どうやら僕、なすにたっぷりと油を吸わせ、さらに濃厚な甘辛味をこれでもかと絡めたタイプの料理が、尋常ならざるほどに好きな人間らしいんです。たとえば、こういう。

  • 東中野「稼鶏酒場(かとりさかば)」の「ナスガーリックスパイシー&ライス」

  • 原宿「チャオバンブー」の「ナスの花椒炒め」

それでここ数年、ふと思い出しては、オリジナルのこってりなす料理が作れないかを試行錯誤していたんですよね。油の種類や量、調理方法、そして味つけなど。けれどもどうもしっくりくるものができず、これはこれで美味しいんだけど、ベストではないかなぁ……なんて、ちょっぴり切なくなってしまう日々を送っていました。

ところが先日、ついに現状における最適解と思えるレシピにたどり着いたんです。あくまで“家で気軽に作って食べること”に特化したものなんですが、ポイントとなる食材はずばりふたつ。「冷凍揚げなす」と「焼鳥のたれ」。

基本は食材ふたつだけ

では作っていきましょう。まずは、ポイント食材1の、冷凍揚げなす。

  • 業務スーパーの「揚げなす乱切り」

こちらは業務スーパーで見つけたものですが、大きめのスーパーや、なんならコンビニでも、メーカーは違えど同様の品が見つかるはずです。

で、そもそもこの冷凍揚げなすが、食材としてものすごく便利。解凍して麺つゆであえ、かつお節でもかけてやれば、それだけで「なすの揚げびたし」風のおつまみができてしまうんです。

で、今日はまず、このなすを炒めていくんですが、苦でない人はレンジで解凍してください。ただ、僕はそのひと手間や、そのためにお皿などを使って洗いものが増えるほうがめんどう。そこで、弱火にかけたフライパンに、凍ったままのなすをそのまま入れてしまいます。

  • からんから〜んと

レンチン解凍より時間は多少かかりますが、数分ほっておけば勝手に解凍されているので。

  • このように

そうしたら、たっぷりの刻んだにんにくと鷹の爪を加えます。このとき、フライパンに油はひかなくて大丈夫。火が通るほどに揚げなすの油がじわじわと染み出してきて、それでにんにくと鷹の爪がきちんと炒められるし、香りや辛味も全体に浸透しますので。

  • いい香りが漂ってきました

さて、ここでポイント食材その2。焼鳥のたれ!

  • エバラ「やきとりのたれ」

これまで、酒醤油みりん砂糖などをあれこれ調合したり、めんつゆ、だし醤油、すき焼きのたれなどを使ってみたりと、いろいろと試行錯誤してきたんです。けれども、ある日ふと思い立ち、使ってみたらばっちりだったのが、焼鳥のたれでした。

ちなみに、たれの説明書きに「鶏肉300gに対して本品60g」とあるので、今回はそれにならいましょう。すでにフライパンで炒めているなすが約300gなので、そこへ焼鳥のたれ60gを投入。

  • じゃーっ

あとはもう、なすがしっかりとたれを吸うまで、根気強く煮詰めるだけ。たれのとろみが強まって水っぽさがなくなり、なるべくなすの身が黒く染まるまで、ひたすらに。

  • いい感じ

仕上げにお好みで唐辛子などをふってやれば、完成!

  • 「揚げなすの照り焼き」

いや〜、初めてこのレシピにたどり着いた時は、感動で少しだけ泣きましたよね。求めていた味はこれだ! って。

  • とろとろで濃厚

超〜濃厚な甘辛味を、とろっとろ、かつ油をまとったなすがまとっている。たれにはほんのりと酸味もあるんですが、よく炒めることによってその角がとれ、絶妙なアクセントになっている。にんにくと唐辛子のパンチも言うことなしすぎます。

  • ビールはもちろん

当然、よく冷えたビールに合わないはずもないんですが、すいません、おつまみレシピの連載で言うことではないんだけど、より合うのが、正直ごはん!

  • こいつ最強……

お皿にカレーのように盛って豪快にほおばれば、脳みそがショートしそうな快感がそこに待っています。なす好きのみなさま、ぜひお試しあれ。

作りかた

【材料】

・冷凍揚げなす:300g
・焼鳥のたれ:60g(商品によってパッケージの説明どおりに)
・にんにく:2〜3片
・鷹の爪:お好みで
※すべての分量は目安です。お好みで調整してください。

【作りかた】

1.弱火にかけたフライパンに冷凍の揚げなすを入れる。
2.解凍されたら、刻んだにんにくと鷹の爪を入れる。
3.全体によく火が通ったら焼鳥のたれを加え、水気がなくなるまでじっくりと煮詰める。