財務省、MBA留学、マッキンゼーを経て、2015年にスタートアップ企業・ウェルスナビを立ち上げた柴山和久さん。お金にまつわる独自のキャリアを生かしながら、現在は、資産を自動運用するサービス、ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」の提供を通じて、誰でも手軽に資産形成ができる世の中を作ることにチャレンジしています。
Q. はじめまして。コラムを読んで、投資を始めようと思いました。ニュースでなじみのある「日経平均」に連動した投資信託を買ってみようかと考えています。柴山さんのご意見を聞きたいです。(30代・男性・公務員)
■ 柴山和久さんの回答
これまでのコラムで、資産運用の王道は「長期・積立・分散」だとお伝えしてきました。ご相談者は、日経平均に連動した投資信託で、資産を「分散」しようとお考えになったということですね。
日経平均なら毎日のニュースで馴染みがあるからか、日経平均に連動した投資信託は初心者の方によく選ばれます。
しかし、「長期・積立・分散」の「分散」は、資産をグローバルに分散することです。金融庁も、金融レポート(※1)で「リターンの安定した投資を行うには、投資対象のグローバルな分散、投資時期の分散、長期的な保有の3つを組み合わせて活用することが有効」とわざわざ述べているほどです。
グローバルな分散がいい理由は、「世界経済の成長の恩恵が受けられるから」です。裏付けとなるデータの中からひとつご紹介します。
世界経済の成長率は、2019年に年率3.9%と予測されています(※2)。その中身を見ると、新興国の成長率が5.1%、米国が2.7%、日本は0.9%です。世界経済が大きく成長することが見込まれるときに、日本の成長だけに賭けるのは自然ではないですね。
「長期・積立・分散」の「分散」はグローバルな分散。グローバルに分散すれば、自然と日本の株式にも投資されます。このポイントを押さえて、ぜひ投資を始めてください。グローバルに分散できる投資信託やロボアドバイザーなど、選択肢はたくさんあります。
(※1) 平成27事務年度金融レポート(平成28年9月発行)
(※2) IMF「World Economic Outlook, April 2018
執筆者プロフィール : 柴山 和久(しばやま かずひさ)
「誰もが安心して手軽に利用できる次世代の金融インフラを築きたい」という想いから、プログラミングをイチから学び、2015年4月にウェルスナビ株式会社を設立。16年7月に世界水準の資産運用を自動化したロボアドバイザー「WealthNavi」、17年5月におつりで資産運用アプリ「マメタス」をリリース。
起業前には、日英の財務省で約10年勤務、その後マッキンゼー・アンド・カンパニーに勤め、ウォール街に本拠を置く10兆円規模の機関投資家を1年半サポート。東京大学法学部、ハーバード・ロースクール、INSEAD卒業。
ロボアドバイザー「WealthNavi」の概要はこちら→https://www.wealthnavi.com/