディアを、SNSの投稿などから得ることができます。ぜひ参考にしてみましょう。
節約の積み重ねで初期費用を抑えよう
一人暮らしを始めるには、意外と費用がかかるものです。何より、その後の生活が大切ですので、「初期費用がかかりすぎて、いざという時のお金がない」という事態にならないよう、様々なポイントで節約しましょう。