前回の記事では海外で現地通貨払いができるデビットカードを紹介したが、今回はプリペイドカード編をお届けしたいと思う。

■マネパカード

「マネパカード」

「マネパカード」は日本円に加え、米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、香港ドルの6通貨をチャージすることができ、それぞれの通貨で決済が可能。ATMで現地通貨を引き出すこともできる(日本円は除く)。

使い方はATMまたはインターネットバンキングでカード専用振込口座に日本円で入金後、好きなタイミングで希望の通貨に両替し、カードへチャージ。20分程度で反映され、あとはクレジットカード同様に買い物ができる。カードに残った残高は、日本円に戻して国内で利用したり、銀行へ出金したりすることも可能だ(銀行への出金は540円の手数料が必要)。

「マネパカード」を発行するマネーパートナーズは、FX等外国為替を扱う会社のため、円から外貨へ両替する際は、同社のFXレートに一定のコストを加えたレートが採用されており、一般的なクレジットカードで支払うことに比べ、手数料が割安なことが特徴。たとえば、米ドルへ両替する際の手数料は1米ドルにつき0.8円となっており、1米ドル=120円の場合は0.67%の計算となる。採用レートは異なるものの、一般的なVisaやMastercardのクレジットカードは、海外利用時に1.6~1.63%の手数料が必要なので、ポイント還元などを考慮しなければ約1%の差が出ることになる。

また、同社のFX口座に預けている外貨をカード口座に入金することも可能で、その際は0.4%の外貨受入手数料(1,000米ドルを入金する場合は手数料4米ドル)が必要となる。FX口座では米ドルへ両替する際の手数料が1米ドルにつき約0.2円となっているため、外貨受入手数料を合わせても、カード口座より格安で外貨に両替ができるメリットもある。

海外ATMで現地通貨を引き出す際は、ATM利用手数料がかかり、米ドルの場合は1回2ドル(その他に現地ATM設置会社の手数料が必要な場合あり)。なお、米ドルをチャージしておけば、前述の5外貨以外の現地通貨の引き出しも可能(3%のクロスボーダー手数料と1回2ドルのATM手数料が必要)となっている。

円通貨でショッピング利用した際は、毎月の利用額に対してキャッシュバックが受けられる(月50万円利用分まで)。現在キャンペーン中(終了時期未定)でキャッシュバック率が0.5%アップしており、通常でもキャッシュバック率は1.5%。同社のFX口座を保有している場合は1.7%。さらに月間100万通貨以上のFX取引を行った場合は、翌月のキャッシュバック率が2%になる。プリペイドカードのため、月額料金など一部の支払いには利用できないが、一般的なクレジットカード以上の還元率を得られるので、普段使いも考えている人はFX口座も開設しておこう。

通常、新規申し込みの場合はカード到着まで1~2週間が目安。今年末は12月23日以降の申し込みに関しては、最短で1月4日の発送となる。詳しくは公式サイトの「年末年始のカード発行スケジュールについて」を確認してほしい。

■キャッシュパスポート

「キャッシュパスポート」

「キャッシュパスポート」は日本円、米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル、シンガポールドル、香港ドルの9通貨をチャージ可能。郵送で受け取るタイプと、主要都市や空港にある外貨両替専門店「トラベレックス」の店舗で受け取るタイプがあり、どちらも海外専用のため日本国内では利用できないが、各現地通貨で支払いができ、ATMで現地通貨を引き出すこともできる。

チャージはトラベレックス直営店舗、もしくは銀行振込で入金する方法がある。店舗の場合は現金(日本円)を持っていくだけで手続きは完了。原則24時間以内にカードに反映される。銀行振込の場合は、通貨ごとに指定された口座に日本円で入金すると、原則翌営業日までにカードに反映。平日14時半以降や土日に振り込んだ場合は、翌々営業日の反映となる。あらかじめ委任状を登録すれば、家族によるチャージもできるので、海外留学する子供に持たせれば、使い方次第では送金手数料の節約にもなる。

チャージの際の為替レートは、原則毎日10時前後に更新され、トラベレックスの店頭や公式サイトで常時確認可能。最低入金額は1万円で、入金手数料の1%を引かれた金額がチャージされる。インターネットで手続きすれば、個人別の専用アカウントからチャージした通貨を別の通貨に移動させることもでき、その際は4%の手数料が差し引かれる。なお、チャージした残高を現金に戻す場合は、トラベレックス直営店舗またはオンライン上で手続きでき、540円の清算手数料が必要となる(オンラインの場合は別途振込手数料が必要)。

海外ATMで現地通貨を引き出す際は、ATM利用手数料がかかり、米ドルの場合は1回2ドル(その他に現地ATM設置会社の手数料が必要な場合あり)。ショッピング、ATMでの引き出しともに、利用時に該当通貨の残高が不足した場合は、チャージされた他の通貨から自動的に補填されるようになっており、冒頭に書いた通貨の順番で優先して使用される。チャージできる9通貨以外の国で使用する場合も同様で、自動補填される際には4%の手数料が差し引かれる

カードを保有すると、紛失・盗難時の対応や緊急時の現金手配、簡易通訳など、24時間年中無休の電話サポートも受けられる。初回申込時にはスペアカードも送付されるので、万が一の紛失・盗難時に再発行を待つ必要がないこともメリットだ。なお、年会費は無料だが、12カ月利用または入金がない場合は、13カ月目から毎月150円(または外貨相当額)が残高から差し引かれる。

新規の申し込みは、必要書類を持参のうえ、トラベレックスの直営店舗に現金を持ち込めば、その場でカードを発行してもらえる。トラベレックスオンラインで事前に申し込み、銀行振込で現金を入金、最寄りのトラベレックス直営店舗で受け取る方法も可能だ。郵送で受け取る場合は申し込みからカード到着まで1週間程度が目安だが、年末年始は非対応の期間があるので、年末年始も営業している主要空港の直営店舗で受け取ったほうが安全だろう。

なお、銀行振込でのチャージに関しては、12月28日14時半までの入金分に関しては24時間以内に反映されるが、以降の入金分に関しては1月4日に入金確認後24時間以内に反映される。年末年始に利用したい場合は、余裕を持って入金しておこう。

上記2枚をはじめとする海外利用向けプリペイドカードは、申し込みにマイナンバー確認書類が必要となる(トラベレックス直営店舗で申し込む場合は原本必須)。保管場所を忘れて直前で慌てないように気をつけよう。

(※クレジットカードの用語などは以下を参照)

『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』

※本記事で紹介したサービス内容は、消費税率8%を前提とした更新日時点の情報です。また、各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。
<著者プロフィール>

タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月7日発売の『最強クレジットカードガイド2016 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川マガジンズ)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。

※写真と本文は関係ありません