特に関西の方などでは、"温泉"は単純に銭湯のことを指すことも多いのだが、都内では比較的厳密に取り扱われているよう。今回紹介する「西品川温泉 宮城湯」も、その名の通りメタケイ酸を含む天然温泉の銭湯である。
雛人形や五月人形など季節のおもてなしも
最寄り駅は東急大井町線の下神明駅。徒歩3分ほどの距離で、JRの大崎駅や大井町駅からも15分かかるが徒歩圏内。あまり銭湯には見えない白っぽいビルなのだが、のれんとのぼりが目印になる。
フロントは2階。エレベーターか階段で上に上がる。下足場で靴を入れ、自動ドアから中へ。テレビ、ドリンクケースがあるほか、この日は立派な雛人形が飾られていた。以前訪問した時は五月人形が飾られていたりと、広くはないが季節感を十分に感じられるスペースになっている。
フロントで下足の鍵とロッカーの鍵を交換。男女のお湯は週替わり(毎週火曜日に入れ替え)で、今日は男湯が1階、女湯が3階。フロント横の階段から進む。階段を降りきったところに自販機。ドアの向こうに脱衣所がある。ロッカーは背側の1面に。平日、開店直後で相客は4~5人だった。
脱衣所の設備としては、小さな鏡台と綿棒、洗面台、ドライヤー、HOKUTOWのはかり。マッサージチェアは故障中だった。壁には「写真撮影禁止」の張り紙が目立つ。番台から目が届かないところにあるからだろうか、マナーは自主的に守りたい。
"タヌキ"を眺めながら温泉を
浴槽は入って左手に主浴槽。適温の浅風呂と寝風呂がある。右手奥に半身浴ができるややぬるめの浅風呂が。もちろん、看板通り天然温泉。と言っても無色透明無味無臭なので、あまり温泉っぽさは感じないが、そう言われると何だか有り難みを感じるから不思議だ。
脱衣所側には別料金だがサウナと水風呂も完備。宮城湯のマスコットキャラなのか、タヌキの置物も見られる。カランの半数はハンド式のシャワーになっているので、銭湯に慣れない人も使いやすい。ボディソープ、リンスインシャンプーも用意がある。天井は高くはないものの、白熱灯で落ち着いた雰囲気があり、足を伸ばしてゆっくりリラックスできる。
ちなみに、前回の訪問の時は3階の湯だった。こちらには開放的な露天風呂があるのがポイント。庇(ひさし)などがない完全な露天で、これからの暖かい季節は最高だろう。サウナと組み合わせれば、思わず時が経つのを忘れてしまう。
宮城湯のホームページを見れば、今週はどちらのお湯か書かれているので、訪問前にチェックするのもいい。デザイナーズ銭湯並みの設備があるにも関わらず、肩肘らない庶民的な魅力のあるオススメの銭湯だ。
※イメージ図は筆者の調査に基づくもので正確なものではございません
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。