連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。

現在は、住宅ローンの借り換えの絶好機!

今年(2016年)2月に日本銀行が「マイナス金利」政策を導入して以降、住宅ローンの金利が一段と下がっています。住宅ローンの代表格である【フラット35】の金利を例にとると、今年2月の金利は1.45%でしたが、11月の金利は1.03%です(融資率9割以下・借入期間21年以上・最も多くの金融機関が提示した金利)。つまり、「マイナス金利」政策の導入前と比べると、住宅ローン金利はかなり下がっているのです。

ローン金利が低くなると、お金を借りて住宅を買う人が多くなってもよさそうなものですが、低金利のおかげで利息の負担は軽減されても、借りたお金を返さないといけないことに変わりありません。大金が必要な住宅ローンを使って買うには、低金利以外にも、「長期的に給料が増えそう」「子供にかかる教育費の負担が少なくて済みそう」などと思える理由がなければ、なかなか踏み切れないかもしれません。

しかし、既に住宅を購入し、ローンの返済をしている人にとって、最近の低金利は朗報でしょう。今年2月までにローンを組んだ方は、今よりも高い金利で借りた方が多いと考えられますので、現在は借り換えを実行して返済負担を軽減する絶好のチャンスでしょう。

借り換えは、金利だけでなく各種コストを含めて判断する!

借換先の住宅ローンを選ぶときは、とかく「金利」に目が向きがちです。しかし、金利だけで判断すると逆に負担が増えることになるかもしれません。借り換えに関連する様々なコストにも注目しましょう。

【住宅ローンを借り換える時の主なコスト】

低金利を提示している金融機関は融資事務手数料が「定率タイプ」であることが一般的です。例えば、3,000万円の借り換えを行う場合、「定額タイプ」だと3万2,400円、5万4,000円、10万8,000円などです。しかし「定率タイプ」だと、借入額×2.16%であっても64万8,000円。かなり大きな額ですね。逆に高い金利を提示している金融機関は「定額タイプ」が一般的です。

印紙税は数万円ですので、あまり気にする必要はありません。抵当権抹消・設定登記費用や保証料は、候補の金融機関に依頼して金額を見積もってもらうのがよいでしょう。最近は金融機関のサイトに、コストを含めたシミュレーションができる機能がついている場合もありますので、確認してみてはいかがでしょう。

これらのコストを見積もり、さらに、借入額・返済期間・適用金利から総返済額を試算して、コストと総返済額の合計額を求めます。その上で、どの金融機関の住宅ローンに借り換えるのが最もメリットがあるかを判断する必要があります。

最初は、公表されている金利からいくつかの金融機関を借り換え候補にピックアップしても、その後は冷静にコストも含めたシミュレーションを厳密に行った上で比較、検討、判断し、後悔しなくてすむように金融機関を決めるようにしましょう。

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。

「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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