「会議室でサーフィン教室」をきっかけに脱サラしてしまった河村さん

2018年は副業元年と言われているが、実際には副業をしたくても、何をどうすればいいのか分からないという人が多い。そこでオススメなのが「自分の得意なことを仕事にしてしまう」というパターン。

この連載では、これまで起業の相談に応じてきたクライアントの中から、スキマ時間とこれまでの経験をいかし、自分の得意なことでそこそこの収入を生み出している人を紹介していく。

• 都心の会議室でサーフィン教室? 河村操さんが選んだ副業とは?

4回目となる今回は、「サーフィン教室を都心部の会議室で実施する」という一風変わった副業を始めて、ついには脱サラまでしてしまったという、河村操さん(50代男性)を紹介する。

副業のきっかけは、長年書き続けたブログだった

河村さんは元大手企業の営業マン。今で言うブラック企業並にハードな日々を過ごしていたという。そんな中いかにして副業をスタートさせ、そして起動に乗せることに成功したのだろうか。もともとは副業目的ではなく、ひたすらブログを書き続けていたことが結果的に副業につながったと河村さんは言う。

「長年、趣味でサーフィンの上達方法などをブログに書いていたのですが、それに興味を持った方から『有料でもいいので教えて欲しい』と言われ、初めて教室のことを考えました」

聞けばサーフィンを始めたのも20代後半で決して早くはないそうだ。その中で身につけた上達方法をブログに書き綴っていたという。

なぜ「会議室」でサーフィン教室?

それにしても、サーフィンが好きだから、サーフィンスクールやサーフショップで働くというのは聞いたことがあるが、「会議室でサーフィン教室」とは一体どういうことなのだろうか。果たして需要はあるのだろうか。

「もちろん、最初は普通に海で教室を開こうと考えましたが、当時は私自身がサラリーマンでありそのための時間を取ることも難しく、また天候に左右されるリスクなどを考えるうち、会議室での開催に行き着いたのです。そして私と同じくサラリーマンの方は、サーフィンをしたくてもなかなか海に行けず、会議室なら会社帰りやちょっとした休日に参加できるということで、反響をいただきました。恐らくその奇抜さも功を奏したのだと思います」

• 河村さんのサーフィン教室は、海に行く暇がないサラリーマンでも会社帰りや休日に気軽に参加できる

確かに一度耳にすると忘れられないインパクトがある。しかしながら、水のないところでのサーフィン教室、本当にそこでサーフィンが上達するのか、参加する側には不安もあるに違いない。また、そんな型破りの教室ならではの、思わぬトラブルも起こりそうなものだ。

「いえ、むしろ喜んでいただけることが多いです。実際に上達する人も多く、それを目の当たりにすることが私のやりがいでもあります。もちろん、これまでブログ上に無料で上達ノウハウを書いていましたので、有料の教室に来ていただくのに苦労した面もあります。でも逆にブログの内容に信頼感を持って来てくださることも多かったです」

超ハードな本業に、副業は可能だったのか

実際に、この副業で月に20万円前後は稼いでいるという河村さん。本業とのバランスはどう取っていたのだろう。

「やはり時間配分に苦労しました。営業職でしたので仕事の合間にこっそりサーフィン教室の準備をしたり。休日でも急に呼び出されることもありましたので、教室開催の日はヒヤヒヤものでした(笑)」

その後はプライベートレッスンやセミナーも開催、さらには似たような手法でゴルフレッスンや英会話にまで業容を拡大、月収がお給料を越えたことで脱サラに踏み切った。

今ではそのノウハウを活かしてマーケティングやセールスを教える講座も開催するなど、幅広く活躍されている河村さんに、今後の展望を聞いてみた。

「今後もオンラインでは無料で教え、オフラインでは有料で教える、というスタイルをプラットフォームにして、『教える仕事』を横展開していきたいですね」

成功のポイントは「信頼度」

マネタイズできるネタの豊富さにも驚くが、成功の要因は間違いなくひらめきと行動力だろう。それに加えて筆者が感じる成功のポイントを上げるとすれば「信頼度」だ。

河村さんのブログを拝見したが、これでもかというくらい丁寧に上達のコツを惜しげもなく書き綴ってあり、またその文面からは河村さんの人柄が滲み出ていた。これらが信頼を呼び、「この人から学びたい」と言われるきっかけとなり、さらには安心して教室にきてくださるという連鎖を生んだのだろう。