もはや説明不要の国民食、かにっぽいかまぼここと「かにかま」。

多くの人にとってなじみのある食材だと思いますが、炒めものやサラダの彩りとか、かに玉のかにの代わりとかに使われることが多く、あまり主役になることはない、若干不遇の存在でもありますよね。

あ、近年目覚ましい発展を遂げており、もはやかにと見分けがつかないような、むしろ刺身的にそのまま食べたいような本気のやつはまた少し別の話になってくるかな。あくまで、昔ながらの円柱形のかにかま。

  • こういうの

ところが先日ですね、こういうオーソドックスタイプのかにかまを、オリーブオイルでじっくりと炒てみめる機会があったんです。一体どんな機会なんだって話ですが、ふだんからそんなことばっかりして暮らしているもんで、僕。

するとこれが、びっくりするほど美味しかった! 本気で炒めて本気で味わうかにかまって、ぜんぜん脇役じゃなくて、主役級の存在感を発揮するんだなと衝撃を受けてしまったんです。

そこで今回は、その他の具材で傘増ししたりせず、純粋にかにかまを主役として引き立ててくれる食材だけを使って、本気のかにかま炒めを作ってみましょう。

ポイントは、よくほぐすこと

ではでは。まずはフライパンに、底面に行き渡るくらいたっぷりのオリーブオイルをひきます。ここはせっかくなので、エクストラバージンオリーブオイルを使いましょう。オリーブオイルの香りがかにかまの風味をぜいたくに引き立ててくれるので。

それを弱火にかけ、刻んだにんにくと鷹の爪をじっくり熱していきます。

  • じわじわ

しばらくしてにんにくの良い香りが漂いだしたら、そこへかにかまを加えます。かにかまは、原型をとどめるよりもしっかりとほぐしたほうが食感が楽しく、良いつまみになるので、ざっくりと手でほぐしながら。

  • 主役なので、10本全部入れちゃいます

はい、ここで今回のワンポイント食材。正直、現状のままで、塩気が足りなければぱらりと塩を足すくらいでも、じゅうぶん美味しいんです。けれども今日は、もうちょっと旨みをブーストさせてあげたい。そこで、「アンチョビ」の登場です。

  • アンチョビ

アンチョビとは、カタクチイワシをたっぷりの塩で漬け、熟成、発酵させて、オリーブオイルに漬けたもの。写真のような缶詰や瓶詰めで販売されています。塩気が強いので、そのまま食べるというよりは料理にちょい足しする調味料のように使うと、その旨味が料理の味わいを底上げしてくれるんですよね。

というわけで今回は、細い身のほんの1本ぶんほどを加えてやりましょう。

  • ぽとりと

そうしたらこのアンチョビを菜箸などで崩しつつ、同時にかにかまもほぐしつつ、さらに全体を炒めていきます。最後に火加減を強火にし、仕上げに全体をほんのりと焦がすくらいによく焼いたら完成。

  • かにかまをよ〜くほぐしましょう

  • 「本気のかにかま炒め アンチョビ風味」

どうでしょうか。たいていはこういうメニューって、なんらかの野菜やら玉子やらが加わるもんじゃないですか。ところが今回は、かにかまが主役。

これがもう! 1本1本ほぐれたかにかまが、表面はパリパリで、噛むとむちむち。原材料の魚肉由来の旨味と、にんにくやオリーブオイルの香りがあいまって、かにかまってこんなに!? と思える美味しさなんです。もはや、かに料理にだって負けてない! とても、もとが100円程度のかにかまとは信じられません。

  • うますぎる……

作りかた(ひとりぶん)

【材料】

・かにかま:1パック
・アンチョビ:少々
・にんにく:2、3粒
・鷹の爪:1本
・エキストラバージンオリーブオイル:大さじ2
・コショウ:お好みで
※すべての分量は目安です。お好みで調整してください。

【作りかた】

1.弱火にかけたフライパンでオリーブオイルを熱し、刻んだにんにく、鷹の爪を加えて香りを出す。
2.ほぐしたかにかま、アンチョビ少々を加え、それらをさらにほぐしながらよく炒める。
3.かにかまが1本1本になるまでほぐれたら、強火にしてかにかまやにんにくにほんのりと焦げ目がつくくらいまで炒める。
4.仕上げにお好みでコショウをふる。