セゾンカード最上位の「セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード」では、2021年9月1日より「セゾンプレミアムコンシェルジュ」の提供を開始した。
同カードでは、これまでも24時間365日利用可能なコンシェルジュサービスを提供していたが、9月からは世界の富裕層向けコンシェルジュサービスを展開するテン・グループ・ジャパンと提携。新たな体制でサービス内容が拡充されたそうだが、これまでと何が違うのか。
クレディセゾン商品開発部・富裕層ビジネスグループの岸田大輔氏と佐原薫子氏に、おすすめのコンシェルジュ活用法なども含めて話してもらった。
もっと日常的な場面で使ってほしい
――9月からテン・グループ・ジャパンと提携して「セゾンプレミアムコンシェルジュ」を開始されましたが、いままでと何が違うのでしょうか?
岸田氏: いままで提供していたコンシェルジュも、接客対応に関しては高い評価をいただいていたのですが、テン・グループ・ジャパンはコンシェルジュサービスの専門会社として世界22カ国で展開していて、持っているネットワークやコネクションのレベルが全然違うんです。たとえば普通は予約が取れない人気レストランでも、彼らに依頼すれば予約できるなど、我々では手の届かない領域の資産を多数お持ちになっています。そうした点を強化するために、パートナーシップを締結させていただきました。
――会員にはコンシェルジュをどう活用してほしいと考えていますか?
佐原氏: 人気レストランや高級ホテルの予約などで使うイメージを持たれる方は多いと思いますが、大切な食事会や記念旅行、たとえばプロポーズのためのディナーやお父様の定年をお祝いするご旅行など、イベントごとのお手伝いは得意なので、そういう特別な機会には是非ご利用いただきたいですね。でも、もっと日常的な場面でもお使いいただきたいと思っているんです。
――たとえばどんな場面でしょうか?
佐原氏: 実際にいただいたオーダーですが、「富山ブラックラーメン(ご当地ラーメン)」が食べられる近隣のお店や、「マリトッツオ」など話題のスイーツが購入できるお勧めのお店を教えてほしいとか、趣味や嗜好がよくわからない方への贈物のご相談とか。グルメやファッションに精通したコンシェルジュがいるので、彼らの知見を頼りに提案してもらい、いままで利用機会がなかったお店に行くきっかけにしていただくのも、楽しい利用方法だと思います。もっと生活に密着した使い方ですと、不用品の回収やハウスクリーニング、ベビーシッターを探してほしいとか、そうしたご相談も実際にいただいています。
――たとえばトイレが詰まったとか、そういう相談もあるのでしょうか?
佐原氏: エマージェンシーでのご利用もあります。自宅のカギを失くしたとか。先日、関東で起こった地震の際は、帰れなくなってしまったので、すぐに泊まれる宿泊先を探してほしいというご依頼もありました。また、海外旅行の際に、レストランに忘れ物をしたとか、ホテルの客室へパスポートを置いたまま次の旅先へ移動してしまったとか。海外でのトラブルも、世界22カ国のネットワークを駆使して、迅速に対応します。
――カード利用と関係ない例もありましたが、そういう相談も大丈夫なんですか?
岸田氏: 内容にもよりますが、基本的にはなんでもご相談いただいて大丈夫です。コンシェルジュサービスは非常にコストがかかるのですが、プラチナカードの真価を発揮できるサービスですので、カード利用の有無に関わらず、どんどん利用していただきたいと考えています。
――実際にコンシェルジュを利用する会員は、どのくらいの割合なんですか?
佐原氏: ご利用いただいている方のほうが少数派です。コンシェルジュのご利用を促す施策も工夫しているのですが、まだまだ魅力を伝えきれておらず、浸透していないのが現状です。
岸田氏: どうしても日本人は、こんなことをお願いするのは申し訳ないと遠慮してしまいがちですが、一度ご利用いただくと、繰り返しお使いいただく方も多くいらっしゃいます。コツさえ覚えれば非常に便利なサービスなので、もっと日常的にコンシェルジュに頼むということが浸透してほしいなと思います。
低予算でも遠慮はいらない
――コンシェルジュを上手に利用するコツはありますか?
