前回の記事で、若者が貯蓄をしておく必要性を解説しました。今回は、これから貯蓄を始めようと考えている方に、おすすめの貯蓄方法をご紹介していきます。

ご自身に合った手段を用いて、無理のない範囲で貯蓄を始めてみてください。

■貯蓄方法ごとの特徴

貯蓄をする方法には、さまざまな種類があり、それぞれメリットとデメリットが異なるため、1つずつ解説していきます。

なお、本記事でご紹介するメリットとデメリットは、一部に過ぎません。貯蓄方法ごとの詳細な特徴・メリット・デメリットについては、別の機会に解説予定です。また、貯蓄によって資産形成をするには、ある程度の時間がかかります。最初から大金を貯めようとするのではなく、焦らずに少しずつ資産を形成していくことが大切です。

▼積立定期預金

積立定期預金を利用すると、毎月決まった日に一定金額が自動的に積み立てられます。給与から貯蓄分を先取りできるため、貯蓄が苦手な人でも自然とお金が貯まっていくはずです。

積立定期預金のメリットは、元本保証がある点です。積立額を1,000円程度から設定できる金融機関もあるため、無理のない範囲で貯蓄を始められます。

一方で、残高に適用される金利が低いため、預けていても殖えていきません。また、利息に対しては20.315%の税金がかかります。大きな損失が発生する恐れはないものの、運用商品としての魅力は低いのが、積立定期預金の特徴といえます。

▼社内預金・財形貯蓄

社内預金や財形貯蓄は、毎月一定額を給与天引きで積み立てていくため、積立定期預金よりも強制力が高く、もっとも貯蓄しやすい制度といえます。解約の手続きをしない限り、引き出せないため、うっかり使ってしまう心配も少ないでしょう。

ただし社内預金や財形貯蓄は、すべての企業が実施しているわけではありません。加えて、転職をすると積み立ては終了します。

ちなみに私は、社内預金を始めたことでスムーズにお金が貯められるようになりました。社内預金の貯蓄額を差し引いて支給された金額が、自分の手取り収入だと思うようになり、お金の使いすぎを防げたためです。

▼貯蓄型保険

貯蓄型保険は、契約者が支払った保険料を、保険会社が代わりに運用して殖やしてくれる保険です。貯蓄型保険には、以下のような種類があります。

●個人年金保険:老後の年金を積み立てる保険
●学資保険:子どもの教育資金を積み立てる保険
●終身保険:一生涯の死亡保障を得られる保険

貯蓄型保険は、保険料を支払っている途中で解約したり、保険会社が倒産したりしない限り元本割れする心配はありません。貯蓄型保険で支払った保険料は、生命保険料控除の対象となるため、所得税や住民税の負担を軽減できることがあります。

また貯蓄型保険は、契約者貸付を利用すると解約したときに戻ってくるお金の8~9割を、低金利で貸し付けてくれます。2020年は、新型コロナウイルスの影響による収入減少によって生活に困る人が増えたため、貸付時の金利を0%にした保険会社も多数ありました。

ただし、貯蓄型保険を保険料の払込期間中に解約すると、戻ってくる金額が支払った保険料の合計を下回る元本割れが発生します。貯蓄型保険に加入する際は、保険料を最後まで払っていけるのかを慎重に検討する必要があります。加えて貯蓄型保険の利率は、低金利の影響で低下しており、ひと昔前ほどお金は殖えていきません。

貯蓄型保険は「死亡したとき」「老後生活が始まるとき」「子どもが進学するとき」など、必要なタイミングで資金を準備するために加入する保険です。そのため貯蓄型保険に加入するときは、目的を明確にすることが大切です。

▼NISAやiDeCoによる投資

株式や投資信託などに投資すると、預貯金や貯蓄型保険よりも資産を殖やせる可能性があります。近年は、NISAやiDeCoなど、特定の金融商品で得た利益に対して、一定金額まで非課税となる制度が開始されたこともあり投資を始める人が増えてきました。

投資のメリットは、やはり高い利回りが期待できる点でしょう。iDeCoやつみたてNISAの口座を開設し、長年にわたって毎月一定金額の投資信託を購入していくと、福利効果が働いて資産が殖えていきやすいです。

※複利とは、元本と利息に対して利息がつくこと

また、iDeCoやつみたてNISAで投資できるのは、主に金融庁が定める基準をクリアした投資信託であるため、初心者でも投資先を選びやすいといえます。

ただし、いくら金融庁の審査に通過しているとはいえ、元本割れが起こるリスクはゼロではありません。資金が必要なタイミングで、元本割れが起こっている恐れがあるため、資産のすべてを投資に回すのは避けた方が良いでしょう。

またiDeCoは、老後の年金を積み立てる制度であり、運用資産は原則として60歳まで引き出せません。iDeCoを始めるタイミングや、積み立てる金額は、ご自身の状況や今後のライフプランも含めて慎重に検討する必要があります。

■貯蓄をするうえでの注意点

貯蓄をするうえで大切なことは、預貯金や貯蓄型保険、投資などの方法をバランス良く用いることです。

2020年現在は歴史的な低金利であるため、預貯金や貯蓄型保険だけで貯蓄をしても、資産は殖えていきません。一方で毎月の貯蓄額のすべてを投資に回すと、資金が必要なタイミングで運用資産がマイナスとなっている恐れがあります。

資産形成をするときは、毎月の貯蓄額のうち、損失が発生しないように安定して積み立てる部分と、積極的に殖やす部分を分けてリスク分散することが大切です。

例えば、毎月5万円を貯蓄する場合、2万円は社内預金、残りの3万円はつみたてNISAによる投資、のように配分を決めます。

高いリターンを望んで投資の割合を大きくするほど、損失が発生するリスクも大きくなります。貯蓄する目的や資金が必要となるタイミングなどから、どこまでのリスクを許容できるのかを考えて、ご自身に合った配分を決めることが大切です。