客車の連結と切り離しが複雑
2009年12月31日夜、筆者はウイーン西駅にいた。ポーランドのクラクフへ行くのに寝台列車「ユーロナイト」に乗るためだ。電光掲示板を見るとポーランドのワルシャワ行なのだが、小さく、「ベルリン、モスクワ、クラクフ、プラハ、キエフ行」とも表示されている。
8番ホームに行き、ドイツ・ザルツブルク行が20時40分に発車するのを見送った後、20時58分頃、入替用の電気機関車に押されながら、11両の客車が入線した。入替用の電気機関車は切り離され、10分後に去っていく。
21時30分に本線用のオーストリアの電気機関車が連結され、スタンバイ。客車はベルリン行の車両から始まり、ワルシャワ行、ポーランドの「Zebrzydowice(ジェブジェドヴィッチェ)」行、クラクフ行、キエフ行、モスクワ行、プラハ行と続く。ベルリンやワルシャワ、クラクフ行のように1等、2等の車両がある場合もあるが、キエフ行のように1両の場合もある。
列車は22時12分、定刻通り出発した。大みそかということもあって車内はガラガラだ。筆者はホットワインをしこたま飲んだので、車内に入るとすぐに寝てしまった。
チェコを通過し、ポーランドに入ったあたりで目が覚めた。アウシュビッツ収容所近くのオシフィエンチム駅をゆっくりと通過する。カトヴィツェ経由の線路を走っていないので、すでにワルシャワ行やモスクワ行の客車は切り離したということを理解する。
列車はゆっくりゆっくり走り、早朝6時33分にクラクフに到着した。列車を降りてみると、先頭の電気機関車がチェコのものに変わっている。
電気機関車の後ろにハンガリー・ブダペストからの客車が2両、チェコ・プラハからウクライナ・キエフ行とオデッサ行がそれぞれ1両ずつ、さらにチェコからのクラクフ止まりが荷物車も入れて5両、ウィーンから2両も含めた12両編成になっていた。
しばらくすると、入替用の電気機関車に牽引されて、電気機関車を残してホームを去った。ウクライナ行の客車は、夕方にまた現れるのであろう。複雑な客車の連結と切り離しである。
寝台列車「ユーロナイト」ウイーン西~クラクフ間のおもな出来事
時刻 | おもな出来事 |
---|---|
22時12分 | ウイーン西駅発車 |
↓ | (チェコへ入国) |
深夜0時 前後 |
ブジェツラフ駅到着 ・ブタベストからの列車到着。客車連結 ・ベルリン行きの客車を切り離す。ベルリン行はブタペストからの客車を連結し、先に0時15分出発 ・プラハ行きの客車を切り離し、プラハ行きはブカレストからブタペスト経由の客車を連結して1時27分出発 |
0時18分 | ブジェツラフ駅発車 |
2時17分 | ボフミーン駅到着 ・モスクワ行きの客車切り離し、モスクワ行きは3時35分出発 ・ワルシャワ行きの客車切り離し、ワルシャワ行きは先に2時50分出発 ・プラハからの客車連結 |
3時7分 | ボフミーン駅発車 |
↓ | (ポーランドへ入国) |
3時27分 | ジェブジェドヴィッチェ駅発車 |
↓ | (切り離しせずにそのまま連結したままか?) |
6時33分 | クラクフ駅着 |
帰国した後、「Thomas Cook時刻表」から再現してみると、上の表のようになるらしい。連結したり、切り離したりとたいへんだが、これも「ユーロナイト」の楽しみのひとつなのだ。