この連載、ずっとアジアを行ったり来たりしていたが、今回はいよいよ太平洋を渡り、アメリカ大陸上陸である。アメリカといえば、やはりニューヨークである。なぜ「やはり」かというと、僕が好きな街だから、である。
ニューヨークは、アメリカ全土のみならず、世界中から人や物が集まる、いわずと知れた世界一の経済都市だ。狭い狭いマンハッタン島に立ち並ぶ高層ビル、世界中のさまざな国から集まったものすごい数の人。そんな街並みは歩いているだけで、本当に楽しい。
ニューヨークといえば、ここという人も多いだろう。タイムズスクエアの中(写真でいうとHSBCの看板の下あたり)にあるTKTSではブロードウェイなどのミュージカルの当日券を半額などの割引で買える。意外と人気のあるショーでも当日券を買えることが多い(ただし、あまりいい席ではない) |
ニューヨークについては、書きたいことがいっぱいあるのだが、この連載のテーマは世界遺産である。で、ニューヨークのような大都会に世界遺産があるのか、というと、実はあるのだ。「自由の女神像」である。
自由の女神を間近で見たければ、夏の朝が一番である。というのも、ニューヨークの冬はめちゃくちゃ寒い。そんな時に海に浮かぶ自由の女神像まで行くのは、はっきりいって拷問である。では、なぜ早朝かというと、何しろ自由の女神、世界中の有名人である。夏の休暇シーズンは、世界中から観光客が押し寄せ、3時間、4時間待たされるのは当たり前。というわけで、お客さんの少ない朝行かないと、真夏の太陽の下で3時間も待たされるのは、はっきりいって拷問である。
というわけで、6時過ぎにタイムズスクエア近くのホテルを出発した僕は、地下鉄に乗ってバッテリーパークのあるマンハッタンの先端部に向かった。ところで、ニューヨークの地下鉄は怖いという印象があるかもしれない。だが、近年ずいぶん整備されており、昼間の人の多い時間帯なら旅行者でも安心して利用できる。結構路線が複雑なので、駅のインフォメーションなどで最新の路線図を入手しておこう。
自由の女神像はマンハッタン島から少し離れた小島に建っている。その小島へ向かうフェリーが出ているのが、マンハッタン島の南端にあるバッテリーパークである |
のどかなバッテリーパークの向こうには世界経済の中心であるウォールストリートがある。歩いているだけで、目の前の光景がドラスティックに変化するから、ニューヨークの街歩きは飽きることがない |
さて、7時前にバッテリーパークに到着し、1時間ほど並んでフェリーに乗船。朝のバッテリーパークは海風が心地よくて、並ぶのもあまり苦にならない。同時多発テロ以降、セキュリティが強化されていて、手荷物検査などに結構時間がかかる。身分書の提示を求められることもあるので、パスポートを持っていこう。
ようやくフェリーに乗り込んだ僕がまず向かった先は、自由の女神のあるリバティ島だ。ちなみに、この島には自由の女神以外、ほとんど何もない。で、自由の女神はというと、同時多発テロ以降、内部への入場は制限されている。ちなみに、僕がここを訪れたのは、同時多発テロの翌年で、自由の女神像内への立ち入りは禁じられていた。
なお、今では内部の見学も復活しているそうだ。ただし、入場者数が制限されているので、どうしても内部を見たい人は、あらかじめ旅行会社などを通じて、アクセスパスを購入しておこう。もっとも、内部を見なくても目の前にそびえ立つ自由の女神は圧巻。充分に楽しめるはずだ。
(上)フェリーがリバティ島に近づくと、自由の女神の大きさに驚く。写真下に写っている豆粒のような人と比べると、自由の女神の巨大さがわかるだろう(右)リバティ島に立って、自由の女神を足元から仰ぎ見ると、すごい迫力。「ニューヨークへ行きたいか~~」って、今はなき某クイズ番組の興奮がちょっとよみがえる |
間近で見る自由の女神を堪能したら、またフェリーに乗船。次に向かう先はエリス島だ。エリス島は、リバティ島のすぐ近くにある小さな島で、かつて移民管理局が置かれていた島。今は、博物館になっており、自由の女神やニューヨークの歴史を学ぶことができる。
リバティ島からエリス島へフェリーで移動。なお、バッテリーパークで買ったフェリーチケットは周遊券なので、リバティ島からエリス島、バッテリーパークへ戻るまで、このチケットでOK |
ニューヨークの街ができた頃、新天地を求めてニューヨークにやってきた移民たちは、まずこのエリス島に下り立ったわけだ |
という感じで、ニューヨークの世界遺産、自由の女神観光は、ゆっくり見て回っても半日もあればOK。お昼、夜ご飯はマンハッタン島に戻って、ソーホー辺りでとるのがいいだろう(エリス島あたりだと混んでるし、値段も観光地価格だったりするので)。というわけで、今回の世界遺産はおしまい、というのでは、少々寂しい。そこで、次回は世界中からあらゆる物が集まるニューヨークでの"遺跡"巡りについてお伝えする。