岸田氏: 「いまから」とか「明日なんですけど」とか、急ぎの要件で利用する方も多いのですが、少し時間をいただくほうが、より精度の高いご提案が可能です。案件によっては、得意なスタッフでチームを組んで対応することもあります。
佐原氏: 時間の目安は内容によって変わるので明言できませんが、コンシェルジュから「このくらいお時間をいただけますか?」と相談させていただきます。急なレストラン予約でも、「セゾンプレミアムコンシェルジュ」には独自ルートがあるので、ご要望に合わせたお店を提案できます。
岸田氏: たとえば、ある人気の星付き焼鳥店は予約困難で有名ですが、独立したお弟子さんもたくさんいらっしゃいます。なので、そのお店は予約できないけど、「そのお店で修業したお弟子さんに暖簾分けしたお店なら予約が取れますよ」とか、そういったご提案が可能なので、まずはご相談いただきたいと思います。
――コンシェルジュに頼むと、高い店を勧められるんじゃないかと不安に思う人もいると思いますが、そのへんはいかがでしょう?
岸田氏: 予算ははっきり伝えていただいたほうがいいですね。そのほうがコンシェルジュも探しやすくなるので、あまり予算がなくても遠慮はいりません。先に候補を挙げておいて、「ここに行こうと思っているけど、同じ価格帯でいい店があれば教えてほしい」という頼み方をするのもお勧めです。
佐原氏: 実際に低予算のオーダーもたくさんいただいていますし、コンシェルジュ側も慣れているので、引け目を感じる必要はありません。しかし、ご予算を多くいただけるほうが、コンシェルジュの威力を発揮しやすいのも事実です。店名は明かせませんが、紹介がないと予約できないような特別なお店にもご案内できるんです。
岸田氏: それにコンシェルジュを通して予約すれば、プラスアルファのサービスを受けられるお店もあるんです。
佐原氏: 世界で1万軒以上のパートナーレストランがありまして、グラスシャンパンやお土産などのサービスを受けていただけます。ホテルでしたら世界25万軒以上で、上級会員資格相当で宿泊いただけたり、客室のアップグレードやホテルクレジットのプレゼントが付くホテルもあります。
――それはコンシェルジュのほうから、ここの店なら優待がありますと言ってくれるんですか?
佐原氏: そうですね。逆にリクエストする際に、「優待のあるお店を紹介して」と伝えるのもアリだと思います。優待内容は時期によって変わるので、その都度コンシェルジュに聞いていただくことをお勧めします。
岸田氏: 宿泊で価格面を追求したい場合は、ちょっと裏技的ですが、いくつか泊まりたい先の候補をあげて、それらのベストレートをコンシェルジュに調べてもらう、という手もあります。宿泊予約サイトなどで予約するほうがお得なら、ご自分で予約していただいても結構です。
佐原氏: コンシェルジュが提案するプランが気に入れば、そのまま手配することもできますが、お調べしたからといって、必ずしもコンシェルジュで予約する必要はありません。申し訳ないと思われるかもしれませんが、遠慮せずに使っていただけたらと思います。
海外通販や海外コンサートのチケット購入も代行可能
――飲食やホテル以外では、どのような依頼がありますか?
佐原氏: 商品検索のご相談は数多くいただいています。特に海外有名ブランドの腕時計を探してほしいというリクエストが多く、この1カ月足らずで20件以上ありました。他にもブランドバッグの日本未発売品を探してほしいというようなオーダーは、「セゾンプレミアムコンシェルジュ」の海外ネットワークを駆使して手配します。
――その場合は配送の手続きまでやってくれるんですか?
岸田氏: 対応しています。現地から輸入することもあれば、一度「セゾンプレミアムコンシェルジュ」で代理購入後に発送することもあります。古物商のライセンスも持っているので、そういった対応も可能です。
――代行会社に頼むと手配料を取られる場合もあると思いますが、コンシェルジュ経由であれば、一般の人と同じ価格で買えるんですか?
