2024年3月に発表された「地価公示」によると、大阪府の住宅地の地価上昇率は+ 1.6%です。では、大阪府の中でも特に地価が上がっているのはどの地域なのでしょうか?

今回は国土交通省の地価公示をもとに、大阪府内の住宅地の地価上昇率を駅別に発表します。さらに、地価上昇の背景について、鑑定評価書の情報を用いて分かりやすく解説します。

  • 大阪府 北大阪急行線延伸工事 箕面萱野駅

大阪府・住宅地の地価上昇率ランキング(2024年版)

大阪府の住宅地において、2024年1月時点で地価の上昇率がもっとも高かったのは「箕面船場阪大前」(箕面市船場西1丁目20番9)でした。

次いで2位は「箕面萱野(箕面市今宮4丁目1番12)」、3位は「野江(大阪市城東区中央2丁目12番1)」です。

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※鉤括弧内は住所地から筆者が判断し最寄り駅を記載

箕面市や城東区などが上位を占める

1位と2位は「箕面船場阪大前駅」「箕面萱野駅」の周辺エリアです。これら2つの駅は2023年3月に北大阪急行電鉄南北線が開業した際に新たに設置されました。

3位以下を見ると、大阪市城東区が7地点と多くランクイン。大阪市では北区や中央区など中心エリアの物件の価格が高く、城東区など比較的割安な隣接地域の人気が高まっています。

ここからは国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で公表されている各地点の鑑定評価書を基に、上位の地域の特性について解説します。

なお、鑑定評価書の表記は地番や住居表示がベースになっていますが、この記事では分かりやすくするため最寄り駅で表記します。

箕面船場阪大前・箕面萱野

1位・2位の箕面市は、北大阪急行電鉄が延伸し、南北線の駅が新設されたエリアです。箕面船場阪大前について鑑定評価書によると「新駅開業に伴い、利便性が大きく向上することから、需要が高まっており、高値での取引も散見され、地価は大きく上昇している。」とあります。

住宅が立ち並ぶ地域であり、今後への期待感から、地価上昇が続くと予測されています。

蒲生四丁目

3位に入った蒲生四丁目は、通称「がもよん」と呼ばれるエリアです。空家・古民家の再生プロジェクトで注目され、京橋駅の近隣であることからも人気を集めています。

老朽化した建物を、その持ち味を活かしながら改修し、新旧が調和した空間にリニューアルするプロジェクトが進められています。古くからの風情を残しながら、生活面・経済面で街ににぎわいを生むのが目的です。

鑑定評価書には「城東区内で駅接近、生活利便性の良好なマンションは分譲・賃貸共に需要が強く、地価動向については前年度より上昇幅を拡大させて強含みにて推移している。」と表記されています。

新福島

4位に入った新福島の地価上昇率は7.7%でした。鑑定評価書には「販売価格の高騰からマンション売れ行きが鈍りつつあるが、住宅需要の都心回帰傾向は続いており、中心商業地に近く、利便性が高い立地から需要も堅調であり、地価は上昇傾向で推移している。」と表記されています。

大阪駅や市内中心部へアクセスしやすく、住宅需要が高いことから地価の上昇が継続しています。

新金岡

5位には堺市・新金岡がランクインし、地価上昇率は7.7%です。鑑定評価書には「近年新金岡駅徒歩圏では複数のファミリー向けマンションが新築分譲されたがいずれも売れ行き好調で、周辺の中古マンション価格も上昇傾向にありエンドの需要は旺盛である。」とあります。

立地に優れた場所での開発に関しては事業者間での競争が激しく、高額の取引もされています。

高槻市

6位には高槻市が入り、地価上昇率は7.6%です。鑑定評価書によると「最寄駅よりバス圏の地域であるが、周辺の安満遺跡公園整備事業及び街路整備事業の完成により、利便性、住環境が向上し、需要が強まっている。」とあります。

戸建住宅を中心とした住宅地域で、利便性の向上によって今後も地価上昇が継続すると見込まれています。