旅行や出張に行くときや、急に帰省しなければならなくなった時。「愛犬や愛猫を、どうしたらいいの?」と戸惑うことがあると思います。食事や水、トイレの問題。病気になったらどうしようなど、飼い主さん同士で情報交換しても、なかなか正解が分からないですよね。かといって、改まって獣医さんに聞くのも、ちょっとためらう……ここでは、そんな留守中の対応を全5回に分けてご紹介。5回目は、安心できる実家に預ける編です!

これまでのお話はこちら

  • ペットを実家に預けたらみんなハッピー?

ペットに慣れた家族がいたら、大助かり!

繁忙期でペットホテルの予約がとれない、ペットシッターさんにお願いしたいけど料金が高くて予算的に厳しい……。そんな時、頼りになるのが実家の存在です。

あなたのご家族は、ペットと遊んだことがあったり、動物好きですか? もしその答えが「イエス」なら、ペットを預ける候補に実家をあげてみましょう。ペットとの触れ合いに慣れているご家族は、あなたの心強い味方になってくれるはずです。

家族といえども、事前準備はしっかりと

環境の変化は、ペットにとって大きなストレス。実家に預ける場合も、当日だけでなく事前準備をしっかりして、ペットを安心させてあげましょう。

事前にやっておきたい準備としては、以下の3つが考えられます。

1.顔を合わせておく
可能なら、飼い主さんの家に一度家族を呼びましょう。スキンシップを重ねておけば、お泊り時に「この人知ってる!」とペットも一安心。実家の環境にも、早く慣れてくれます。

2.グッズを用意する

  • トイレ容器&トイレ砂、シートの一例

トイレ容器やトイレ砂、フードは、今まで使っているものと同じものがおすすめです。必用であれば、ゲージも実家に準備しましょう。フードのお皿は、菌が繁殖しにくい陶器やステンレス製がグッド。ワンちゃんなら、お散歩用のリードも忘れないようにしてくださいね。

また普段、脱走グセのない穏やかな性格のペットでも、環境が変わると思いがけない行動をとることがあります。「うちの子は大丈夫」と油断せず、万が一、いなくなった場合も考えて、迷子札(飼い主さんの名前や住所・電話番号を記入して、首輪からぶら下げるもの)をつけておくと、安心です。

3.ニオイの交換でペットに安心感を
実家にあるタオルや布を持ってきて、ペットのそばに置いてみてください。そのニオイを覚えてもらえば、ペットが実家に行ったときに安心できて、早く慣れてもらうことができます。

まさかのトラブルを回避しよう

うっかりミスでペットがトラブルにあわないように、実家の環境を整えてあげることも大切です。よくあるのが、いたずら好きなペットが電化製品のコードを噛んでしまうこと。もしかしたら、コードの電線に触れてしまい、感電してしまうかもしれません……。

筆者が飼っている猫も、パソコンの充電コードやハードディスクから飛び出たSDカードをよくかじります。そんなペットの感電防止を防ぐためにも、実家のコードを安全なもので覆うように対策しましょう。

最近は100円ショップでも、コードカバーがいくつか売られています。まずは気軽に手にできることから試して、ペットにとって、安心安全な生活空間を作ってあげてくださいね。

  • ペットのターゲットになりやすいコンセント

そして、冬場に多いのがお風呂場のトラブル。暖かい湯船のフタの上にペットが乗っていたら、何かの拍子でフタが外れてペットが「ドボーーン!」と溺れてしまう可能性があります。お風呂場にはペットを入れないようにするのがベストですが、もし家の中で放したままにするのであれば、浴槽のお湯は抜いておくようにしましょう。

また、実家に観葉植物をたくさん置いているのであれば、危険な植物を置いていないか確認する必要があります。犬や猫にとって危険な植物は、アイビー、ユリ、アロエ、ポトス、ポインセチアなど。その中でもアイビーやポトスは、インテリアとしても人気が高いので、ひょっとしたら、あなたの実家に置いてあるかもしれません。当日までに確認して、そういった危険な植物はペットが届かないところへ移動させましょう。

ペットを預ける当日、気をつけたいこと

実家の環境を整えたら、いよいよ当日。ペットを実家に送っていくなら、午前中がおすすめです。ペットは、新しい環境に不安や緊張を覚えます。なるべく午前中に実家に連れて行き、夜までに少しでも実家に慣れてもらいましょう。

ペットが実家に着いたら、静かな部屋の隅にキャリーバッグを置きます。最初は緊張してバッグから出てこないかもしれませんが、入口を開けたままにしておくと自分から出てきます。無理やりペットを引っ張り出すのはNG。特に、警戒心の強い猫ちゃんには、恐怖を与えてしまうことになるので注意してくださいね。

先住猫や先住犬と仲良くしてもらうには?

ペットを実家に預ける理由として、すでに猫や犬がいるから。という人も多いことでしょう。確かに、動物に慣れている家族がいたら、とっても頼りになります。しかし、新しいペットが出現することは、先住猫や先住犬にとって大きな環境の変化。「一緒に過ごしてくれたら、楽しいはず!」というような思い込みでペットを預けるのではなく、ペットの性格をよく考えた上で決めるようにしましょう。

また、短期間で先住猫や犬たちと仲良く同居してもらうには、家族の気遣いが必要です。そのとき必要になる心得を下記にまとめましたので、参考にしてみてください。

<対面のさせ方に注意する>
「あせらずゆっくりと」が対面の基本。先程も少し触れましたが、しばらくペットは、キャリーバッグに入れたまま部屋の隅で過ごさせるのがおすすめです。まずは、先住のペットのニオイに慣れさせましょう。別の部屋にいても、感覚の良いペットは気づきます。

その後、いきなり対面させるのではなく、新入りのペットを抱っこしたまま、先住のペットにゆっくり近づいてニオイを覚えさせます。慣れてきた頃を見計らって、ペットを自由に放つようにしましょう。

<先住猫や犬を優先させる>
急な環境の変化でナーバスになっている先住猫や犬は、新入りに敏感。ヤキモチをやいてストレスを与えないように、いつも以上にかわいがってくださいね。

<ケンカになったときの逃げ場を用意する>
どうしても仲良く慣れず、ペット同士で喧嘩してしまうことがあります。そんなときは、お互いの距離が保てるように、避難場所を作ってあげましょう。小さなペットなら、狭い場所を用意してあげるのもコツですよ。

ペットがみんなでの癒しに!

筆者も実家に猫を預けたことがありますが、「ペットと過ごす喜び」が、ペットロスに陥っていた父と母の深い悲しみを癒す助けになったことがあります。犬や猫を飼いたいけれど、年齢を考えると躊躇してしまう……というシニア世代の方がいたら、あえてペットを実家に預けてみるのはいかがでしょうか。

ペットを撫でたり抱っこしたり。そのとき感じる温もりは、幸せそのものです。何者にも代えがたい充足感が、あなたのお父さんやお母さんを元気にしてくれるかもしれません。