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この番組がスゴイ! NCIS~ネイビー犯罪捜査班

海軍相手の捜査官リーダーは部下の頭を叩く素敵な上司

クライムドラマの主人公が所属する組織といえばFBIが定番。だが、犯罪を取り締まる組織は、なにもこればかりではない。日本とは違って独自の組織を対象とする法執行機関が数多く存在するのがアメリカ。今回紹介する『NCIS~ネイビー犯罪捜査班』はその数あるなかのひとつ、NCISを舞台にしたドラマだ。NCISとは"Naval Criminal Investigative Service"の略で、日本語に訳すと"海軍犯罪捜査局"となる。つまりは海軍専門の警察。ちなみにアメリカでは陸軍にも空軍にも、こうした組織は存在しているわけだが、日本人にはあまり馴染みがないだけにマイナーに感じるかもしれない。

タフガイ、尋問プロ、オタク……個性派が集まったチームの活躍は爽快! 『NCIS~ネイビー犯罪捜査班』の米国人気にもナットクだ

海軍という特殊な環境下で起こる事件を解明していく。そうしたストーリーは確かに国際テロ組織などと渡り合うようなFBIモノと比べると地味である。ところがどっこい。これは決してマイナーなドラマなんかではない。本国ではまもなくシーズン7が始まるほどの人気を誇っている。あの全米屈指のお化け視聴率番組『アメリカン・アイドル』の裏にあって右肩上がりに視聴率を伸ばし、全米トップ10に入ったというから侮れないだろう。人気の理由はなにか。それはなんといっても登場人物たちが織りなす空気にある。

主人公ひとりが活躍するタイプではなく、チームで活躍するタイプの本作品。そのメンバーとは凶悪犯罪者を前にしても「ハッハァ」と野卑に笑うタフガイのディノッゾ、イスラエル諜報特務局から派遣されてきた尋問(拷問?)が得意なユダヤ系美女のジヴァ、情報解析や収集能力に秀でるマサチューセッツ工科大卒のマクギー、科学分析官でありながら棺桶をベットにして眠るゴシックパンク娘のアビーら。皆が皆、アクが強い。そして、この個性派チームを束ねるのが、元スナイパーという肩書きを持つ捜査官のギブスだ。

なかの人が米ピープル誌で「最もセクシーな男」に選ばれたこともあるダンディなギブスは、ややもするとバラバラになりがちな面々の手綱をギュッと引き締める。欧米では非常に珍しいことなのだが、調子に乗った部下の頭をよく叩くのである。彼が厳格だが愛情溢れる親父のように振る舞うためか、まるでチームは深い絆で結ばれたファミリーのよう。そのためシリアスな空気のなか、ファミリードラマのような緩い空気が同時に存在している。緊張と弛緩。そのバランスの絶妙なところが本作品の一番の魅力なのである。

しかし、そんなファミリーにも崩壊の危機が……。詳しくは今月からスタートするシーズン4をご覧あれ。

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