前回は駐車違反取り締まりについて解説した。駐車違反というと主に四輪車が対象というイメージがあったが、法改正を機に二輪の取り締まりも強化され、二輪車ユーザーも他人事ではなくなった。しかし、二輪車では、四輪車とは環境整備という点で大きな違いがある。そこで今回は、二輪車の取り締まりなどについて補足したい。

法改正後は、ごく普通に停めてある二輪車にステッカーを貼られていることが非常に多くなった(写真はイメージ)

バイクも取り締まりの対象に

今回の法改正で公式には言われていないようだが、改正のポイントのひとつに二輪車の取り締まりがある。これまでは長期間にわたって同じ場所に駐車する悪質な車両のみに取り締まりが行われていたフシがあるが、法改正後はごく普通に停めてある二輪車にステッカーを貼られているケースが増えた。もちろん駐車違反に二輪も四輪もないから、二輪の駐車違反も取り締ってしかるべきだと思う。しかし、だ。

四輪の場合は長い時間をかけ、公営、民間を含めて駐車場が整備されてきた。二輪用の駐車場を作ってから取り締まりを行うならともかく、駐輪場も作らないで取り締まりだけを行うのでは納得がいかない。取り締まりをするなとは言わないが、せめて公営駐車場を作るなり、パーキングスペースの一部を二輪車専用にするなりの対策をとってから、取り締まりを行うようにしてほしいものだ。

対象地域で強化される取り締まり

改正直後は道路の駐車車両が減り、幹線道路は非常に走りやすくなった。しかし、取り締まりの重点エリアは東京都なら警視庁のホームページにて地図付きで公開されるなどしており、重点エリア以外では取り締まり基準が緩いのが実態だ。これはすでにニュースでも報道されているが、委託された民間業者が取り締まりを行うルートは決まっており、そのルートを外れた裏道などは取り締まりエリアの対象外になるからだ。

政府の資料によれば、反則金の納付額は2005年度で約864億円と膨大な金額になる。もちろんこれは交通違反だけではなく、全ての反則金を含むが、いずれにせよ反則金が収入源として必要不可欠になっていることを示している。反則金は一度国庫金として収められ、そこから道路の信号機やガードレールなどに用途が限定されて使用されるが、今回の法改正により反則金は直接都道府県の収入となり、使用用途も限定されていない。つまり財源に困ったら駐車違反取り締まりを強化すればいいという、短絡的な発想にもなりかねない。

今回の改正で一部の道路は走りやすくなった。しかし、二輪車用の駐車場の整備や反則金の使用目的など明確にすべきことがおざなりになり、取り締まり成績や収入源としての取り締まりを強化したとしか思えない点が非常に多い。違法駐車をしないよう気をつけ、このような取り締まりのお世話にならないよう気をつけたいものだ。

平雅彦(WINDY Co.)