前回は、ウォークマンをBluetoothやFMトランスミッターでカーオーディオに音楽を転送して楽しむという方法を検証した。そこで今回はもっともオーソドックスなライン接続と、ウォークマンを車内で楽しむために一番悩んだウォークマンの設置についてお届けする。
WM-PORTに電源を供給、音声を取り出すシガーアダプタ
最後の方法が、ヘッドフォン端子またはライン出力で音声を出力するという方法だ。本体にはもちろんヘッドフォン端子があるが、一般的にヘッドフォンアンプを経由した音声をほかのオーディオ機器につなぐと音声が劣化するため、あまり使いたくないというのが本音だ。しかし、本体だけではライン出力できない仕様となっている。そこで試したのが、シガーソケットから電源を取るカーコネクティングケーブル「DCC-NWC1」だ。
シガーアダプタというと電源だけを供給するというイメージがあるが、「DCC-NWC1」には電源を供給するほかに、WM-PORTから取り出したライン出力が用意されている。そこからオーディオの外部入力に接続すればウォークマンにはWM-PORTコネクタだけを接続すれば音声だけでなく電源も供給できるため、配線もシンプルにできるのがメリットだ。カーオーディオに外部入力などがないなら、このライン出力端子にFMトランスミッターを繋ぐといった手もある。今回はカーオーディオの外部入力端子にこのライン出力を繋ぎ音楽を出力した。ライン接続のため、音声も非常にクリアで音楽の再生環境としてはまったく問題はない。
カーコネクティングケーブル「DCC-NWC1」の作りはシンプルで、シガーアダプタ側からライン出力できるので配線がシンプルにできる |
シガーアダプタのデザインもシンプル。エンジンをかけるとウォークマンのロゴが白く光るのも気に入った |
見えにくいが、青いコードがラインケーブル。適当に選んで購入したら太すぎたが、配線自体は非常にシンプルなのがメリット。すでに後述のクレードルも取り付けてある |
カーコネクティングケーブル「DCC-NWC1」使用時の配線図。これまでのほかの方法と比べても非常にシンプルに配線できることがわかる |
WM-PORT経由で充電できないクレードル
実は今回の車載で一番悩んだのがウォークマンの固定方法だった。理想的なのは車載用クレードルがあればいいのだが、あいにくそういったオプションは用意されていない。また、携帯電話ホルダーなどで固定するという方法もあるが、そうするとケーブルを本体に接続→ホルダーに固定という手間が必要になる。また、WM-PORTにしろヘッドフォン端子にしろ、本体下面についているので、コードを接続すると正立させたまま置けなくなるのだ。……と悩んだところで、クレードルは純正の「BCR-NWU5」しか用意されていない。脱着を容易にしたかったので、結局このクレードルを使用することにした。幸い筆者の車はダッシュボード上が平たいのでここに両面テープで固定し、前述のいずれかの方法で電源を供給するつもりだった。
クレードルには、AUDIO OUT、AUDIO IN(録音機能搭載ウォークマン用)、USB端子(ミニB端子、電源用)、WM-PORTが搭載されている。しかし、今回試用したアダプタは、Bluetoothアダプタを除き、いずれもWM-PORT経由で電源を供給するタイプ。クレードルにもWM-PORTがあるので大丈夫だろうとケーブルを接続したのだが、画面のアイコンが充電モードにならない。調べてみたところ、クレードルはWM-PORTケーブルを接続しても充電はされない仕様ということらしい。
ほかにもUSBケーブルでパソコンと接続している時にはクレードルのAUDIO IN/OUTが使えなくなるという制限があるようだ。いろいろな端子はあるものの、すべての端子の機能が同時に使えるというわけではないようだ。なお、ウォークマンによっても違うのかもしれないが、AUDIO OUTから出力される音声はエフェクトが有効になっている。カーオーディオで低音をブーストしたり、サラウンド効果をかけたりする場合には、ウォークマン側のエフェクトは切っておいたほうがいいだろう。
WM-PORT経由での充電ができないので、クレードルへの電源供給は付属のACアダプタをDC/ACコンバータ経由で使うことにした。しかし、すると充電中に微弱ではあるが音楽にノイズが載るようになってしまった。幸い、ウォークマンのバッテリは数日はもつので、車内での充電はまったくバッテリがなくなってしまった緊急時のみとし、通常は自宅や会社で充電することでフォローできなくはない。
ダッシュボード上に両面テープで固定。ウォークマンの操作時にクレードルがはずれそうになるので、ホットボンドなどでしっかりつけたほうがいいかもしれない |
ウォークマンのバッテリは数日はもつので給電しないようにした |
理想は外部コントロールもできる車載クレードル
今回は着脱性の容易さを優先して、ウォークマンの固定はクレードルで行ない、カーオーディオとの音声出力はライン出力を利用するという、いたってスタンダードな方法となってしまった。しかし、前述のノイズの問題や、クレードル装着時にはウォークマンの操作がしづらいという問題点が残ったままとなってしまった。
現在はクルマに乗ったら再生ボタンを押して再生を開始し、下りる時にはもう一度押して停止している。しかし、WM-PORT経由で外部リモコンを接続するという純正スピーカーユニットも市販されている。そこで、理論上は電源が供給されたら再生を開始し、電源が切れたら自動的に停止するというクレードルが作れるんじゃないかと思う。エンジン停止後の動作は、内部に小容量のバッテリーを入れておけばできるだろう。また、それとは別にクルマのステアリングなどに装着できるリモコンがあれば運転中でも気楽に操作できる。
ソニーはWM-PORTに関する仕様を公開しており、原稿執筆時点でもロジテックやサン電子がWM-PORT搭載のアクセサリーを発表している。iPodに数多くの車載アクセサリーがあるように、ウォークマンを車載したいという要望は多いハズ。純正でも社外製品でもいいので、使い勝手のいい車載アクセサリーが登場することを期待したい。
平雅彦(WINDY Co.)