今回からは、自分自身が持っている「おしゃれ力」を十分に発揮した女性、「ファッション系レイディ」になることをテーマにアドバイスしてみましょう。

おしゃれが好きで、自分としては魅力的なコーディネートをしているつもり。でも、がんばったわりには相手の反応は薄く、「もっとほめてもらえると思ったのに……」となってしまった経験はありませんか? あるいは、自分のファッションに対して同性からは高評価なのに、肝心の異性ウケが悪く、不思議に感じている人もいるかもしれません。

なぜそうなってしまうかといえば、たとえセンスはあっても、ファッションの持っている力を正しく引き出せておらず、あなた自身に秘められている「おしゃれ力」を正しく発揮できていないからなのです。

ファッションへのこだわりが、逆に異性を遠ざけている可能性も…(写真はイメージ)

男女間のファッション感覚には埋めがたい"ズレ"が存在する

「ライトヲタ系レイディ」「居酒屋系レイディ」を紹介する際、「こうしたほうがいいのでは?」というところからアドバイスを始めましたが、今回はズバリ、「ここがいけない!」というところから始めたいと思います。

人を惹きつける「ファッション系レイディ」になるため必要なものとして、強く意識してほしいと思っているのが、男性と女性の感覚の"ズレ"について。この男女間の行き違いに気づかないまま努力しても、がんばればがんばるほど見当違いな方向へ行ってしまうでしょう。実際、筆者はそうしたケースを何度も見てきました。

長い間、女性文化と男性文化は(おもに男性文化を中心に)寄り添うようにして発展してきました。ところが1990年代半ば頃から、市場として女性カルチャーが強く意識されるようになり、両者の文化の明確な分化が始まります。そこから何が生まれたかというと、男性が見た「かっこいい」「かわいい」「色っぽい」と、女性の感じるそれとが、じつはあまりにも違うものだということ。近年ようやく認識されるようになったのです。

「インターネット時代」となった現代、あらゆるものについて価値観の細分化が進むのと同時に、男女間の感覚のズレもさらに進行しています。これまでメインを張っていたカルチャーの説得力が弱まった結果、相対的に女性の発言力が強まり、女性の持つ価値観や文化が確固たるものとなってきました。すると、男性目線だとまったく琴線に引っかからないものが、女性目線だとかわいかったりセクシーだったりするおかげでやたらとクローズアップされるようになる、という状態が頻発するようになってきたのです。

具体的な例を挙げるとしたら、倖田來未やレディー・ガガ。彼女たちのファッションや立ち振る舞いに対して、女性から「かわいい!」「かっこいい!」などの声が上がりますが、その一方で「俺にはどこがいいのかわからない」と首をひねる男性は多いと思います。

もちろん特定の個人に限ったことではなく、最近だと「ゆるふわ系」「森ガール」のような一時期流行したスタイルも、女性から見ると「イイ!」と思えても、男性側はさほど良いとは思っていない場合もあります。そんな雰囲気を感じたことはありませんか? ファッションアイテムでいえば、レギンスやトレンカがブームになったときも、「やっぱりストッキングの方がイイ!」と男性側は言っていたものです。でも女性側から見れば、「男の言うことの方がわからない。みんなかっこいいし、かわいいじゃない」となりますよね。

……このように、女性と男性の間には、「かわいい」「かっこいい」「セクシー」といった表現に対する価値観に大きな溝があります。「ファッション系レイディ」について知る上で、まずはそこをしっかり認識しなければならないでしょう。

かと言って「異性ウケ」狙いのファッションもNG

ファッションに限ったことではありませんが、流行を追いかけるあまり、つい"暴走"してしまいがち。極端な例になりますが、もともとギャルのファッションスタイルとして生まれ、2000年前後まで隆盛を誇った「ガングロ」が、終いには「ヤマンバ(マンバ)」と言われ、どこに向かっていたのかわからないものになってしまった、ということもありましたね。流行していると思い込むことで、ときにとんでもないことになった好例ではないかと思います。

こうした例からも、ファッションに関しては、「思い込みで突き進んではNG」と言うことができるでしょう。「リアルモテ女」になるためには、異性に対して魅力的なファッションを心がけなければいけないわけです。かと言って異性ウケばかり考えるのもNG。これもたいていの場合、うまくいきません(実例もありますので当連載で改めて紹介しましょう)。なかなか難しいところですが、要は「自分がしたいファッションと、相手が求めているファッションとの折衷点を見つけ出す」そのバランス感覚が大事といえるでしょう。

さて、それでは次回、筆者の周囲で起きた実例をもとに、「ファッション系レイディ」をめざすならどうしていけばいいか、考えてみましょうか。

※当連載における「レイディ」とは、「女子」「ガール」といった、どことなく少女をイメージさせる存在からもう1歩踏み込み、「若々しさ」だけでなく「歳相応の深み」も持つ"オンリーワンの魅力"を秘めた「淑女(レディ)」をさす。「レイディ」という表現は新井素子氏のSF小説『通りすがりのレイディ』の主人公が憧れる、魅力的な女性への呼び名にちなんだもの

執筆者プロフィール : 来栖 美憂(くるす みゆう)

文筆家(男性)。ジャンルを問わない媒体で執筆中。近代カルチャーに詳しく、自身でもメイド喫茶などのイベントを企画・参加するなど実践派でもある。『アキバ☆コンフィデンシャル』(長崎出版)など編・著書多数。TwitterID「@mewzou