ここのところ、ドル/円、クロス円で上昇トレンドが続きました。

この上昇トレンドが継続するかどうかを見極める方法とは、5日移動平均線をチェックすることです。

5日移動平均線のチェックは、単純でありながら、短期のトレンドの変化を知る上で、非常に有効な手段です。

たとえば、ドル/円を例にしますと、今回2月24日からの上昇のように、実体(ロウソク足の寄り付きと引け値の間の太い部分)が、5日移動平均線よりも上で推移しているうちは、上げは、しっかりとサポートされ、相場は一本調子に上昇してきました。

  • ドル/円 日足

しかし、実体が、5日移動平均線を下回って、日足が引けたり、寄り付いたりすると、下げに転ずる可能性が出てきます。

ただし、注意しなければならないのは、実体を5日移動平均線が割り込んでいても、5日移動平均線がまだ上昇基調であれば、一時的な押しはあっても、また上昇を再開します。

それに対して、5日移動平均線の向きが、水平になったり、下向きになった時が要注意です。

このことは、昨年の3月のドル/円の上昇が、良い例です。

  • ドル/円 日足(2020年3月)

3月13日から上昇トレンドに入って上げていきましたが、3月23日〜25日に掛けて、頭打ちになりました。

その間にも、5日移動平均線は、どんどん上昇し、25日には日足に大接近しました。

この日足が横ばいで、5日移動平均線がどんどんと接近してくるというところが、上昇トレンド終了を見極める大変重要なポイントです。

そして、26日に相場は反転し、日足の引けが、5日移動平均線を大きく下回り、5日移動平均線自体も下向きになり、上昇トレンドは終了しました。

このように、5日移動平均線の向きが上、下、水平、どの方向に向いているかは、大変重要ですので、注意して見る必要があります。

尚、日足に限らず、1時間足の5時間移動平均線でも、週足の5週間移動平均線でも同様に、それぞれの期間における短期的な相場転換を知る上で大変有効ですので、これらもよく見ておかれることをお勧めします。

さらに、もし相場が大天井(おおてんじょう、ピーク)をつけた場合、今までのトレンド相場から、逆のトレンド相場に一気に転換する場合も中にはありますが、それよりもレンジ相場にいったん移行することが一般的です。

このトレンド相場からレンジ相場に移行する時に、今までと同じ上げばかりを見ているトレードスタイルでいるとかなり痛い目にあいます。

トレンド相場からレンジ相場に変わる時の兆候は、相場の上下動が激しくなり、急落、急上昇を繰り返しながら、だんだん一定の値幅に収斂していく傾向がありますので、この変化を見逃さないことが大事です。

昨年3月の場合でも、上昇トレンド終了後、4月に入り、最初は大きく上下動したものの、その後だんだんに値幅が収斂していることがわかります。

  • ドル/円 日足(2020年3月~4月)

ただし、この例では、大きい上下動が、まだマイルドです。

よくある例では、もっと激しい上下動になることが多く、たとえば、上昇トレンド相場で、買ってポジションを持ち続けて大儲けしたのを、このトレンドからレンジへの変わり目の大きな上下動で振り回され、減らしたり、下手をすると無くしてしまったりしますので、実は厳重警戒の局面だと言えます。

トレンドからレンジ、レンジからトレンドという相場の変わり目には、十分注意する必要があります。

尚、人により、トレンド相場が得意な人、レンジ相場が得意な人それぞれいますので、ご自身はどちらが得意かはあらかじめ見極めておくことも大事です。