前回は結婚式にまつわるマナーについてお話し致しました。今回は通夜や葬儀についてのマナーをお伝えしていこうと思っております。

不幸は残念ながら突然起こることも多くあります。そんな場合でも正しいマナーで故人やご遺族に失礼のない最後のお別れをしましょう。

  • 通夜・葬儀のマナー

供物、供花について

訃報を聞いて、供物や供花を送ろうと考える方もいらっしゃると思います。供物や供花についてはその家の宗教などで異なります。また、供花については御花屋さんや御花の指定があることもありますので事前に問い合わせて聞いてみましょう。供物や供花を断っている場合もありますのでその場合は無理に送ることはやめましょう。

服装について

一般的にお通夜の際は「平服」でも構いません。しっかりした礼服で行くと「このような事態を予期していた」という意味合いもあるからです。ただ近年ではお通夜だけ出席される方やビジネスのつながりがあった方など礼服での参加も多くあり、そちらも一般化してきていますので状況を見ながら判断しましょう。

礼服でも平服でも黒を基調とし靴やバッグも黒で統一しましょう。男女ともに殺生を表す革製品やアニマル柄、キラキラと光る素材のものを避けます。

アクセサリーは、女性は一連のパールのネックレスやイヤリングなどにとどめ、男性の場合はネクタイピンやアクセサリーも極力避けましょう。髪型やメイクも華美にならないように気を付けましょう。

お香典とその知識

お香典は不祝儀袋へ入れましょう。金額は親戚だと1~5万円、仕事の関係者や友人、知人、近所等は5千~1万円が目安です。あくまでも目安ですので一緒に参列する方に相談しても良いでしょう。むやみに大金を包んでしまうと相手の負担になってしまう場合もありますので気を付けましょう。

中に入れるお札はお祝いとは反対にピン札ではないものを選びます。新しいお札しか持ち合わせていなければしっかり折り目を付けると良いでしょう。

記名は必ず薄墨で書きます。これは墨が涙で薄くなるという意味があるそうです。ですから通常の筆や筆ペン等の墨で記名するのは避けましょう。

お香典の場合、上包みの裏側、折り上げ方は下向きに折り返されている方を前に重ねて水引を通しましょう。

これは前回結婚式のマナーでお話ししたご祝儀袋の例と逆になります(第8回参照)ので気を付けましょう。

お香典も出来ればふくさにしまっておきしわや折り目が付かないように持っていきましょう。お通夜と葬儀と両方行く場合はどちらか一度持っていけば大丈夫です。

ご遺族に配慮を - 忌み言葉には注意

大切なのは故人とお別れをして冥福を祈ることと、悲しみに暮れているご遺族へ配慮するということです。ご遺族は肉体的・精神的に衰弱している場合もありますので挨拶や思い出話をする際は長すぎない言葉をかけましょう。

例えば「この度はご愁傷さまでございます。心からお悔やみ申し上げます」「生前は大変お世話になりました。心よりご冥福をお祈り致します」というようにお悔やみの言葉を述べてみてはどうでしょうか。少しずつご遺族が元気を取り戻していけたらいいですね。

挨拶や話の中で、「重ね重ね」「再び」「くれぐれも」など、忌み言葉と言われているものは使わないようにしましょう。これらを使うとご遺族にさらに不幸が重なることを意味しとても縁起の悪い言葉とされています。注意しましょう。

また当たり前に聞こえるかもしれませんが、こういった場面では携帯電話は電源を切るかマナーモードにしましょう。葬儀中に音が鳴ってしまっては周りの方に迷惑ですので気を付けましょう。

清めの塩

神式の場合、自宅の玄関に入る前に清めの塩といって自身の体に塩をまきます。胸、背中、足の順で塩をまいてから家に入りましょう。仏式の場合はこういったことを行わないことも多いので宗教やご自身の気持ちでどうするか決めてみてください。

いかがでしたでしょうか。こういったことは地域や宗教によっても異なります。それぞれの状況で判断しましょう。お通夜やお葬式においてもマナーも身につけていれば困ったり迷ったりせずスマートに対応できます。以上のことを参考に、突然のことでも慌てずに行動してみてください。

■ 執筆者プロフィール:名越 華子(なごや はなこ)

大学卒業後、TBCグループ株式会社入社。入社2年目より秘書として勤務。日々の秘書業務を活かし敬語やマナー等本の監修や講演をし、若手の育成などにも力を注ぐ。

その後マーケティングPR戦略部広報室に所属。TBCが掲げるTotal Beauty Communicationsの略であるTBCの窓口として美容や健康の情報を発信。秘書検定1級、青汁マイスターの資格を持つ。

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