前回紹介したWOWは、これからのニュージーランド・アートを牽引すべく、首都で開催されている国際的な一大イベントである。だが、この大きなショーが生まれたのは、なんと人口約9万人という南島の小さな街、ネルソンだという。ネルソンはウェリントンからクック海峡を渡って南島の北端にある街である。フェリーでも3時間ほどで行けるようだが、やはりニュージーランドの移動は飛行機が便利。なんとフライト時間20分ほどで小さなネルソンの空港に到着する。
ウェリントンが数時間でぐるりと一周できる街なら、ネルソンは数十分で一周できてしまうような小さな街である。
(上)街中を過ぎて、15分ほど歩くと、そこはもう大自然。これぞ、ニュージーランド(右)さらに5分ほど歩くと、ヨットハーバーがあった。といっても、シーズンオフだからか、人の姿は見えない。鳥たちに近づいても、まったく怖がらない |
こんな小さなネルソンの街であるが、ニュージーランド国内では一二を争う人気の観光地である。もし、WOW鑑賞にウェリントンを訪れたら、ネルソンまで脚を伸ばせば、のんびりとした雰囲気に浸れて、あくせくした日本の生活が本当に遠い世界に感じる(ま、実際に遠いんだけど)。
WOW発祥の地ということで、ネルソンにあるWOWの博物館。なぜか、クラシックカーの博物館が併設されている。どうやら、「アートに関心のない男性と子どもは、クラシックカーを見てね」ということらしい(笑) |
ネルソンは小さな街だが、周囲は美しい大自然が広がる。ネルソンはウェリントンと海を挟んで対岸にあるが、気候はコロっと変わって晴天率の多いことでも知られる |
というわけだが、アートの取材は他の記者に任せて(笑)、僕はネルソンの楽しみ方を紹介しよう。ネルソン自体は小さな街だが、郊外にワイナリーや国立公園が広がっており、その観光拠点となっている。ネルソンの街中にあるバスターミナルや街中の旅行会社では、簡単にツアーを申し込むことができる。
これらのツアーは、どれも半日もあれば、充分に楽しめる。僕は、午前中に料理ツアー、午後にワイナリーツアーに参加したわけだが、美味しい料理とワイン、それに美しい自然を堪能できて大満足。なお、他の参加者によると、午前中にワイナリーに行ってしまうと、お昼頃には出来上がっていて、その後がつらい(笑)とのこと。ワイナリーは午後に行ったほうがいいらしい。
さて、このネルソンから時間がなければ1日でも、できることなら2~3日かけて行ってみたいのが、アベル・タスマン国立公園である。僕は、過去の例に漏れず、時間がなかったので(たまにはのんびりしてみたいものです)、日帰りでアベル・タスマンまで行ってきた。アベル・タスマンへはレンタカーが便利だが、ネルソンのバスターミナルからバスもたくさん出ているので、行くのに苦労することはないだろう。ネルソンから車で1時間ちょっとでアベル・タスマンに到着する。
さて、国立公園内での移動は、ウォーター・タクシーである。要は、乗り合いのモーターボートだ。国立公園内にはウォータータクシーの発着ポイントがたくさんあるので、公園入り口で券を購入しておけば、あとは好きなところで乗り降りすることができる。
さて、無事に海上に出たら、ウォータータクシーに乗って海上から公園内を進んでいく。とりあえず、僕は時間がなかったので、ほとんどの見どころをボートの上から見ることになったが、これがムチャクチャ楽しい。運転手さん(船頭さん?)は、いかつい顔とは裏腹に陽気で楽しいお兄さん。その彼の説明を聞きながら、アベル・タスマン内をぐるりと一周することになった。
ビーチでは、こんな感じでウォータータクシーを待つ人が。ウォータータクシーで海上を移動して、下りたら山をトレッキングというのが、手軽に公園を楽しむコツ |
こんな感じで、ウォータータクシーを乗り降りする。きれいな冷たい水が心地いい。動きやすい服装で訪れよう |
今回の僕には、山中をトレッキングする時間はない。だが、そうはいっても、ずっと海上では少々寂しいので、ロッジに行って食事をすることにした。
(左)ロッジの回りは、湿地帯が続いている。この回りをぐるりと散策できるように、小道が整備されている(上)ニュージーランドは太古の昔、恐竜時代に大陸から離れて独自の進化を遂げた。シダの原生林が続き、この島固有の植物や動物を見ることができる |
というわけで、無事にランチを済ませたら、またウォータータクシーに乗って、帰ることになった。ほんの数時間しか滞在できなかったのが残念だが、ま、仕事中の寄り道なので、仕方がない(笑)。今度は、プライベートで、ゆっくりのんびり、ニュージーランド時間にひたりながら、旅してみたいところである。
なお、今回紹介したニュージーランドの旅、日本からのツアーなどにはほとんど組み込まれていない。だが、実際に行ってみると、さすがに観光大国だけあって、現地からでも簡単に手配できるところばかり。もし、行き当たりばったりの旅は不安という人は、ニュージーランド政府観光局のWEBサイトを覗いて見よう。非常に情報が充実しているので、個人旅行の情報収集にはうってつけだ。