岸田氏: 配送料など実際にかかった費用はご負担いただきますが、検索や手配に関する手数料はいただきません。定価で見つけることができず、プレミア価格の商品しか見つからない場合は、プレミア価格での購入をお客様に了承いただいてからの購入となります。
佐原氏: 人気のゲーム機やコンサートチケットの依頼もありますね。購入に個人IDが必要になるものだと難しいのですが、普通に販売されているものであれば購入可能です。入手ルートのひとつとして使っていただけば、購入できる確率をアップさせられると思います。
岸田氏: 当社との提携前の話ですが、人気女性シンガーが引退ツアーを行った際、国内の公演は個人IDが必要なためお手伝いできなかったのですが、海外公演のチケット手配を提案したところ、深圳・香港・台北の公演をご覧になることができて、お客様は大層喜ばれたそうです。ご希望の場合は、公演チケットだけでなく、航空券やホテルも手配できますし、人気アーティストを追いかけたい方には、より威力を発揮するかもしれないですね。
――コンシェルジュをビジネスに役立てる方法もありますか?
佐原氏: 出張の際の宿泊先や交通機関のチケット手配を依頼される方は多くいらっしゃいます。あとは会食の手配や手土産の準備なども承ります。最近はシェアオフィスを探してほしいという依頼も増えています。いまは海外出張は減っていますが、現地の通訳や弁護士を紹介してほしいというご依頼もあります。
――これは意外だったという依頼もありますか?
佐原氏: 「セゾンプレミアムコンシェルジュ」としての最初のリクエストが、「北関東でカブトムシが採れる場所を教えてほしい」というご依頼でした。カブトムシは夜行性なので、夜中でも自由に出入りできる宿も探してほしいというリクエストも一緒にいただいて、いくつか提案させていただきました。これはロンドンにあるテン・グループの本社でも、ユニークなオーダーだと話題になったそうです。コンシェルジュの使い方としても、非常に上手な方だなと思いました。
岸田氏: そういう自分で調べるのが難しいことなどは、ぜひ気軽にご相談いただきたいですね。我々がコンシェルジュを通して是非体験してもらいたいのは、時間の効率化が図れるということです。自分の時間を大切に使うために、日々のことから気軽にコンシェルジュを使っていただきたいです。
電話、メールに加え、11月頃からはチャットにも対応予定
――9月からメールでも依頼できるようになりましたが、登録しているメールアドレスからメールを送ればいいんですか?
岸田氏: はい。最初の一回だけは電話でご連絡をいただいて、本人確認とメールアドレスの確認ができれば、その後はダイレクトにメールでオーダーいただけるようになります。依頼と回答の両方をメールでできるのは、とても貴重なサービスなんです。
佐原氏: やはりリストを提案してもらうようなご依頼はメールのほうが便利ですし、メールなら画像や書類も添付できるので、うまく使い分けていただけるといいなと思います。私もお花を贈るときに、電話でイメージを伝えたところ、そのオーダーにあったアレンジの画像をいくつか送ってもらい、その中から選んで決めました。
――メールの場合は、どのくらいの時間で回答をもらえるんですか?
佐原氏: ひとつの目安として24時間以内の回答というルールがありますが、お客様がお急ぎの場合は迅速に対応し、ご旅行に関する提案など、時間をかけて提案するほうがよいものは、案件と回答期日に合わせて、柔軟に対応させていただいています。ご要望に的確にお答えするために、必要に応じて何度かやり取りをさせていただくこともあります。
岸田氏: 11月頃にはチャットにも対応する予定です。いまは絶賛開発中ですが、AIチャットではなく、有人チャットでリアルタイムで会話できるようになるので、かなり利便性は増すと思っています。
――この先はどのような展開を考えられていますか?
岸田氏: まずは多くの会員様に使ってもらえるように認知を高めていきたいです。その次に、どう使ってもらえるかというところに進んでいきたい。いまはコロナ禍のため国内利用が中心ですが、アフターコロナになったら、海外でどんどん使っていただけるように、さらに力を入れていきたいです。
佐原氏: あとはお客様からの依頼を待つだけでなく、コンシェルジュからお客様にご提案を差しあげたいと思っています。お客様がお好きそうなこんなものがありますとか、この日なら以前ご興味をお持ちだったお店の予約が取れますとか。
岸田氏: 突然の連絡は不愉快に思われる方もいらっしゃるので、十分配慮しながらそういう提案をして「ありがとう」と言っていただける関係を築けるようにしていきたいですね。