突然ですが、皆さん食事はちゃんと摂っていますか? 健康のために自分でお弁当や自炊した方が良いのはわかっていても……と思う新社会人の方も多いでしょう。まずは、基本中の基本である三大栄養素から。最低限のポイントを押さえておけば、コンビニ飯が不健康、というわけではありません。

  • 栄養を考えた食事をしていますか?(写真:マイナビニュース)

    栄養を考えた食事をしていますか?

武蔵野栄養専門学校の管理栄養士 板垣裕氏の協力をいただき、新社会人が知るべき「栄養の基礎知識」について解説します。

三大栄養素とは

体を動かすにはエネルギーが必要で、私たちは食事から摂取する必要があります。エネルギーになる栄養素は、たんぱく質、糖質、脂質の3つ。これを三大栄養素、そこにビタミンとミネラルを合わせて五大栄養素と呼びます。

ビタミンとミネラルは、三大栄養素のようにエネルギーになることはありませんが、これらが働くための代謝を促進するものです。

たんぱく質が体の基となる

たんぱく質は、アミノ酸という物質から構成されています。働きは、体の筋肉や皮膚や内臓や血液などを作ることなど。「健康のために、魚や肉や卵、乳製品を食べましょう」といわれますが、それは、体にとって1日あたりのたんぱく質を取らないと体が維持できないのです。

  • 武蔵野栄養専門学校講師 管理栄養士 板垣裕氏

    武蔵野栄養専門学校講師 管理栄養士 板垣裕氏

皮膚は1、2カ月、血液は2カ月ぐらいで入れ替わります。そのときに必要になる成分がたんぱく質というわけです。不足すると肌が荒れるほか、貧血などが起きてしまいます。

髪の毛もたんぱく質なので、きれいな髪を保つのにも不可欠です。それ以外にも重要な働きがあり、食べ物を消化する酵素、体の調整をするホルモンなども基本的にたんぱく質でできています。

麺類だけ、お菓子だけなど、偏った食事を続けていると、低栄養状態になってしまいます。低栄養になれば体はスリムになりますが、血液中のアルブミンやヘモグロビンなどの成分が不足するなど、深刻な健康被害につながりかねません。

「たんぱく質が足りない」と自覚があれば、普段の食事にコンビニのサラダチキンやハム1枚でも、練り物のカニカマでもいいので、プラスするとよいでしょう。朝は卵と大豆製品、昼は肉、夜は魚のように多様な食品からたんぱく質を取るのが理想的です。

糖質は人体のエネルギー源

ダイエットでよく登場する「炭水化物」。この炭水化物の中には食物繊維が含まれます。そして炭水化物から食物繊維を除いたものが糖質で、脳や神経のエネルギー源となります。血液中や筋肉の中、脳など、体内のあらゆる場所に糖は必要です。脳が活動するのにも糖が必要なため、不足すると判断力の低下などの悪影響が表れます。

逆に、過剰になると肥満の原因になります。とはいえ、糖質オフダイエットが流行している通り、糖質を制限すると確かに痩せますが、やはり人体の健康維持には無理があるのです。

一般的には、1日に取る食事の半分ぐらいのエネルギーは糖質から摂取するのが望ましいといわれています。もちろん、糖尿病患者や、スポーツ選手は事情が異なります。

脂質は効率的なエネルギー源

三大栄養素はすべてエネルギーとなりますが、糖質とたんぱく質の2倍強のエネルギーがある脂質が3つのなかでもっとも効率的なエネルギー源となります。1gで9kcalあります。働きは、ホルモンや細胞膜を構成するなどです。

また、皮下脂肪として蓄えることで断熱作用を発揮し、体を冷えから守ります。ただ、過剰に取りすぎると、皮下脂肪がついて太ってしまうほか、脂質異常症などの原因に。揚げ物やバターたっぷりのパンやお菓子、こってりラーメンなどには要注意です。

このように、人間の生命維持に欠かせないエネルギー源である三大栄養素。たんぱく質、糖質、脂質のどれもが不可欠のものですが、過剰摂取には注意が必要。これからは、こうしたことを意識しつつ、食事を楽しみましょう!

取材協力:板垣裕(いたがき・ゆたか)

武蔵野栄養専門学校講師・管理栄養士。武蔵野栄養専門学校は、栄養士として活躍する人材を育てる専門学校。給食管理、栄養学、臨床栄養学などの実習を通じて栄養学を学びます。板垣氏は講師として教えるほか、高齢者施設での栄養管理などを担当。