今後の相場を見ていく上で、無視できないのが、ポンドの動きだと見ています。
イギリスは、新型コロナウィルスの変異株の感染拡大懸念がでていますが、ポンドは基本的に堅調な動きを見せています。
まず、ポンド/ドルですが、昨年5月から右肩上がりの対角線を描いて上昇しています。
ご覧いただきますように、非常に強い上昇トレンドだと言えます。
また、ポンド/円も、ポンド/ドルほどの角度はないにしても、上昇傾向です。
そして、ユーロ/ポンドもまた、昨年5月以来の高値圏から下を窺う(ポンド高)格好になってきています。
ユーロ/ポンドの場合、0.8860近辺のサポートを試しては失敗し、400ポイント前後の反発を繰り返してきましたが、ここにきて、サポートを割り込んできています。
では、なぜ。ポンド高なのかですが、やはり難航していたEUとのブレグジット交渉が合意され、またコロナ渦とはいえ、経済指標は良いものが出ていることが大きいと思います。
そして、大口投資家的な発想からすれば、投資配分が低かった投資対象の比率をこれから上げるとしたら、今のポンドは格好の投資対象になるのではないかと思われるからです。
いわば、2016年のイギリスのEU離脱に関わる国民投票で離脱が決定して以来売られ過ぎたものの巻き戻しが起きてきているものと思われます。
そうすると、中長期的には、ポンド/ドルは1.4300を、ポンド/円は148.00を、そしてユーロ/ポンドは0.8600を目指すのではないかと見ています。
ただし、ご存じのように、ポンドのボラティリティー(価格変動率)は非常に高く、その激しい上下動に振り回されるリスクが高い通貨であることは確かです。
したがって、相場のエントリーには、非常に神経を使う通貨であることは、間違いありません。
ポンド/ドル、ポンド/円であれば、良く引きつけて押し目買い、ユーロ/ポンドであれば良く引きつけて戻り売りをするのが鉄則となります。
そのためには、じっくり待つことが大事です。
また、ポンドのマザーマーケット(本拠地)は、ロンドンですから、ロンドンマーケットでのポンド相場の展開を注意深く見る必要があります。
ロンドンタイムでは、ユーロ/ポンドが主導的に動き、それに伴って、ポンド/ドルとユーロ/ドルが真反対に動くことも日常茶飯事です。
こうしたロンドンマーケットでの動きに慣れ、いろいろな局面に対応できるようになることが大切です。
尚、ポンドのようなボラタイルな(動きの激しい)通貨は、儲かるときは思いっきり小気味よく儲かるので、醍醐味があります。
私自身も、ポンド/ドルがシロクロはっきりしていて好きです。
また、個人のトレーダーの方々の中でも、ポンド/円の取引が活発に行われていることは聞き知っています。
ただ、気をつけなければならないのは、こうした通貨での大儲けの記憶はあまりに鮮烈なために、思わずのめり込んでしまいがちで、気がつけば大勝ちした1勝を除けは10戦中の残り9戦は9敗だったということも、実際にありえることです。
ポンドなどボラタイルな通貨で大儲けして良い夢を見てしまった代償は大きく、余程つきあい方には慎重にならないと、貢ぐばかりになりかねません。
個人的は、こういうじゃじゃ馬通貨とつき合う時は、ひとつには、余程これはと思わない限り、相場に入らないことだと思っています。
そして、もうひとつには勝ち逃げする。つまり、儲かったら利食って、しばらくやらないことが肝要だと思います。
つまり、こうした通貨と付き合うには、一般的な通貨ペア以上に大胆にして細心であることだと思います。
これだけボラタイルですから、一回や二回、相場を逃したところでまたチャンスはすぐにやってきます。
相場は、これ一回限りではありません。ご自分に合った相場パターンになるのをじっくり待つことだと思います。